満足度★★★★★
夫婦 って
客席は Lの時に舞台を挟む形である。105分 観客は その大半を役者の背中を見続けることになる。
背中、であるから もちろん表情は見えない。見えないからそのぶんイマジネーションが働く。すると見えないけど見えてくる。もちろんそれは実際の役者の演技ではない。むしろ登場人物に自分の知ってる人物、もしくは自分自身を投影させる、スリルに満ちた作業かもしれない。いや、そうであった。
劇 だけれども 劇的な飛躍のある台詞はないかわりに 他人事はない、いきなり自分の鼻先に指差されたような。しばしば挟まれる沈黙の間、そして観客である私は傍観者から当事者となる
しかし 「熟していない熟年夫婦」の 或る事件と それが引き起こした状況と ふと訪れた和解 それをこれだけリアルな会話劇にしたのが 1975年生まれの劇作家とは!
いや、登場人物は 一組の夫婦だけではない。あとのひとりが誰か、それは舞台で確認してください
最後 思いがけないかたちで 不意の和解
その時の ふう…と 緊張が ほどけると同時に 心から笑った私。
戦いすんで(あと、何ラウンド?)
でも ひとつ何か「突破した」そんな男女の話