石のような水 公演情報 石のような水」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.0
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  • 満足度★★★

    多面な筋を追いかけ描いた話、と思った
    日本というより地球の何処か=ゾーン?で、展開している一人称の私と別人のような私達。話を聞いているうちにそれが生身の人間なのか、死人なのかわからなくなってくる。
    乾いた土地に水一滴垂らし、枝葉の様に拡る景色を見ているような不条理とはまた違う非日常的な話だったが、ここに挙げられる「水」はどうしても昨今の原発の汚染水とかも想像してしまう。

    役者さん良かった、石切場のような舞台と暗闇を際立たせる照明が綺麗。
    約2時間。

    ネタバレBOX

    基になる映画の存在を知らない。
    チラシから未来都市風景とか空想していたが、そうでもなかった。
    冒頭から抑揚なく台詞を喋りまくる、漫画だったら1ページに登場人物全員が描かれた中、各自吹き出しの中に大量の台詞が入り込み、こちらはそれを一心不乱に読み込んでいるかのような始まり。
    支離滅裂な事を喋っているわけではなく、話が進むにつれ、それが後に繋がるが、時折繰り返しの場面が見られたり、舞台上でいろんな場面が同時進行で描かれた構成に、喋り方も含め、役者さんの切り替えの巧みさが見入ってしまった。

    隕石落下して立ち入り禁止区域になった場所をゾーンと言うになった。
    ゾーンの水を飲んだ事により、死者と出会えた者、その別れ方に切なくなった。不倫と我が子への愛情、姉妹の緊張関係とそれぞれの愛情の示し方、とか。今思い返せば凄く単純な事なのに、時折見られた霧に宗教聖域の出来事のように見られ、舞台マジックにかかっていたのかも。
    嫌悪感はない。考えないで、感じる舞台という世界だった。大変興味深い舞台だった。
  • 満足度★★★

    完成された世界観
    完成された世界観だった。

    興味深く拝見したが、私はそれほど面白いと感じなかった。

    ただ、好きな人には強烈に響くものなのかもしれない。

    ネタバレBOX

    なにげない会話や人間関係の中にあるズレのようなものを意識した脚本・演出。
    それらの断片が積み重なって物語が展開する。

    大きい枠での物語はあるが、明確に意味付けされたものはない。
    細部のズレは物語からはみ出し、そのはみ出したものを、
    観客は想像力の中で繋ぎ合わせることで、観客一人一人の物語が起ちあがる。

    私は、生者と死者の境界のことを、私自身が生きている生活の中での問題と重ねながら見た。

    ただ、そのズラし方や切断の仕方が、あざといような気がしないでもなかった。演出にしても、脚本にしても。

    演出では、有機的な会話にならないように、
    敢えて関係性を切断しているような演出がなされていた。
    勿論、普通の会話を異化するために行われているのだし、実際、その異様な感じが興味深くはあったが、それ以上の意義を感じることはできなかった。
    私は松本雄吉氏の演出を観るのは初めてなので、この作品での演出の仕方やその位置づけなどはよくわからない。

    脚本でも、わざと線をぼやかすことで、観客にゆだね、さまざまな解釈ができるようにしているというのが、戦略的な振る舞いに見えてしまった。
    (作品内でも、映画監督:御厨が須藤の妻に、「きちんと色を塗らないで、作品をぼやかして、誰にも通じないような作品を作っていないで、誰にでもわかるような作品を作ったらどうなの」というような罵倒をされるシーンがある。作品内でこれを語らせるというのは、作者の自嘲なのか、それとも自分は矜持を持ってやっているということの表れなのか、、、わからない。)

    松田正隆氏の作品を観るのは3作目。
    松田氏が脚本を書き、平田オリザ氏が演出した、『月の岬』は本当に素晴らしい作品だと思った。
    だが、去年のF/Tの演目だった『アンティゴネーへの旅の記録とその上演』は、今まで私が観たあらゆる演劇と名の付く表現の中で、もっとも酷い作品だと思った。
    私の中で、松田氏への認識はそのように引き裂かれている。
    この作品を観て、さらにわからなくなった。
    本質的に表現を探求している人なのか、それとも、奇を衒っているだけの人なのか。

    批判的に書いてしまったが、興味深く観ることはできた。
    ただ、それを支えていたのは、脚本や演出というより、
    役者さんたちの強さだったように思う。

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