さよならを教えて 公演情報 さよならを教えて」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★

    いろいろ引きずって
    人ってやっぱり昔の体験とか今に引きずって生きているのかな。でもってそれに縛られている間は前に進みづらくなっていて、息苦しい日々になってしまうのかと。過去にさよならを言うのは簡単そうで簡単でないね。過去があるから今があるわけだし。

    ネタバレBOX

    たびたび思い返される中学時代の話、その頃のみんなのキャラクター、あるいは以前に勤めていた会社のことなどみんなそれぞれが昔の事を引きずっていて、現実目の前にいる人々や状況を受け入れることが難しくなっているみたいでした。みんなの本音、真の姿が出始めてようやく過去にさよならが言えそうになってきたようでした。さよならとは誰かに思いを伝えるものだけではなく、自分自身の中にある過去の経験や人のイメージなどに別れを告げて前に進むための一つの区切りの事なのかもしれない、と感じました。
  • テーマに繊細に触れるような感覚
     現実世界と仮想世界の居心地の快適さといったようなことにも言及しながら、現代人の心のもろさや人間関係のコミュニケーションをテーマに扱った作品といえます。ただ、核心部分にストレートにずばっと鋭く迫り観るものの心を鷲掴みにするといった作風(例えば、つかさんのような)ではなく、さりげなく話の核心に触れてはすぐ離れ、またそれを繰り返すというような作風で、描写の鋭さが物足りないと感じる方がおられるかもしれませんが、私には、このような描写に徹した舞台作品もあってもよいのではと感じました。

    ネタバレBOX

     お芝居自体とはあまり関係がありませんが、客席の椅子に敷かれていた座布団というかクッションの大きさと厚さが椅子の大きさと程よく合っていて座り心地がなかなかよかったです(長時間の作品ではありませんが)。
     最近、特にパブリックシアター系では比較的上演時間が長い作品の場合椅子に座布団をおいているところが結構あるのです(観客への心配りとして大変ありがたいことと感謝しております)が、たいてい座布団の大きさと椅子の大きさが合っておらずそれに座って長時間観劇しているとかえって腰が痛くなる場合が多くなんのための座布団かと考えてしまうことがあります(特に、初台の劇場で)。

  • 満足度★★★★★

    キャラクターが魅力的でした
    舞台セットの作りやウェザリングなども良く出来ており、
    なかなか笑わせてくれて楽しめた約100分でした。

  • 過去の七番煎じ?あり得ないくらい失望
    何?どうしちゃったの?早船さん!と叫びたい気持ちでした。

    幾ら、佐藤さんと伊藤さんが不在だとしても、それ以前に、とてもこれが、いつもの早船さんの作品とは信じ難いほどの駄作脚本であり、陳腐な演出で、正直、愕然とする思いでした。

    ヒロインの女優さんが、役柄に合わないキャスティングだったことも手伝って、何一つ、心の奥に響くものがない舞台でした。

    凄く素敵な作品を上演する劇団だからと、誰かを誘って観に行かなくて良かったと、つくづく思いました。

    客席の皆さんに言いたかった。「いつもはこんなじゃないのよー」って。

    ネタバレBOX

    佐野さんお一人が、いつものサスペンデッズに持ち込むべく、懸命に、演じていらっしゃる印象でした。

    最初のシーンに登場する、壁張り職人の坂本の存在理由が不明でした。もう少し、後で、生きる役なのかと期待したのですが、単なる、話の聞き役以上の何者でもなかったのが残念。

    回想シーンの中に、更に別の回想シーンが折り込まれる技法も、いつもの早船作品ほど、気が利いておらず、演劇としてのまとまりの悪さを助長しただけのような気もしました。

    何となく、脚本も演出も、キャスティングさえ、付け焼刃の印象しかありませんでした。
  • 満足度★★★★★

    大人になっちまった悲哀
    もの想う大人は皆解っているのだ、自分のダメなところくらい。
    だけど解っているのにダメな方へと傾いて行ってしまう。
    そしてだんだん大事な人を大事にしなくなる。
    早船さんの無駄のない台詞で、それもまた人とのつながり方のひとつなのだと気づく。
    コテコテダンスもありの濃い目の味付けながら、やはり毎日食べても飽きない”人の心の普遍性”を描いていてその切なさにどうしようもなく涙がこぼれる。
    婚約している二人の関係が壊れていく時の緊張感がどきどきするほど秀逸。
    山田キヌヲさん、とても上手いしきれいだった。衣装も素敵。

    ネタバレBOX

    舞台は壁紙などの内装工事を請け負う小さな会社。
    宏美(岩本えり)は父の代からのこの会社を受け継いでいる。
    婚約者の洋介(佐野陽一)は中学の同級生だが、彼は勤めていた会社で
    大きなプロジェクトに失敗してから変わってしまったと宏美は感じている。
    異動先の部署で部下の女性からパワハラと訴えられ
    結局会社をクビになった洋介を見かねて「ウチを手伝ってくれない?」と持ちかけた宏美。
    今は一緒に仕事しているが、昔からのやり方に批判的な洋介とことごとく対立する。
    同じく中学の同級生で、病気退職して戻って来た夏子(山田キヌヲ)も
    ここで仕事を手伝っている。

    職人や、地主で大家の夫妻等が出入りするこの事務所で
    次第に相手に寛容でいられなくなっていく宏美と洋介。
    ネットでのバーチャルな世界に逃げ込む職人、大家夫妻の嫁姑問題、
    そして夏子の驚愕の行動…・。
    小さな世界で絡まり、引っ張り合い、ほどけてしまう人間関係の脆さ哀しさが描かれる。

    「終わりが見えるとやさしくなれる」という洋介の言葉が沁みる。
    このまま続くと思うから、うんざりして粗末に扱ってしまう私たちの習性を言い当てている。
    「結局自分に自信がないんだ」という言葉もリアルに説得力がある。
    自信がないから強い態度に出る、相手を威圧する。
    デスクに向かう洋介を演じる佐野さんの全身から、
    自分にも周囲にも苛立っている様子が伝わって来たし
    それをそのまま宏美にぶつけるところでは観ていてこちらも緊張した。
    ありがちなハッピーエンドでないところもよかった。

    夏子のクールな観察とストレートな物言いが爽快。
    入院前事務所に来て、会社を去る洋介と見送る宏美に
    「別れてもいいから二人で(見舞いに)来て」というところ。
    “さよならの仕方”を考えさせていいなあと思った。
    かわいいニットキャップが似合う山田キヌヲさんがとても素敵だった。

    大家の奥さんを演じた野々村のんさん、
    この方は“困った人”を可愛らしく見せるのが上手いと思う。
    情熱的な“なりきりダンス”が面白かった。

    中学時代の回想シーンを挿入して
    もの想う大人になってしまった哀しみと不安を際立たせた結果
    宏美が夏子を思いやって泣く場面に説得力が増した。
    ここもまた、子ども時代と決別するもうひとつの“さよなら”だったような気がする。

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