ART 公演情報 関西テレビ放送「ART」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    初演の感動には遠く及ばず
    ヤスミナ・レザのこの戯曲は、友人関係の真実の姿をあぶり出した、実に秀逸極まりない作品なので、もちろん、一定水準は楽々超える力を持っています。

    演技者を目指す、男性俳優さんには、是非テキストにして頂きたい本です。
    シチュエーションにばかり拘る、劇作家にもお手本にして頂きたい、戯曲です。

    今回の男優3名も、実力のある若手俳優ばかりで、舞台作品として、かなり上出来な作品に仕上がっていたのですが、初演メンバーの舞台に比べると、どうしても、軽い印象を受けました。

    他愛ないことから口喧嘩になる友人同士の関係に、他人ごと気取りで笑って観ている内に、自らの深層心理を抉りだされたような衝撃を受けた初演舞台の感動には、残念ながら、遠く及ばなかった気がします。

    特に、イワン役の平田満さんの名演は、今でも、目に焼き付いていますので…。

    ネタバレBOX

    真っ白な絵を巡って、口喧嘩が始まるのに、舞台セットも全部白尽くめというのは、逆効果なんじゃないかなという印象を受けました。

    BGMも、どうもこの作品にはそぐわない感じで、音楽が鳴り出すと、邪魔な気分になりました。異化効果を狙ったのかしら?

    友人関係って、本当に難しくて、大切な友達であればあるほど、支配欲や意地悪な気持ちが芽生えたりします。何もかも、同感したい思いが高じて、思うままにならない友人に、説明できない怒りのような気持を抱くこともあります。
    でも、最終的に、大事な関係を壊したくないから、自分の感情をコントロールして、友人であり続けようと、人間は常に、親しい人との関係に四苦八苦しているのですよね。

    そういう、人間の深層心理を、実に巧みに舞台化して秀作であることは、間違いなく、今回も、初演から14年ぶりに観た、「ART]に、自省の機会を与えて頂きました。

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    2013/08/18 18:29

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