赤鬼 公演情報 赤鬼」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
1-9件 / 9件中
  • 満足度★★★★★

    見終わった後の虚脱感
    赤鬼という本をやる上で一番大変で、一番地力が必要な方法を取ったのではないかと思います。
    にも関わらず、しっかり見応えのあるものになっていたことに驚き、見終わった後にずっしり心にくるものがありました。

    ネタバレBOX

    以前、まったく別の団体の赤鬼を見たことがありますが、その時はキャストが10人ほどいました。
    しかしマクガフィンズは野田地図の公演と同じように4人ですべての役を演じ、今まで多用してきた劇中の映像すら使わず、大道具もなく、たった二つの小道具と照明音響効果だけで、浜辺の人間模様と差別、希望を得たあの女が絶望に至るまでの過程をエネルギッシュに表現しきっていたことに感動しました。
    舞台上に余計なものがなかったせいなのか、マクガフィンズの役者さん達がうまいのか、いろいろな理由があるとは思うのですが、人間の力がびしびし伝わってきて、結末まで見た後もうまく言葉になりません。
    一本お芝居を見終わった後、いつもは「あの役者さんが良かったな」と一人二人顔が浮かぶのですが、今回は4人でワンセットという印象があります。本当に皆さん素晴らしかったです。
  • 満足度★★★

    今になって
    今になってジワジワ来ています。でも,まだ消化未了。

  • 満足度★★★

    単純明快に過ぎて陳腐
     テーマはハッキリしている。而も狙いも明らかだ。寧ろ明らか過ぎて凡庸の域に達し(・・)ているのである。謎が無い。唯一の謎というべきものがあるとすれば、最初、フランス語で話していたのになぜ英語になるのか、ということである。たかだかドーバー海峡を超えた程度の話なのだとしたら、余りに陳腐である。夢のように遠い故郷、一種のネバーランドが近過ぎるからである。そうではなくて、近くても涯もなく遠いように思われるのであるとしたら、それを強調したかったならば、演出は、もっと実存の虚無や夜寄る辺無さを表現していなければならない。距離は、物理的には空間的・時間的なものだが、メンタルにとっては、心象距離の問題だからだ。
     また、ここではカニバリズムの倫理的問題が他所者に転化される差別が問われているが、それが、あくまで知的レベルを抜け出ていないことが問題である。妹はそれ故に自殺するのであるが。問題はそれほど抽象的でもなければ象徴的でもなく、知的処理で片付く問題でもない。この点こそ演出の力の見せ場だったのに、そのチャンスが活かされていない。

  • 満足度★★★★

    熱のこもった演技
    熱のこもった演技が素晴らしかった。
    緩急(押し引き)のバランスも素晴らしかった。

    <あの女>役:金魚さんに惹きつけられた。

    ネタバレBOX

    芝居が始まった直後は、異常に速いテンポや、熱血的な演技に、エネルギーを放出するだけの芝居かと、ちょっと引いて観ていたが、そのテンポに慣れていくにつれ、とても惹きつけられていった。
    何よりも、速い演技、エネルギーを放出する演技だけではなく、ゆっくりとした演技や引きの演技のようなものも、きちんとできていたのが素晴らしかった。
    その緩急にとても惹きつけられた。

    演出では、脚本に指定されていたものかもしれないが、
    最初は何語をしゃべっているのかわからなかった赤鬼が、だんだんと英語をしゃべっているのだなと観客にわかってくるその過程がとても面白かった。
    何語をしゃべっているのかわからない時は、赤鬼とは何を意味しているのか様々な想像を膨らませながら見た。アウトサイダー全般について語っているのか、、、部落者のことか、、、障害者のことか、、、朝鮮半島や台湾から来た者のことか、、、など。集団と排除の問題、差別のことを色々と考えながら見た。

