偽造/夏目漱石 公演情報 偽造/夏目漱石」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 2.5
1-2件 / 2件中
  • 満足度★★

    夏目漱石を通して見る日本
    夏目漱石の様々な小説のテクストをコラージュした作品で、表現したいことがあまり伝わってきませんでしたが、多様な台詞回しや視覚的な美しさが印象に残りました。

    4人の役者がモノローグ的にコラージュされたテクストを語る形式で、物語性は希薄な展開でした。「東京」や「富士山」がキーワードとして度々現れ、文章の中の特定の人物を指す名詞や代名詞を発声せずに沈黙に置き換えていて、その間が訪れる度にそこに「私」や「日本人」という言葉をイメージさせられ、それについて考えさせられました。
    日本をテーマにしつつ、『君が代』は用いずに、漱石の留学先のイギリスを連想させる『威風堂々第1番』を使っていたのがシニカルでした。

    序盤は独特な表現に惹かれましたが、その後の展開に中弛みを感じました。中盤で床に下手奥から上手手前に線上に照らされていた所を、子供用の靴を手で動かして歩いている様に見せるラストが美しかったです。

    ベニヤ板で塞がれた舞台奥の壁面の上手に4組の靴や下駄が立て掛けられ、客席のすぐ前には美術館等で見掛けるロープパーテーションポールが置かれた舞台美術が印象的でした。和洋折衷の衣装も美しかったです。

  • 満足度★★★

    逆効果
    良く分かりませんでした。

    ネタバレBOX

    夏目漱石の作品の中から、シーンやフレーズを抜き出して集めることで何かを表現した作品。あるいは表現したかった作品。

    「は、何々している」、「吾輩は、である」のようにセリフから代名詞、名詞が省略されていました。主語、自分、自我などがないことを表現したかったのかもしれませんが、聞いている限り、「は」の前は「私」しか考えられず、「吾輩は」の後には、漱石のあまりにも有名なフレーズですから、残念ながら猫しか思い浮かびませんでした。

    「は」の方は、むしろ「は」が強調されることによって返って「私は」であることが強調されてしまいました。「○○は」は、「は」まで含めて主語なんですね。主語を省こうとしたら「は」も含めて省かなければなりませんが、主語を省いたところで素直に日本語として通用してしまうし、何ともやっかいな話です。

    役者さんたちは熱演でしたが、内容は意味不明で、どうせ分からないのなら、アフタートークでもちょっと提案があったように、セリフを全て無くしてパフォーマンスだけで行うのも良いのかもしれません。漱石に似た役者さんもおられましたし、猫が電球にじゃれているところは分かりましたから。

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