十月大歌舞伎 公演情報 十月大歌舞伎」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    【夜の部】観劇
    夜の部の方が断然面白いです。

    ネタバレBOX

    四幕目 木の実・小金吾討死 
    いがみの権太は仁左衛門さんしかいないというくらいのはまり役。わざと持ち物を間違え、相手が自分の持ち物を開けて中身を確かめるであろうことを見越して因縁をつけるやり方で、小金吾はいがみの権太にしてやられましたが、討ち死にに関してはやさ男の割には大勢の敵と戦っての討ち死にでしたから恥じることはありません。

    五幕目 すし屋
    四つ並んだすし桶は、初めは左から空、空、三貫目、小金吾の首の順でしたが、弥左衛門が血で汚れた衣服を左端の板の下に仕舞ったため、空、三貫目、小金吾の首、空の順になりました。そのため権太が首を持って行ってしまったというわけです。

    瀕死の権太が、四幕目で息子からくすねたおもちゃの笛を使って維盛と維盛の妻子を呼んだのは何とも皮肉でした。権太の妻子は身代わりになって鎌倉方に引き立てられて行った後でしたから。

    権太が鎌倉方から褒美でもらった陣羽織に書かれていた文字は、「内やゆかしき、内ぞゆかしき」で、中には袈裟と数珠が入っていました。頼朝は、伊豆への流刑で済まし、自分の命を助けてくれた維盛の父重盛に恩義を感じており、維盛を殺すことは考えておらず出家を勧めたのでした。維盛もその意を汲んで妻子と別れ出家します。

    大詰 川連法眼館
    源九郎狐の忠信は菊五郎さんしかいないのかというくらいのはまり役。階段から突然現れるのは、事前にずーっとそこばかり見ていましたがやっぱり不思議です。廊下の欄干に乗ったり、高い所から飛び下りたり、70過ぎなのに軽々とした身のこなしは素晴らしかったです。

    源九郎狐が鼓の皮と親子だと打ち明けた後、鼓は音が出なくなりました。鼓をもらって喜んだ源九郎狐は置き土産として屋敷を狙っていた隠密のような兵士三人を退治して木に登って大団円。
  • 満足度★★★★

    夜の部
    五幕目のすし屋では、いがみの権太役の仁左衛門さん、最初は憎憎しく最後は人情深さを味あわせてくれた。

    大 詰 川連法眼館では、源九郎狐の 菊五郎 さん、親子の情愛は狐も人も変わらないという切なさを訴えかけてきて、しみじみとさせてくれた。

    義経千本桜、すし屋の段は見た記憶があるが、やはりそれでもよかった。

    新歌舞伎座は今回がお初。席は3階のAであったが、前の席との間隔が狭く、隣が空席であったため、体を斜めにしてみなければならなかった。
    終演後、一等、二等の席に座ってみたが、ゆったりとしていた。

    でも二等席で14,000円は、少しためらってしまうお値段だ。

  • 満足度★★★★

    【昼の部】観劇
    六年半振りに通し狂言『義経千本桜』を通しで観ることにしました。

    ネタバレBOX

    序幕 鳥居前、二幕目 渡海屋・大物浦、三幕目 道行初音旅

    落語の洒落に、盗み酒と掛けて義経千本桜の道行と解く、その心は静に忠信というのがありましたが、正に道行初音旅のことです。菊五郎さんお若いですね。

    そんなことよりも驚いたのは、もちろん役者は異なるのですが、11月と12月がどちらも通し狂言『仮名手本忠臣蔵』だということです。大丈夫かいな。

    12月には9月に手術をされたばかりの三津五郎さんの名前も載っていますが、何か伝統伝承のためには手段を選ばないという松竹の危機感を感じます。
  • 満足度★★★★★

    梅枝の進境著しさに嬉しさ
    ニ度目の新歌舞伎座。

    考えてみたら、その役者さんの見せ場で、その役者さんの屋号の掛け声が掛るという、言わばあたりまえの状況の中での歌舞伎観劇、実に久々でした。

    それだけでも、余念なく、落ち着いた気持ちで、舞台に集中することができ、本当にあたりまえのありがたさを痛感しました。

    仁左衛門さんのいがみの権太観たさに、初日に参りましたが、梅枝さんの小金吾の演技が繊細で美しく、いつの間にこんな楽しみな役者さんに成長されたのかと、胸が熱くなりました。

    仁左衛門さんの権太は数えきれない程拝見していますが、いつも芸が細やかで、何度観ても泣かされます。父と息子の情愛の機微に、昨日観た「そして父になる」と相通じるものを感じました。

    菊五郎さんの「川連法眼館」は、何度も拝見していて、自分の好みではないので、今回は、パスさせて頂きました。

    ネタバレBOX

    「義経千本桜」は、私の記憶が確かなら、つい最近まで、滅多に通し上演はされなかったのではないかと思いますが、やはり、「木の実・小金吾討死」から続けて、「すし屋」を観ると、いがみの権太の悲劇が身に沁みて感じ取れるので、今後も是非こういう上演形態でお願いしたいと強く思いました。

    「木の実」の場面で、権太と妻小せん、幼い息子との仲睦まじさに微笑ましく感じる瞬間があるため、「すし屋」での3人のその後の状況に涙が禁じ得ません。息子から受け取った笛が、最後に、あーいう形での小道具に使われるという絶妙な伏線と、それを丁寧に演じられる仁左衛門さんの芸に、泣かされました。

    権太の父役の歌六さんの秀逸な演技、悲劇の中で、無理のない笑いの場面を見事に演じるお里役の孝太郎さんも、今や、押しも押されもせぬ、女形さんに成長され、楽屋でミニカーで遊んで父上に叱られていた男の子が、こんなに立派な役者さんになられたんだなあと感慨深い思いがしました。

    秀太郎さんの小せんも大好きです。

    これだけ、ベストキャスティングの舞台も、なかなかないなと感じました。

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