    そうしているうちに、赤鬼は英語圏から来た者だとわかってくる。
    何が秀逸かと言えば、物語の主人公<あの女>が他国の言語を認識していく過程が、そのまま、観客がその言語を認識していく過程と重なっているということだ。最初はただの動物の叫びのような、言葉とも思えなかったものが、だんだんと言葉らしきものだとわかるようになり、最終的にはその意味もおぼろげに理解できるようになってくる。素晴らしい演出。
    ただし、時間経過がよくわからないこともあって、「本当にそんなにすぐに習得できるのか」という疑問も湧いたが、まぁ、それはフィクションだからということで、不問に付して観た。

    ただ、ラストの<あの女>が死を選ぶ場面で、音楽を使って過剰にドラマチックに盛り上げようとしていた演出にはちょっとだけ引いてしまった。
    装飾物で盛り上げるのではなく、役者の演技それ自体で見せてほしかった。音楽がなくても魅せられるだけの演技だったと思う。その場合、装飾物である音楽はむしろ邪魔になる。

    物語としては、人間に対する不信・絶望というものを見つめているとても良い作品だと思った。安易な希望なんて持てない時代に、嘘っぱちの希望なんて見たくない。むしろ、この絶望とどう向き合うかということが問われているのだろう。
  • 満足度★★★★★

    見事
    「マクガフィンズらしさ」というものがもしあるのなら、見事に表現されていたと思います。
    大胆で骨太な演出と、それを体現するキャスト、スタッフ、すべてが融合しているように感じました。

    ネタバレBOX

    とにかくキャスト4名のポテンシャルが高い。NODA-MAPで上演された赤鬼と同じく、4名という人数で幾つもの役を兼ねて演じているのですが、体勢や声色をすべて変える、各々のキャラづくりが非常に秀逸で、わかりやすかったです。
    特に今回は衣装が素敵でした。世界観とマッチしていて、小屋の雰囲気も相まってぐっと引き込まれました。
    その他、印象に残ったのはラストシーンで流れる曲。お話はあんな最期を迎えるのに、流れてくる曲は悲しげではなく、メロディアスなロック(アッパーチューンとでもいえばいいでしょうか)だった事によって逆に悲しさが際立っていたように思います。あの女、赤鬼、ミズカネの退場の演出も非常に好み。観終わった後にどんより暗くなってしまうのではなく、一種の爽やかさのようなものを感じさせてくれるので、お芝居を強烈に「観た」という感覚と共に、しっかり心に残るものがあります。
  • 満足度★★★★★

    横田さんのではない脚本
    野田秀樹さんの脚本だったからなのか、いつもと違う景色が見えたような気がしました。でも、MacGuffinsはMacGuffins。変わらないどころかいつも以上のパワーと緩急で、あっという間の90分でした。

    ネタバレBOX

    4名の役者と、2つのバケツのような小道具だけで、こんなにも色々な世界や、表現ができるんだと感激しました。前回に引き続き、金魚さんに注目していたのですが、ヒロインらしいヒロインではなく、絶望しながらも世の中の嫌なところに立ち向かう強い女性を演じられていて、役幅の広さに目を見はりました。
  • 満足度★★★★

    鱶鰭
    演出と役者によって観えた世界は面白かった。

  • 満足度★★★★


    面白い。

    ネタバレBOX

    浜辺の村に赤鬼(有村優太)が現れ村人は恐れる。部外者扱いされる姉弟の姉(金魚)は赤鬼と接触し、赤鬼が海の向こうから来た「人」とわかり、言葉も次第に理解する。それでも村人らの偏見は変わらず、姉と赤鬼を洞窟へ閉じ込め処刑しようとする。頭の悪い弟・とんび(横田純)と嘘つきで姉とヤリたがるミズカネに助けられ海に出るが、食べ物もなく漂流してしまう。赤鬼以外の3人は運よく村に打ち上げられ助かる。しかし、舟で死んだ赤鬼を食べて生き延びたことを知った姉は、海へ投身自殺してしまう…。

