満足度★★★★
このまま修業を積めば、必ず伸びる
二回目の公演でこれだけの質であれば立派なものだ。シナリオ、演出共に、大筋で演者が可也自然な演技ができるほどしっかりしている。中盤から終盤に入る明転の際、一瞬実際の賢そうな目つきを見せた以外は、はるのうつけ演技が効いて作品全体の重石として作用しており、他の役者も自然でありながら、其々のキャラクターをキチンと出している。特に、お富役、成吉役が気に入った。文左衛門役も若い割に憎まれ役をキチンと演じているし忠兵衛役も良い。無論、他の役者も総じて上手い。(追記2014.5.7)
「出会い頭」は不自然だが、相当おもしろいっ
幕末の新風が、高田馬場に舞う!
舞台セットは、江戸城下に軒を連ねる貧乏長屋と茶屋、畳三畳ほどの「一間」である。随所に白玉、緑玉、紅玉を串刺す団子が町民の頬に含まれ、劇場を出ると「どら焼き」を購入する観客もいるほど!
まるで「時代劇」かのようにワン・シーンが軽やかに移り、「起承転結」は常に一定のスピードであった。
伊吹文明氏は 日本の身分制について、「日本人は『士農工商』でうまくやってきた」と述べ、一部容認する姿勢が報じられている。
この封建制度が、『浮世けもん』の メイン・テーマであった。
タイトルどおりの“うつけ”はるを好演したのは大山京子だ。元々「捨て子」で、拾われた長屋住民のセリフを反芻するだけであるが、彼女には「◯術の才」があり、蘭学を独学する次郎(星野 良明)の運命を大きく変える。
緻密なシナリオは役者陣の力になったはずである。
実は『浮世けもん』を観劇する1時間前、伝統芸能「浄瑠璃」「日舞」「かっぽれ」を目の当たりにしていた。60代〜80代の女性が演じるショーは、300年前から継続する「元禄文化」花盛りの冷凍保存だったのかもしれない。しかし、それは愛知万博に出展された冷凍マンモスと同じ「異質さ」だった。つまり、時代劇においても指摘できるポイント“形式美に こだわりすぎると現代人は退屈”である。
例えば、伝統芸能「歌舞伎」は世界遺産に登録されているが、少なくとも、明治期以前は その上演時間が半日であったらしい。神社で午前中に歌舞伎演目が始まり、日没とともに終了する。そうしたナチュラル・タイム・ロスは一分、一秒に振り回されるこのない、江戸町民ならではのライフスタイルが説明する。
『浮世けもん』は、新派より呪縛化した“形式美”も保ちつつ、「時代劇」のカット割を緻密なシナリオに導入していたから、映画『武士の家計簿』などを鑑賞した女性客も 没頭できるパッケージだった。
満足度★★★★
ラストは法廷劇のよう!
とても分かり易く、オチもあり上手くできた演出・脚本で面白かったです。
幕末でありながら、現代にも通じるシーンでの台詞も印象的。
広くはない舞台で3つのセットの設置は工夫が見られる。
役者陣も熱演、特に朝霞成吉役の川田翔也の声は良い。
満足度★★★★
全体的によくできていた市井の人々の物語
人物設定が少し素朴であったり細かいところをあげればいろいろあるとは思いますが、物語構成はよくできており不器用ながらも生きる甲斐を模索しながら懸命に生きる市井の人たちの姿が生き生きと描かれていた作品だったと思います。