善人の条件 公演情報 善人の条件」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.1
1-7件 / 7件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    面白い。本作はジェームス三木氏の映画監督デビュー作であり、舞台も自ら原作・脚本を務めたとある。その作品に挑むのが結成10周年を迎えるdiamond-Z。文学座のシニア世代を対象とした「プラチナクラス」で学んだ仲間達が、演劇を楽しむ場として作ったユニットで、定期的に公演を行っている。

    1989年作、主人公はクリーンな民主主義市政を目指し立候補するが、選挙戦を通じて土地柄や習慣などで、だんだん金権選挙戦の渦に巻き込まれていく。その悲哀と狂気を 時にユーモラスに描いた物語。現代の選挙戦ではSNSを駆使し誹謗中傷や流言飛語といった攻防戦が繰り広げられるが、約40年前の作品にもそれを彷彿とさせるようなシーンがある。それでも地盤・看板・カバン(金)といったサンバンは今でも変わらないだろう。改めて観ておきたい作品。
    (上演時間1時間50分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、始めは 亡くなった市長宅のリビング---中央に応接セット(テーブルとソファ)。次に選挙事務所---上手にミニテーブルと椅子、下手に電話を掛ける運動員のテーブル。どちらも簡素、そして後壁に情景映像を映し出すことによって 奥行空間が生まれる。選挙戦が始まると、観客を有権者に見立て、客席通路を選挙タスキをした立候補者(清川善彦)が手を振りながら歩き回り ときどき握手までする。映像では出来ない臨場感、まさに舞台ならではの演出だろう。

    物語は、関東北部にある小都市・日暮市、不動産会社のバックアップで、リゾート開発を目指していた清川市長が 愛人宅で急死。 後援会が後継者選びに苦心する間に、反対派閥の県議が立候補を宣言する。市長派は、市長の娘婿で大学助教授の牧原善彦に白羽の矢を立てた。 理想家肌の善彦は、教育文化都市の構想を説き クリーン選挙を条件として立候補を承諾、名前も清川姓へ改名。ここまでが一幕目。

    2幕目は、選挙参謀や後援会が活動を始めると、すべてはカネで動かす。善彦は抵抗するが、金権選挙の風土には勝てず、不本意ながらカネまみれの事前運動に巻き込まれていく。 やがて、善彦の妻(前市長の娘)の不倫を暴く怪文書がばらまかれる。善彦の家庭は破綻寸前、しかし選挙カーの上ではおしどり夫婦を演じなければならない。善彦は身も心もボロボロになって行く。そして投票日前日の演説で、彼が有権者たちに語ったことーこの国に本当の民主主義があるのか。

    序盤は演技が少し固いな と思ったが、だんだんと熱を帯び 登場人物のキャラクターになっていく。シニアということもあり、良い意味で登場人物の一癖も二癖もある役が馴染んでいく。そこに このユニットの味わいや強みがあるように思う。「選挙」を通して垣間見る、人間の狂気と金と欲の世界。「選挙」というショービジネスに踊らされた人々の滑稽な姿、それは日本の将来を憂うようでもある。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    かなりエグイ選挙の裏話、実に面白い。政治家も有権者も同じ穴の狢か。ミイラ取りがミイラになっちゃうし。最後の爆発はお決まりのようで。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    キャストの多くが年齢を重ねてから演劇を学んだ方々ということで、熟練の俳優さんとはまた違った味わいがありましたが、それぞれ役柄にはよく合っていました。
    選挙を題材に、表には出てこない裏側の駆け引きや人間模様が描かれていて、選挙の裏側を覗いているような感覚で楽しめました。
    脚本も面白く、見応えのある舞台でした。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    この作品はジェームス三木氏の映画監督デビュー作品という事で、どうも相当に面白い映画であるに違いない
    そして今回の演劇版は(THEプロの役者というより)味のある演者さん達がご自身の味わい深さを最大の武器に、渾身の演技で挑んでおられるので、もうこれで引き込まれずにおれようか。という生舞台だからこその面白さが炸裂

