かなかぬち 公演情報 かなかぬち」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-8件 / 8件中
  • 満足度★★★★★

    テント芝居の醍醐味を堪能
    新宿・花園神社境内に妖しく光るテント芝居の提灯。
    灯に惹かれる蛾のごとくテントに吸い込まれた。

    ネタバレBOX

    「土」の舞台。
    まさに、土の上に立つ。
    土着性と泥臭さ、プリミティブな力に溢れる舞台だった。

    中上健次さんの原作が、リアルに土の匂いと、人間臭さをプンプンさせ、新宿の喧噪の中に現れた。
    観劇の日は雨が降っていたこともプラスされた。

    雨はテント芝居では、観客にも役者にも厳しいもののはずなのだが、さらに面白さが増したように感じた。
    雨音で少々台詞が聞こえにくいところもあったが、それがテント芝居の良さでもある。
    舞台の半分は露天なので、役者に直接雨が当たっていたと思うのだが、そんなことは一切感じさせない役者たちがいい。

    また、新宿なのでパトカーや救急車のサイレンが響くのだが、それも気にならない。
    花園神社は、南北朝時代の山の中にあった。

    石田えりさんの、肝が据わった女性が見事。

    「血」「生」「死」「血縁」「家族」そんなキーワードが泥臭く演じられる。
    真っ白い獅子のような獣が幻想的に現れるシーンは、新宿の喧噪も一瞬で消えたようになった。
    美しい一瞬だ。
  • 満足度★★★★

    初、野外劇
    涼しい夏の夜に観劇、そして感激。

    土臭さ、風の匂い、視覚にも嗅覚にもくるいいお芝居でした。

    また来年も観たと思います。

  • フランス映画のよう
    物語がどうのこうのというより、空間の美しさ、台詞の美しさ、洗練された演出に時間が1時間45分があっという間だった。まるでフランス映画のよう。

  • 満足度★★★★

    神社にかがり火がよく似合う
    明確な時代設定はないが、南北朝とか吉野と熊野、楠木正成等の言葉が入る。馴染みのある節回し、演芸、大地に息づいた芝居だった。
    アイアンマン亨さんのラストも凄い、覗いて見るより中で見た方が迫力増。 椿組らしいダイナミックな野外劇。約1時間50分。

    ネタバレBOX

    盗賊とその手下、荒ぶる女、芸事の団体、安寿と厨子王みたいな悲劇的な姉弟。
    異形の姿に変化していく最後は目を見張る消滅の仕方だった。
    弟の決意は良いんだけど、言葉遣いがやや軽め?せめて「姉上」とかその背景に合う台詞を発して欲しかった気も。(元々の戯曲通りの台詞なら仕方ないけど)
    3つの筋が絡まり合う中で所々、象徴的に現れる白い巨大な狛犬のような獅子、造形が映画ネバーエンディングストーリーのファルコン見たいに見えてしまった。すいません。
  • 満足度★★★★

    芸能の血
    なんと言っても、野外劇はそれだけである種の興奮がある。

    野外劇であることも含めて、かつての河原乞食が行った芸能とは、本来こういうものだったのだろうなと思いながら拝見した。(この作品の中にもそういう芸能一座が出てくるので。)
    もはや形式化され、高尚なもとして崇められている能や歌舞伎などよりも、このような芝居こそ、日本の伝統芸能と呼ぶべきなのではないか。

    物語としては、、、中上健次が外波山文明に書いた戯曲であり、中上唯一の戯曲らしいが、、、それほど魅力を感じなかった。
    だが、それは戯曲のせいかどうかはわからない。
    野外劇ということで、全体の雰囲気で酔わされたし、群集的な演出には惹きつけられたが、個々の演技にグッと気持ちを持って行かれることはなかったから。

  • 満足度★★★★★

    土の上の芝居
    椿組、花園神社、野外劇と聞けばもう夏の風物詩、芝居の原点である。
    ここ数年、土の上で上演される芝居のエネルギーに圧倒されたくて通っているが
    今年は中上健次唯一の戯曲であり、火が不可欠な芝居ということで楽しみにしていた。
    凝ったセットもなく花園神社のゆるい起伏を活かした地の舞台スペースが
    奥行きのある山深い峠を見事に再現している。
    土の上では、役者の素の力が足元から立ち上がるようで本当に魅了される。

