満足度★★★★★
縒り合わせられる糸のように次第にまとまってゆく挿話たち
友人の結婚で北九州を訪れた女性、定年退職を目前にした技術者、地元民などが織り成す人間模様。
最初は個別かと思われた挿話が、糸が撚り合わせられるようにまとまってゆき「居場所」という共通のキーワードに収束する一方、人々の心のしこりは逆にほどけてゆくツクリが巧み。
全体に「あたたかさ」も漂い135分の上演時間を感じさせないのはさすが。
かつて北九州市で4年間暮らした身には旦過橋や皿倉山などの地名が懐かしくもあった。
満足度★★★★
北九州に桑原演劇はお似合い?
内容を北九州に絡めねばならないという約束事の上に作られる、北九州芸術劇場プロデュース公演。
以前観たこのシリーズの別公演は北九州へのこだわりが薄すぎて鼻白んだが、本作は北九州市の主要な名所がもれなく出てくる、まさに北九州の劇。
ガラの悪そうな土地柄だけに人情味も強そうな北九州に、愛憎で結ばれた濃い人間関係を描き出す桑原演劇はしっくりはまり、加えてふんだんな笑いも誘因となって、劇世界にグイグイ釣り込まれた。
九州と無縁な役者も混じるなか、交わされる方言に不自然さがなかったのものめり込めた理由か?
満足度★★★★★
北九州/九州演劇界の実力を思い知らされ号泣。゚(PД`q。)゚。
「彼の地」、冒頭に膨大な情報量(演者数など)、
そして少なすぎる説明から来る混乱/混沌に始まり、
それを少しずつ少しずつ段階を踏むように
やさしく観客にその背景/物語を理解させていく。
そして最後にはそれぞれの人間ドラマに涙しつつ
九州小倉の地について、なんだか自分もその地に
いるような感覚にまでさせられてしまう、
とても上手い脚本/演出/構成そして演者さん達のお芝居でした。
(はっきりいって最初パニクった時点では
最後に自分が全て理解して号泣しているなど想像もつきませんでした。)
はっきりいって、上手い!!
※ これから観劇される方は、開演前にパンフレット中の
脚本/演出担当の方が手書きされた
「彼の地から見た北九州」チラシだけはぜひとも
読んでおく事をお勧めします。
これがあると物語のそれぞれの箇所で
「ああ、これがあの・・・」と東京者など特に
九州小倉独自の文化などを理解しやすくなる上、
「この背景設定は事実に基づくものだったのか」、
などという妙な感動もありますので。
満足度★★★★★
雰囲気
桑原さんの作品がはじめてでさらにほとんど知らない役者さんだったのですが作品の醸し出す雰囲気や登場人物達の彼の地に生きる苦悩や理由が飾り気がなくストレートに伝わって来ました。苦悩の描きかたが個人的には暗くなり過ぎず好みでした。笑いやホッコリする場面も造ったものではなく日常の雰囲気の中で行われているので最後まで作品のイメージが統一されていると思います。落ち着いた感動を味わうにはぴったりだと感じました。