ART 公演情報 ART」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    最終日観劇
    静物画の様な壁面を背にし、1枚の絵画を巡り15年来の男友達で口喧嘩が始まる。次第に本音炸裂する口論は1:1→2:1になったり。
    女性作家らしい男性への理想が根底に見られる様な、面映さある後半の会話とさらけ出し具合が面白かったが、いかにも海外ぽい言い回しだな、とも思った。後半の3人の構図は、漫画家のよしながふみの作品ぽかったけど。
    原作者のヤスミナ・レサの作品を見るのは、2年前のシスカンパニーの「大人は、かく戦えり」以来だけど、少人数で口論させるのが好きなんだろうか。
    でも、あの絵画は前衛過ぎてお金は払えないや(苦笑)
    知的な気分になれた約1時間45分。

    ネタバレBOX

    発端の絵画を購入したセルジュ(須賀)、それを見せられた友人の一人マルク(萩原)と、どっち付かずの感想ばかり言ってしまうイヴァン(山崎)
    1メートル程の縦長キャンパスに描かれた絵画は、白地の中に白い一本線が入った前衛絵画らしい。
    美的感覚の違い、友人に対する目に見えない距離感や態度、よもや仲違いしたまま終るのか、と思ったらバランス良く終って惹き込まれた。
    イヴァンの長台詞は凄いけど、母親との会話をあんなに覚えてるなんて凄いな(笑)
    役者さんはそれぞれ良かったけど、役柄の齢が30代前半〜40代前半の仲間に見え、この話の内容だったら年代を揃えた方がもっと違った面白さも味わえたのかも。
    何気ない台詞で一区切りつけ、白で覆われた舞台を回転させるシンプルな転換。
    時折、照明光の加減で舞台の壁面がまた別の表情を見せ、そちらも綺麗で良かった。
    上部座席から見ていたので、最後のマルクの描く様子がじっくり見られ、満足。お絵描き歌みたいな作風だったけどw。
  • 満足度★★★★

    初演の感動には遠く及ばず
    ヤスミナ・レザのこの戯曲は、友人関係の真実の姿をあぶり出した、実に秀逸極まりない作品なので、もちろん、一定水準は楽々超える力を持っています。

    演技者を目指す、男性俳優さんには、是非テキストにして頂きたい本です。
    シチュエーションにばかり拘る、劇作家にもお手本にして頂きたい、戯曲です。

    今回の男優3名も、実力のある若手俳優ばかりで、舞台作品として、かなり上出来な作品に仕上がっていたのですが、初演メンバーの舞台に比べると、どうしても、軽い印象を受けました。

    他愛ないことから口喧嘩になる友人同士の関係に、他人ごと気取りで笑って観ている内に、自らの深層心理を抉りだされたような衝撃を受けた初演舞台の感動には、残念ながら、遠く及ばなかった気がします。

    特に、イワン役の平田満さんの名演は、今でも、目に焼き付いていますので…。

    ネタバレBOX

    真っ白な絵を巡って、口喧嘩が始まるのに、舞台セットも全部白尽くめというのは、逆効果なんじゃないかなという印象を受けました。

    BGMも、どうもこの作品にはそぐわない感じで、音楽が鳴り出すと、邪魔な気分になりました。異化効果を狙ったのかしら?

    友人関係って、本当に難しくて、大切な友達であればあるほど、支配欲や意地悪な気持ちが芽生えたりします。何もかも、同感したい思いが高じて、思うままにならない友人に、説明できない怒りのような気持を抱くこともあります。
    でも、最終的に、大事な関係を壊したくないから、自分の感情をコントロールして、友人であり続けようと、人間は常に、親しい人との関係に四苦八苦しているのですよね。

    そういう、人間の深層心理を、実に巧みに舞台化して秀作であることは、間違いなく、今回も、初演から14年ぶりに観た、「ART]に、自省の機会を与えて頂きました。

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