頭痛肩こり樋口一葉 公演情報 頭痛肩こり樋口一葉」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
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  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    2022年公演を2回観た凄く思い入れのある作品。幽霊花蛍役若村麻由美さんを観なくちゃいけない義務感すら感じた。公演メンバーはほぼ同じ。

    主人公・樋口夏子(=樋口一葉)の明治23年(1890年)19歳から没後明治31年(1898年)までの物語。貫地谷しほりさん。
    母、多喜は増子倭文江(しずえ)さん。ジャイ子や花沢さん系のアニメ声優っぽい味のある声が武器。
    妹、邦子は最早こまつ座看板女優の瀬戸さおりさん。後ろでんぐり返しに「ケケケケケ」。この人はコメディエンヌなんだと思う。

    樋口多喜が乳母として育てた稲葉鑛(こう)役元宝塚トップスター香寿たつきさんの歌は説得力があって胸に沁みる。美川憲一のような表情によるリアクション芸。

    幼くして父を亡くした兄妹の面倒をかつて樋口家で見たことがある。父である樋口則義の同僚であった縁。その妹の方、中野八重役を熊谷真実さんから岡本玲さんへ変更。岡本玲さんは日本の演劇界を背負う気なのか?貪欲な役者。

    そして会場人気No.1の幽霊花蛍役若村麻由美さん。

    現実世界に失望し過ぎて興味を失い、文学という異世界でのみ生きる実感を味わう樋口夏子。過酷な境遇に追い詰められた彼女の魂は文学の宇宙で自由に飛び回り真実を叫ぶ。
    一度は是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    気付かれない程度の台詞のちょっとしたミスなど、余り調子良くない回だったのかも知れない。役柄もあるのだろうが役者が疲れやつれて見えた。第二幕からぐんぐん良くなった気がする。配役の年齢差が段々気になるレヴェルに。

    若村麻由美さんは流石に会場を沸かせる。増子倭文江さんと瀬戸さおりさんの感情がほとばしる対決が見事だった。声音の重要性。増子倭文江さんの「麦湯が美味しいねえ」は余韻が残る。麦湯=現在の麦茶。砂糖を沢山入れるとどんな味になるのか?
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2026/08/09 (日) 13:00

    座席1階

    井上ひさしがこまつ座旗揚げで上演した演目の再演。160回記念公演にふさわしい、素晴らしい出来だった。

    前回とほぼ同じ座組が、グレードアップの期待に応えたと思う。
    樋口一葉(夏子)を演じた貫地谷しほりの冷静な舞台での動き、八重を演じた岡本玲のはじける演技、年を重ねてすごみを増した多喜役の増子倭文江、しっとりとした歌声で魅了した香寿たつき、もはや怪演と言っていい幽霊・花螢の若村麻由美、こまつ座で経験を積んできた邦子役の瀬戸さおり。この6人がそれぞれの役割を超えて美しい舞台を作り上げた。

    舞台は武家社会から転換したばかりの明治時代。男尊女卑の世間で貧困の中をもがいて生きた樋口一葉の人生だ。亡くなった家族・仲間が帰ってくるお盆の場面が、年を追って描かれる。花螢の舞台回しを軸に、現世とあの世を行き来するような人間関係がこの物語の最大の魅力。最初にこの世を離れた花螢が怨みを晴らそうとする複雑な関係が、謎解きのようで面白い。

    吉原の女郎の受け皿となる居場所を作ろうとしていたという一葉の構想は、現代の福祉につながる取り組みだ。自らが病に倒れて早逝したが、一葉の人生への井上ひさしのリスペクトと愛情がたっぷりと伝わってきた。今回も秀作だ。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「充実の再演」

     座付作者である井上ひさしの作品を上演する制作集団「こまつ座」の旗揚げ公演として1984年に初演され、現在に至るまで再演を繰り返している樋口一葉の評伝劇である。2022年版とほぼ同じ座組での上演となった。

      父や兄に先立たれ若くして樋口家の戸主となった夏子(一葉・貫地谷しほり)は、母の多喜(増子倭文江)と妹の邦子(瀬戸さおり)を養うべく孤軍奮闘の日々を送っている。毎年7月16日のお盆の樋口家には、かつて多喜が乳母として仕えた旗本の娘・稲葉鑛(香寿たつき)や、夏子の旧友の中野八重(岡本玲)らが集い、身の上ばなしに興じていた。やがて筆一本で身を立てようと決心する夏子だったが、そんな彼女にだけ花螢(若村麻由美)という幽霊が見えるようになり――

    ネタバレBOX


     42年前に書かれた作品がいまだに多くの観客を惹きつけるのは、登場人物を取り巻く桎梏が形を変えて社会に根付いているからなのだろう。家父長制ならぬ 家母長制下で母の多喜から強い圧力を受け戸主として家計を支える夏子、夫に虐げられた 鑛や八重、そして恨みの連鎖ゆえに幽霊になってしまった花螢。彼女たちの嘆きは笑いになって鋭く胸を突いてきた。初日ゆえか台詞や段取りの間違いが見られたが、そうした瑕疵をすぐに忘れさせる圧倒的な座組であった。

     貫地谷しほりの夏子は必死さのなかにどこか間の抜けた可愛らしさがあり、ここが母から目くじらを立てられるところだと納得させる出来である。なかでも後半、女郎になった八重の前で婦人の嘆きを説くくだりが白眉であった。 若村麻由美の花螢の異様なおかしさ、香寿たつきの 鑛による「心」の歌唱、 健気な瀬戸さおりの邦子 、初登場ながら前後半でガラッと変わる難しい八重を演じきった 岡本玲など、出演者皆に見せ場が用意されていた。なかでも 増子倭文江 の多喜がグイグイ夏子を追い詰め、その後じょじょに老いさらばえていく具合を憎らしくもおかしく演じて圧巻であった。

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