頭痛肩こり樋口一葉 公演情報 こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    「充実の再演」

     座付作者である井上ひさしの作品を上演する制作集団「こまつ座」の旗揚げ公演として1984年に初演され、現在に至るまで再演を繰り返している樋口一葉の評伝劇である。2022年版とほぼ同じ座組での上演となった。

      父や兄に先立たれ若くして樋口家の戸主となった夏子(一葉・貫地谷しほり)は、母の多喜(増子倭文江)と妹の邦子(瀬戸さおり)を養うべく孤軍奮闘の日々を送っている。毎年7月16日のお盆の樋口家には、かつて多喜が乳母として仕えた旗本の娘・稲葉鑛(香寿たつき)や、夏子の旧友の中野八重(岡本玲)らが集い、身の上ばなしに興じていた。やがて筆一本で身を立てようと決心する夏子だったが、そんな彼女にだけ花螢(若村麻由美)という幽霊が見えるようになり――

    ネタバレBOX


     42年前に書かれた作品がいまだに多くの観客を惹きつけるのは、登場人物を取り巻く桎梏が形を変えて社会に根付いているからなのだろう。家父長制ならぬ 家母長制下で母の多喜から強い圧力を受け戸主として家計を支える夏子、夫に虐げられた 鑛や八重、そして恨みの連鎖ゆえに幽霊になってしまった花螢。彼女たちの嘆きは笑いになって鋭く胸を突いてきた。初日ゆえか台詞や段取りの間違いが見られたが、そうした瑕疵をすぐに忘れさせる圧倒的な座組であった。

     貫地谷しほりの夏子は必死さのなかにどこか間の抜けた可愛らしさがあり、ここが母から目くじらを立てられるところだと納得させる出来である。なかでも後半、女郎になった八重の前で婦人の嘆きを説くくだりが白眉であった。 若村麻由美の花螢の異様なおかしさ、香寿たつきの 鑛による「心」の歌唱、 健気な瀬戸さおりの邦子 、初登場ながら前後半でガラッと変わる難しい八重を演じきった 岡本玲など、出演者皆に見せ場が用意されていた。なかでも 増子倭文江 の多喜がグイグイ夏子を追い詰め、その後じょじょに老いさらばえていく具合を憎らしくもおかしく演じて圧巻であった。

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    2026/07/30 11:05

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