赤鬼 公演情報 MacGuffins「赤鬼」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    熱のこもった演技
    熱のこもった演技が素晴らしかった。
    緩急(押し引き)のバランスも素晴らしかった。

    <あの女>役:金魚さんに惹きつけられた。

    ネタバレBOX

    芝居が始まった直後は、異常に速いテンポや、熱血的な演技に、エネルギーを放出するだけの芝居かと、ちょっと引いて観ていたが、そのテンポに慣れていくにつれ、とても惹きつけられていった。
    何よりも、速い演技、エネルギーを放出する演技だけではなく、ゆっくりとした演技や引きの演技のようなものも、きちんとできていたのが素晴らしかった。
    その緩急にとても惹きつけられた。

    演出では、脚本に指定されていたものかもしれないが、
    最初は何語をしゃべっているのかわからなかった赤鬼が、だんだんと英語をしゃべっているのだなと観客にわかってくるその過程がとても面白かった。
    何語をしゃべっているのかわからない時は、赤鬼とは何を意味しているのか様々な想像を膨らませながら見た。アウトサイダー全般について語っているのか、、、部落者のことか、、、障害者のことか、、、朝鮮半島や台湾から来た者のことか、、、など。集団と排除の問題、差別のことを色々と考えながら見た。

    そうしているうちに、赤鬼は英語圏から来た者だとわかってくる。
    何が秀逸かと言えば、物語の主人公<あの女>が他国の言語を認識していく過程が、そのまま、観客がその言語を認識していく過程と重なっているということだ。最初はただの動物の叫びのような、言葉とも思えなかったものが、だんだんと言葉らしきものだとわかるようになり、最終的にはその意味もおぼろげに理解できるようになってくる。素晴らしい演出。
    ただし、時間経過がよくわからないこともあって、「本当にそんなにすぐに習得できるのか」という疑問も湧いたが、まぁ、それはフィクションだからということで、不問に付して観た。

    ただ、ラストの<あの女>が死を選ぶ場面で、音楽を使って過剰にドラマチックに盛り上げようとしていた演出にはちょっとだけ引いてしまった。
    装飾物で盛り上げるのではなく、役者の演技それ自体で見せてほしかった。音楽がなくても魅せられるだけの演技だったと思う。その場合、装飾物である音楽はむしろ邪魔になる。

    物語としては、人間に対する不信・絶望というものを見つめているとても良い作品だと思った。安易な希望なんて持てない時代に、嘘っぱちの希望なんて見たくない。むしろ、この絶望とどう向き合うかということが問われているのだろう。

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    2013/09/08 22:08

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