公演情報
こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」の観てきた!クチコミとコメント
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2026/08/09 (日) 13:00
座席1階
井上ひさしがこまつ座旗揚げで上演した演目の再演。160回記念公演にふさわしい、素晴らしい出来だった。
前回とほぼ同じ座組が、グレードアップの期待に応えたと思う。
樋口一葉(夏子)を演じた貫地谷しほりの冷静な舞台での動き、八重を演じた岡本玲のはじける演技、年を重ねてすごみを増した多喜役の増子倭文江、しっとりとした歌声で魅了した香寿たつき、もはや怪演と言っていい幽霊・花螢の若村麻由美、こまつ座で経験を積んできた邦子役の瀬戸さおり。この6人がそれぞれの役割を超えて美しい舞台を作り上げた。
舞台は武家社会から転換したばかりの明治時代。男尊女卑の世間で貧困の中をもがいて生きた樋口一葉の人生だ。亡くなった家族・仲間が帰ってくるお盆の場面が、年を追って描かれる。花螢の舞台回しを軸に、現世とあの世を行き来するような人間関係がこの物語の最大の魅力。最初にこの世を離れた花螢が怨みを晴らそうとする複雑な関係が、謎解きのようで面白い。
吉原の女郎の受け皿となる居場所を作ろうとしていたという一葉の構想は、現代の福祉につながる取り組みだ。自らが病に倒れて早逝したが、一葉の人生への井上ひさしのリスペクトと愛情がたっぷりと伝わってきた。今回も秀作だ。