息の根に根付く 公演情報 息の根に根付く」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
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  • メモ
    布と照明の映像美。

  • 満足度★★★


    バラバラに蘇る老人の記憶と現実とが交錯する。
    主に戦争を描く記憶側も見応えはあったが、
    むしろ圧巻は現実側の方だった。
    スタッフの会話はあまりに素っ気なく、関係ない雑談もする。
    しかもその会話がいやに上手い。
    老人の心を深く掘り下げながらこういう仕打ちをしてしまう。
    作家の視野の広さ、力量を強く感じた。
    惜しむらくは演出。
    反復はちょっと繰り返し過ぎてくどかった。
    布を多様に使う動きは、
    面白いところもあるけど今一つキレイじゃなかったのが残念。

  • 満足度★★★★★

    凄い才能・・・
    難しいテーマだと思うが、真正面からよく表現されていたと思う。
    作り方もよく工夫がこらされていて上手い。

    この作品、書かれた方は20代との事だが、ストーリー、視点、表現の手法、どれも素晴らしく、凄い才能だと思う。

    これからも注目していきたいと思う。

  • 満足度★★★★★

    期待通りの芝居
    会場入りすると、そこはもう白の世界。

    そう・・、壁一面が白い布で覆われ、床には同様の無味透明を思わせる同色の白い布が一本の雲のように横たわっているのでした。

    以下はネタばれBOXに収めました。

    ネタバレBOX

    神秘的な世界を思わせるその白は

    赤ん坊の白であり、白痴の白であり、病院の白であり、人生を染める前のキャンパスの白なのでした。


    今にも神が降臨してきそうな、そのオブジェの前で、同様の白を纏った役者が現れます。


    ワタクシ、どんな芝居を観せてくれるのかとむくむくと綿菓子の如く膨れる好奇心でいっぱいになるあまり、そこでぱちんと弾けそうになりました。



    痴呆老人の世界はどんなふうにみえるのか?
    その世界を完全肯定したお話で、その老人は自分の過去と現在を行ったり来たりします。

    目に見えるどの世界も本当だけれど、目に見えない世界も本当だったりする・・。



    老人の若かりし頃の日中戦争から現在の院内での生活を丁寧に書き下ろした作品でした。


    「赤ん坊の事を白いキャンパスにたとえるけれど、老人はもう何色かもわからない位に染みついていると思う。 だとしたら白痴というのは、それがもう一度白くなる事かもしれません。 もしそうだとしたら、痴呆とは生きてるウチから、生まれ変わる準備をしているのかもしれないと思うのです。 」

    と高橋。


    相変わらず、高橋の芝居は芸術的センスで不思議な世界を表現します。

    それでいて、


    生きるって事を一生かけて考える

    生きている意味を一生かけて探す


    という、老人を知る事で命の意味を深く追求しています。




    人はみな、生まれたときから一つずつ、一つずつ何かを失って生きてきたんだ。

    何故生まれてきたかを知る為に生きる。


    劇中で感受性豊かな言葉のシャワーがあります。

    この感覚は他の劇団ではまず味わう事ができない。




    そうして・・・

    戦時中に自害せず『生きる』事を選択した青年(現在の老人)は

    廊下のある家に住もう。
    自分達の部屋がある家に住もう。
    母と暮らそう。
    あの娘と暮らそう。
    父を許そう。
    母にはいつまでも笑っていて欲しい。
    そうして、僕の家からはまっすぐに虹が伸びているんだ。



    終わり方も素晴らしい!


    本当に・・・

    どんな才能なんでしょう。

    芸術、感覚、言葉、心、希望、優しさ。

    そのパンドラの箱には素敵なものがギュッと詰まっていたのでした。



    ああ、なんて優しい、そしてなんて素敵な芝居を作るんでしょ。




    ワタクシ、そこに跪いてひれ伏したくなりました。



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