    面白い話。言葉も冴えてる。外の人をもってきて、人とはを描く鮮烈な作品。気に入った。
    鬼が人を喰うんじゃなく、人が生きるために鬼を喰うってセリフがいい。村人も、嘘吐いて赤鬼の死肉を姉に食べさせたミズカネも、赤鬼の死肉と知ってたかもしれない姉も、鬼だったのか。絶望しない姉が、ついに絶望し身を投げる。村人から迫害されても生き続けた姉が、内の鬼に気づき初めて絶望を知るって、えも言われぬ話。シビれた。

    少数(4人)でのスピーディな舞台展開がいい。役の変化も良かった。元の作品は知らないけど、複雑な演出に凝るでもなく、若干劇団のエッセンスを注入したような仕上げ方も良かったと思う。そこらへんのバランス感覚がいい。
    語り手であり、頭の弱いとんびのポジションが分らなかった。いらないって意味でなく。姉が身を投げ、彼は何を思ったろうかと。何も思わなかったとしたら、それもまた鬼ということなのかなと。

    チラシデザイン◎。
  • 満足度★★★★★

    MacGuffinsという劇団は昇っていくのですね
    いつも横田氏が脚本を書いていたMacGffinsが野田秀樹の「赤鬼」を上演。「MacGuffinsはコントをつくっている」という説もあるようですが、これを見れば彼らが劇団以外の何物でもないことがよく分かります。感動は涙が出ることに限らず、打ち震えること。しかと打ち震えた公演でした。予定が合えば絶対リピーターになった。

    ネタバレBOX

    観終わって気付いたのだけど、自分はMacGuffinsを観に行くときは笑いではないものを観に行っていたような気がします。
    もちろん、MacGuffinsにおいて笑いは欠かすことのできないものであり且つ彼らが卓越した「笑いの技術」を持っているので、笑わないことはまずない。
    MacGuffinsを、観に行っていたのでしょう。

    今回の芝居、始まってどれくらいだか分からないのだけど、「あれ?自分も他の観客も笑わないぞ」なんて思いました。のっけから、いつもの展開のさせ方とは違う型が用意されていたようで、役者4人で作り出す線の様式美が、今回は観ることができて、恐らくそれが自分も含め「今回はいつもと違う」ということを実感しました。また、今までは横の動きがベースであったものの、縦の動き、とりわけ下へ「落ちる」ような動きが散見されたことも、MacGuffinsが新しい一歩を踏み出しているようで、思わずニヤリとしてしまった。

    簡単な言葉で言うと、今回の作品が個人的には一番印象深くてよかった、すべて。個々の役者の作るキャラクターや表現はまっすぐ力強く、ある時は繊細、そして先述のように動きの面でも新しい試みがあったことで、新鮮でもあった。ただ、今回の作品が横田氏が書いたものではなく、野田秀樹が書いたということで、なんとも複雑な思いはあるのです。

    しかしそれが例え「趣味」の範疇であったとしても、自分はあくまでMacGuffinsを観に来ている、それが例え笑いであっても、今回のように暗く抉られるような作品であったとしても。

    素晴らしい作品でした、素晴らしい役者たちでした、素晴らしい何もかもでした。劇団以外の何物でもない。MacGuffinsのこういう芝居をもっと観たい!叶わないことかもしれないけど、声高に言うことが観客の無責任さだとも知っています(笑)

    野田っぽい、というのがあります。たとえそれが野田の戯曲でなくても。
    例えば言葉遊びを強調するような発話。あれがなかったこともよいと思う。
    以前、野田の真似事をしている芝居を観たとき、「野田を観ればいいや」と思ってしまったから。演出の古田島さんは、野田が好きだけども、ちゃんとMacGuffinsになっていたんですね。既成の脚本と戦うっていうのはそういうことなのかも知りません。

    光も音も道具も衣装も秀逸でした。
    これで2000円は安かった、安かったからいいと思います。

    こう、いろいろ言いましたが、かなり笑った私です。
    「Zカップ!」や「バババババ!」と言って子供が生まれて戻すところとか、ぴちゃぴちゃするとことか(笑)

    日曜日までやっています。
    当日券、10枚程度用意するそうです。
    無理してでも観た方がよい芝居だと私は思います。


    長々と失礼しました。次回も期待しています。

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