ダンデ 公演情報 ダンデ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★★★★

    言葉の一つ一つが美しい
    旗揚げから五回目の旗埋め公演
    シックスペースの形が出来上がって来た感があった。

    公園や電車の中やどこかの家の茶の間の中で
    当たり前のように繰り返される日常会話が
    これまた芝居臭なく、ナチュラルに進行する。
    こちら側はそれを覗いているような錯覚に陥る。
    そんな瞬間に必然性のある歌やダンスがそこにある。
    気がつくと誰かの人生の傍観者である観客となっていた。

  • 「若者」を、タンポポの綿毛に載せて。


    ヨーロッパには「仮面舞踏会」が開催されてきた歴史がある。

    貴族たちが派手な仮面を身に、素顔を隠したまま踊り、そしてアルコール類を嗜むパーティだ。
    オペラ『こうもり男爵』は そうした 男女が出逢う場を活用した「大人のドラマ」だろう。


    仮面を身につけた紳士は、タキシードを着用している以外、全く変わらない「マネキン」だろうか。

    そうではないだろう。

    「声」が一人ひとり違う。



    短髪白髪の紳士に、「あちらのテーブルのワインをお持ちしましょうか?」と訪ねたとしよう。


    もし、その紳士が あの「声」で「白ワインを二、三本」「できるだけ白ワインで」と返事をしたら、それは間違いなく久米宏だろう。


    要するに、ヨーロッパは「声の文化」なのである。

    クラシック総合情報メディア『BRAVO!』によると、オペラの音域は最低でも6段階があるという。

    「オペラに登場する歌手たちは、声の高さや質によって役を決定されます。男声は、高い方からテノール、バリトン、バス、女声はソプラノ、メゾ・ソプラノ、アルトに分けられます。これは単純に音域のみによる分け方で、この他に音色による分け方があります。レッジェーロ、リリコ、リリコ・スピント、ドラマティコなど、軽さ、強さで声質を表わし、登場人物の性格や年齢、役柄に最適な声質の歌手をあてます。」(「オペラの基礎知識」より)


    私自身、昭和音楽大学でオペラ史に詳しい有田 栄 同大学教授の話を伺ったことがあるが、本当は さらなる複雑音域があり、「カストラート」と呼ばれる高音域を発声するため、昔は少年歌手が去勢されたらしい。

    これが、ヨーロッパの「声」に対する こだわりである。



    私は『ダンテ』原作は把握していない。だが、この「声」に対する信仰的な連帯は ヨーロッパ文化であった。


    「ミサの時間」は、場所を離れた三人のSNSユーザーがタブレットに流れる「ユリ」の「声」を聴きながら、ヒップホップダンスをする行いだ。時は2018年だという。



    ※ネタバレ箇所






    また、本作は「青春」ではなく、「大人」だが、いずれにせよ、クライマックスへ至る「ドラマ性」を より表現しえる手段は なかったか。アプローチすべきだ。


    音響、照明を排する「颯爽とした会話空間」の試みは、未来の若者に映す「ポスト3.11」として理解できた。
    役者陣が何というか、「群像」をニヒリズム的に演じており、時折「想い」は 伝えるのだが、それが「関係打開」へのキーとなっていることは 一種の示唆である。


    さて、鍵穴はあくのだろうか。

    ネタバレBOX


    こちらは OLが胡散臭い女から募金の対価として受け取った「日記」を辿り展開される。


    特に、映像表現と結びつけた「ミサの時間」は、SNSレボリューションを思わせる「圧倒」だった。
    仮に、宗教的慣習を確立したければ、この完全コピーを二度する必要があった。
    こうなると観客もミサに心酔しただろう。

このページのQRコードです。

拡大