    地方都市の市長選挙
    「白い巨頭」の次期教授選がコメディー風になったイメージ
    (そういえば伊武雅刀を彷彿する演者さんもいらした)
    市長選に担ぎ出されたのは前市長の娘婿、好青年
    損得丸出しの渦中に正義感で飛び込む姿に「うわwやめとけーっ」と誰もが思ったに違いない
    勝敗の行方に固唾をのむ思いで見入ったけれど、迎えたラストシーンでまさかのカタルシス!あぁ何て感慨深い
    風刺効きまくり、欲望渦巻くドロドロ好きな方 お薦めです

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    ジェームス三木さんらしい骨太の作品ですねぇ。金にものを言わせようとする政治家とそれに負ける有権者、これは永遠に無くなりそうもありませんね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ストーリーが面白かったです。キャストの方々はリアリティがあって、ストーリーに信ぴょう性がありました。観劇して、現在の政治不信は有権者に原因があるのかもしれないと思いました。選挙の際は真剣に考えて投票するつもりです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    北関東、三期目を務める日暮市市長が任期中に急死。対立していた市長の弟が出馬を表明。未亡人(デコウトみゆきさん)陣営は娘(竹野朱美さん)の夫であり、東京の女子大学で准教授をしている川崎拓己氏に後継候補として白羽の矢を立てる。全くその気のない川崎拓己氏をひたすら口説く陣営。市議会議長で土建屋の日向進吾氏、元高校校長で後援会長の小須田正孝氏、市議で幼稚園を経営している宮本賀奈子さん。リゾート開発の巨大な利権が絡んでおり、ここで計画が頓挫する訳にはいかない。建設会社から派遣された常務(成田奈緒子さん)は選挙戦に金を用意。金と欲に塗れた醜悪な彼等の話を聞く内に気が変わった川崎拓己氏は出馬する気になる。それはこの腐った世界を自分の力で浄化し公職選挙法に則った清く正しくクリーンな選挙戦を行なう為だった。

    初日だったからか台詞の飛びやつっかえ、妙な間などトラブルも多発。前半はグルーヴ感がなく盛り上がらずじまい。清川虹子っぽいデコウトみゆきさんが何とか場の空気を維持させようと奮闘。森次晃嗣っぽい選挙ブローカー・中村利一氏が登場するとダイナミックに動き、場を盛り上げてみせる。そしてMVPである元県警捜査二課長で選挙プランナー役の永井寛孝(かんこう)氏の登場。ウエストランド井口に話し方が似ている。この人のリアルな存在感のお蔭で観客の作品への受け止め方ががらっと変わる。大雑把な政治コメディからガチで人間社会に斬り込む危険なネタだと。

    筒井康隆風味のブラックな脚本が良い。この全てぶっちゃける潔さに感心した。伊丹十三作品の系譜。大林宣彦の『女ざかり』や中島貞夫の『暴力金脈』のような核心を突く鋭さ。理想に燃える主人公が現実に叩きのめされこの世の真実を味わって考え方を変えていく様。ラストが素晴らしい。

    ネタバレBOX

    大山倍達に「力なき正義は無力なり。正義なき力は暴力なり。」という言葉がある。選挙戦にルールを守って正しく戦ったとしても負けたら何もならない。選挙に勝ってこそ世の中を変える力を手にすることが出来るのだ。本当に世の中を正しく変えたいと思うなら、まずは勝つことだ。力を手にしてから正義を為せ。こういう論法から人は勝つことが“目的”となる。選挙に勝つことは“手段”であり、そもそもの“目的”ではなかった筈なのに。“目的”と“手段”はいつのまにかにすり替えられてしまう。気付いた時は全てが遅い。

    「金ではない選挙なんてあるか!」
    日向進吾氏のヤクザ面が段々滲み出て来て後半は皆ぶっちゃけていく面白さ。
    小須田正孝氏は序盤かなり台詞が出ず、ヒヤヒヤした。中盤から安定。

    ラストは中島みゆき『有謬(うびゅう)の者共』でキメる。川崎拓己氏の叫び。
    「間違えてもニンゲン 間違えてもニンゲン
     間違うのがニンゲン 誰かがまだニンゲン」

このページのQRコードです。

拡大