    ネタバレBOX

    入り口で団扇を受け取って客席に入ると、中上健次が愛した都はるみが流れている。
    衣装をつけた役者さんがビールやチューハイ、お茶などを売っている。
    夜になって涼しい風が吹き始め、思ったよりずっと快適だ。
    外波山文明さんが挨拶する声がもう嗄れ嗄れで、思わず笑ってしまう。

    舞台下手側手前には盗賊の頭とその妻が陣取る小高くなったスペースがあり
    その他は特にセットらしきものも無い。
    手前から奥に向かって緩やかに広がるフラットなスペースが広々としていて
    役者はまさに縦横無尽に駆け回る。
    奥にある3つの松明の灯りが舞台全体を生き生きと照らしていて
    上演中2度ほど黒子が火をついだのもリアルに感じられる。

    「かなかぬち」の「かぬち」とは金打ち、つまり鍛冶のことである。
    物語の中心である盗賊の頭(山本亨)は、後悔も反省もしない非情な男だ。
    彼は、身体が次第に鉄化していく異形の者でもある。
    腕や脚、胸などが鋼鉄の鎧のようになっていき、しかもひどく痛む。
    彼がさらって来た女(石田えり)は、今では彼を凌ぐほどに手下を引き連れて走り回るが
    痛みに苦しむ頭を労わる優しい一面もある。
    彼女がさらわれて置き去りにされた姉弟は、父の仇と母を探して旅をしている。
    この母子が思わぬ対面をして悲劇が起こる…。

    “異形の者”がぴったりの山本亨さん、相変わらず大きい男を演じると魅力的。
    強い男ほど女には弱い面をさらけ出すというギャップが立体的で
    自分の変化を受け入れてくれる女にすがる一面が際立った。

    石田えりさんさすがの貫禄で、さらわれて来たものの
    実は自分の中の“野生のような凶暴さ”に目覚めた女を楽しそうに演じていた。
    母性と女としての自分が混在する複雑なキャラが、ラスト怒涛の展開に説得力を持つ。

    旅回りの一座が唄ったり踊ったりしたが、今年はこのアンサンブルがとても充実している。
    音も良く、踊りもそろって、一人ひとりの役者の動きがきれいに出来上がっていた。

    中上健次の創り出すキャラは、自分を責めたり善い人ぶったりしない。
    子どもに対面して泣き出すような母親ではなく
    愛する女の亡骸をいつまでもかき抱く男でもない。
    その自己に忠実なところが魅力的だ。
    偽りの人生をおくって来た姉弟でさえ、最後は究極の選択をする。

    親の仇と狙う男と同じように、自分の身体も鉄化していくと気づいた弟が
    隠された親子の証である「かなかぬち」の身体を晒す所が良かった。
    ラスト、あっと驚くケレン味たっぷりの演出がまた芝居小屋の楽しさを思い出させてくれて
    今年も大満足の夏の芝居が終わった。

  • 満足度★★★★★

    噂には聞いていましたが……
    「椿組花園神社野外劇」を初めて観劇しました。噂に違わぬ「テント芝居&アングラ感」最高でした。ガキの頃、地方巡業して来たテント芝居(唐の「赤テント」や68/71「黒テント」、究竟頂の「銀色テント」とか……)についていこうか、どうしようか、なんて本気で悩んでいたことを思い出しました。いいなあ、テント芝居…… 俺を攫って欲しいなぁ。。
    俺的には、超お勧めです。

  • 満足度★★★

    初日
    野外劇は雰囲気が最高!
    石田えりさん、山本亨さん、流石の演技。
    色々なテーマがあり1時間45分では消化しきれませんでした。
    中上健次が生きていたら、もっと深く掘り下げていたのではないだろうか。

    ラストは驚愕!

このページのQRコードです。

拡大