失望のむこうがわ 公演情報 失望のむこうがわ」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-5件 / 5件中
  • 20140222
    (^・ェ・^)

  • 満足度★★★★★

    看板に偽りなし
    三浦さんが、チラシに書いている「これは、エンターティメントな会話劇です」という科白に嘘はありませんでした。

    いやあ、本当に凄い!先日の浅田真央さんのフリーの演技ぐらい、凄かった!

    「熱海殺人事件」から、何十年も、平田さんのファンですが、今回、改めて、素敵な俳優さんだなあと、再確認致しました。

    平田夫妻の快挙に乾杯!客演の平原さんも、迫真の名演技でした。

    二人が会話するリビングに、映し出されるテレビの映像が、これまた刺激的な小道具になっていて、おつな演出。ただ、今日は、スタッフの誤操作があり、DVD映像だと露呈してしまう瞬間があったのは、残念でした。

    ずっと、三浦作品を拝見したかったのですが、おばさんには刺激的な場面が多いと聞き、これまで敬遠していたので、今回拝見することができて、嬉しく思いました。

    ネタバレBOX

    幾ら三浦作品でも、まさか平田ご夫妻が、人前で、裸体にはならないだろうと、安心して観に行きました。

    案の定、裸体にはならなかったけれど、心は裸にされる作品でした。(笑い)

    いやあ、本当にエキサイティングな会話劇でした。

    愚かしくも、愛しむべき、人間の本性が、静かに、的確に炙り出される、洒落たドラマでした。

    奥さんに浮気をされたご主人が、しきりに情事の回数を気にしたり、妻と昔行った摩周湖の霧が晴れた瞬間を、二人の思い出の宝物にインプットしていたり、自分や、周囲の人間に、似たようなエピソードをたくさん知っているだけに、何度も、笑ってしまいました。かなりこだわりの強いご主人のようで、そんなところに、妻は日常の不満が蓄積してしまったのかなと想像したりします。

    実は、私の知人に、妻が浮気したにも関わらず、平穏に、夫婦関係が継続しているカップルが、かなり存在するのです。
    他人の家の事情はわからないので、今まで、どうやって、ご主人が折れたのか、不思議に感じていましたが、この芝居を観て、そうだったか!と謎が解明された気分です。

    浮気相手が家に呼び出されてからの終盤の舞台は、息を呑んで見入ってしまいました。スポーツ競技の実況中継を固唾を呑んで、見守ったのと類似した心境でした。
    浮気相手の心情吐露の台詞には、誰でも胸を抉られる真実が潜んでいたのではないでしょうか?

    日曜日のテレビ番組が、苦悩する夫の後ろで、小さな音や無音声でずっと流れています。
    「アッコにおまかせ!」に始まり、「笑点」、福澤さんの「番記者」、「ちびまるこちゃん」、ニュース番組、ダウンタウンや、お笑い芸人出演のバラエティー、テレビ通販の深夜番組まで。

    佐村河内や、新垣のインタビュー、真央ちゃんのスケートシーンなど、最近の話題の主が、無言で客演し、迫真の夫婦の会話劇に色を添えます。もしかすると、あの映像選択にも、深読みできる要素が隠されているのかもしれません。

    ここにまた、小憎らしいほどの演出の意図が見えたような気がしました。

    それに、終盤、夫婦が、「あの土下座は、例のテレビ番組の影響だよね」と言って、浮気相手の土下座をネタに笑い合うシーンがありました。
    この夫婦は、普段いつも一緒にテレビを観ているらしいことは、それ以前の台詞からも類推できるのですが、この土下座ネタで笑い合うシーンが挿入されることで、今後もこの夫婦が一緒にテレビを観る関係に戻れそうな気配を観客は感じ取れる仕掛けです。

    関係の拗れた夫婦は、一緒にテレビなんて観ないと思うので、これは一種のハッピーエンドなんですね。そういう、日常的な人間描写が実に巧みでした。

    少し、写実性がないかなと感じたのは、浮気相手のガソリンスタンド店員の人物造形ぐらいで、概ね、非常にリアルな人間模様が描かれた作品だったと思います。

    終演後、客出しの音楽は、「三年目の浮気」タイプのオリジナルデュエットソングでした。最後の最後まで、小粋な演出が施されていて、ニンマリ!

    2月にして、私の今年のベスト5に入りそうな予感のする、非常に、素敵なお芝居でした。
  • 満足度★★★

    三浦作品初観劇
    昼メロみたいな題材を三浦大輔が思わぬ形で料理した大人の会話劇。
    話が面白くなるまでにかなりの時間を要するが、そこまではご辛抱を!

    ネタバレBOX

    話が面白くなるのは、妻の浮気をめぐって揉めている熟年夫婦のもとを、夫に呼びつけられた間男が訪ねてきてから。
    全てを話すよう夫に迫られた若い間男は誘いに乗って浮気に狂う妻を面白がっていたことを白状し、「ババアの息、超臭えんだけどw」「ババアの喘ぎ声、超キモいんだけどw」などとLINEに書いて笑い者にしていたことまで告白。
    さらに、呼び出しに応じたのは、ダメ人間の自分が修羅場に耐えて人間的に成長するためであることを述べ立て、「だから、済まないとかいう気持ち、全くなくて…。俺の人生のために2人(=夫妻)を利用しました!!」とまでぶちまける。
    間男の告白から妻が被害者であること、コケにされていたことを知った夫は浮気した妻をそれ以上責めることができなくなり、加えて、妻を浮気に走らせた不甲斐ない己までが蔑まれていたことに気づき、自分たち夫婦が取るに足らないしょうもない存在であることを思い知らされて意気消沈。
    間男が去ると、夫妻は自分たち自身を笑うほかなくなり、さっきまでの修羅場が嘘だったかのごとく自嘲的な笑みを浮かべながら楽しげに会話を始める…。
    破局しかけた夫婦を、皮肉にも妻の間男が救い主となり復縁させるという筋立てはこれまでに接してきたどの浮気譚にも見られなかった類のもので、興味深く鑑賞したが、間男が現れる前、浮気した妻を夫がくだくだしく問いつめるくだりは目一杯の綾が凝らされているとはいえ類型的で新鮮味に欠け、少々退屈。
    よって星は3つとします。
  • 満足度★★★★★

    夫婦 って
    客席は Lの時に舞台を挟む形である。105分 観客は その大半を役者の背中を見続けることになる。

    背中、であるから もちろん表情は見えない。見えないからそのぶんイマジネーションが働く。すると見えないけど見えてくる。もちろんそれは実際の役者の演技ではない。むしろ登場人物に自分の知ってる人物、もしくは自分自身を投影させる、スリルに満ちた作業かもしれない。いや、そうであった。

    劇 だけれども 劇的な飛躍のある台詞はないかわりに 他人事はない、いきなり自分の鼻先に指差されたような。しばしば挟まれる沈黙の間、そして観客である私は傍観者から当事者となる

    しかし 「熟していない熟年夫婦」の 或る事件と それが引き起こした状況と ふと訪れた和解 それをこれだけリアルな会話劇にしたのが 1975年生まれの劇作家とは!

    いや、登場人物は 一組の夫婦だけではない。あとのひとりが誰か、それは舞台で確認してください


    最後 思いがけないかたちで 不意の和解

    その時の ふう…と 緊張が ほどけると同時に 心から笑った私。

    戦いすんで(あと、何ラウンド?)

    でも ひとつ何か「突破した」そんな男女の話

    ネタバレBOX

    夫婦間の 息のつまるような 時間の背景に ボリュームを絞ったテレビから流れる「ちびまるこちゃん」

    うまいなあ
  • 満足度★★★

    惰性で20回
    面白い。100分。

    ネタバレBOX

    平田満…妻の携帯を盗み見て浮気が発覚。摩周湖の霧が晴れたのを胸に奮闘する。
    井上加奈子…妻。隠れてパチンコして一ヶ月ほど浮気して、別れて示談書にサインして。正直。
    平原テツ…妻の浮気相手。ガススタンド店員。

    単純に感情をぶつける作品でなく、思いに言葉をかぶせるのが上手い。人生半ばを過ぎた男女の会話の奥深さというのか。序盤から中盤の平田×井上、終盤の平田×平原の曲がっているようでストレートなやりとりがピリっとくる。逆に入り込みにくいけど。

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