鉄火のいろは 【観たい!コメントorツイッター呟き で特製バッチプレゼント☆】 公演情報 鉄火のいろは 【観たい!コメントorツイッター呟き で特製バッチプレゼント☆】」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.7
1-6件 / 6件中
  • 満足度★★★★★

    オトコマエな芝居
    江戸末期の火消し達を中心にしたオトコマエな芝居だが、そんな題材で「一歩間違うと訪れるかも知れない、それゆえ来させてはならない明日の日本」を描くとは恐るべし。

    ネタバレBOX

    また、基調がオトコマエな中、霊になっても火傷を気にする女心など、細部にはしっかり女性らしさが練り込まれているのもイイ。
    ところで、自分たちの無力さに打ちのめされている二人の火消しにカツを入れる縫は中尾主宰の分身かしら?(笑)
  • 満足度★★★★

    時代劇「で」描き出すもの
    幕末の江戸を舞台にした物語、
    その顛末に惹かれつつ、
    でも、単に時代劇を紡ぐのではなく、
    時代劇から紡がれるものに心を奪われました。

    ネタバレBOX

    この劇団が従前から持っていた、
    時代劇的な見せ方や語り口のリズムやふくよかさが
    今回もしっかりと担保され、
    決めどころでのメリハリをしっかり持ちつつ、
    紡がれる時間や想いが繊細に広がっていく。
    シーンごとのミザンスの作り方や殺陣もよく研がれ、
    舞台の近さにぐいぐいと引き込まれて。

    顛末を骨太に、
    粋を粋として、華を華として描き出す、
    役者たちの気概や強さに惹き込まれていく。
    時代劇的な手法で、
    役者達が刹那ごとに紡ぐ想いが、
    観る側をしなやかに幕末に招き入れ、
    その時代が「今」としてビビッドに舞台に折りあがっていく。
    作り手の語り口にも、従前の作品以上のメリハリが生まれ、
    観客を魅せる。

    そして、時間の構造や景色の描写に、
    その「今」は、もう一歩踏み込んで
    刹那ごとの空気や肌触りのいとおしさへと至るにとどまらず、、
    その時代から連綿として繰り返される
    時間を呑み込む出来事と再生の俯瞰へと
    昇華していくのです。

    地震や大火、さらには戦火で焼けた江戸の、
    そして東京の街たち、
    そこにあった個々のさまざまなものへのいとおしさと、
    そのノスタルジーからさらに歩を進める姿が
    この国の今のありようとなり、座標となり、
    すっと物語に重なる。
    それは、今を今で描くほどあからさまではなく、
    でも、だから、受け取りうる感覚があって。


    従前の公演から比べても、
    作り手は時代劇「を」ではなく時代劇「で」描く力を
    手に入れたように感じた。
    時代劇のために時代劇を作るのではなく、
    時代劇を通しての描く作意が作品にはあって、
    だからこそ、台本にもそれを舞台に乗せる役者たちにも、
    表層の形式に窮屈になるのではなく、
    その表現だから描きうるものの深さや広がりが生まれていて。

    こういう作品を見せてもらえると、
    単に時代劇のテイストを楽しむということではない、
    もっと広く大きな作り手の描き出すものへの興味がググッと増して。

    劇団の、そしてこの作り手の、
    今後の公演が楽しみになりました。
  • 満足度★★★★

    木遣りに始まる江戸の様々な情景
    が楽しめてすごく良かったです。今回は歴史の狭間に埋もれた火消し達のお話。多面的な性格を持つお話で現在噛みしめ中。一見花のお江戸の派手な話に見えて、入れ子のように多重的な性格を持つ、割とシンボリックな話だ。破壊と再生を意味する火消し達。人はいつまでも少年少女のままではいられないが、変わらないものの象徴としてのおふじ。義に殉じる男達と真逆の女達。でも、こんな風に考えなくても、スピーディーな展開と歴史をベースにした話は説得力があり、派手なアクションも喧嘩や戦闘のシーンも皆、最後のシーンに向かってきれいに収束していき、見応えがありました。途中から劇場のあちこちからすすり泣きが聞こえた。エンターテイメントとしても、一級品でした。特に衣装の細かいところまで神経が行き届き、舞台を引き締めていたと思います。

    ネタバレBOX

    衣装は町娘らしい黒繻子の襟、手絡を配した髪型にはじまり、お太鼓、貝の口、蝶結び、芸者結びと帯もキャラクターによって細かく結びわけ、よく出来ているなぁと感心。町娘、女房、料亭の女将、召使い、色町の女と着物や化粧、髪型も多様で、こんなところも見応えがあった理由の一つ。男性はなんと言っても火消しの衣装の半纏が秀逸。一見刺し子のように見えるスポーツウエアの裏地を配したり、アイディア一杯で楽しめました。もちろん、丸ぶちの眼鏡や矢立ても見逃しませんでしたよ~。でも、紅葉がどさどさと落ちてくるのはご愛嬌というよりちょっと残念。あと三味線は・・・・・爪弾く程度が良かったのでは。それと、最後にもう一度見事な木遣りが聞きたかったなぁ。
  • 満足度★★★

    いつもの中尾脚本の切れがないのが残念
    蜂寅は御縁あって、旗揚げからずっと見守ってきた劇団。

    ですから、思い入れも相当です。

    それだけに、今回の作品は、期待が高かった分、自分にとっては、非常に口惜しくなる舞台でした。

    まず、開演から相当経っても、舞台が温まらない苛立ち。ストーリー上、火消し十番組を組の面々は、必要なかったような気もしました。

    蜂寅の殺陣にはいつもワクワクさせられるのですが、今回は、殊の外、ストーリー上、必須な殺陣でないシーンも多く、蛇足にさえ感じる部分もありました。

    舞台終盤になって、ようやく、いつもの蜂寅の高揚感が漲った感じを受けました。

    中尾さんは、時代劇作家として、類稀な実力をお持ちと、日ごろ期待度が高いだけに、今回の舞台は、やや拍子抜けでした。

    更に、験算を積んで、出演者にも、華がある俳優さんが加わって下さったら、もっと魅力ある劇団になるに違いないと、次回公演に期待したいと思いました。 

    出演者の髪型にも、更に工夫をお願いしたいと思います。

    ネタバレBOX

    もしかしたら、中尾さんに、どなたかがいらぬアドバイスをなさったのではないかとさえ思えました。

    いつもの中尾脚本の切れがなくて、以前拝見したゲキバカの時代劇のような雰囲気が随所にありました。

    死んだおふじの遺志に誘われて、火消しの物語を紡ぐ絵師という設定はいいとしても、編集者まで登場させる入れ子構造は、あまり効果的には感じられませんでした。

    どなたかも書いていらっしゃいますが、この時期、紅葉が舞うというのも、どうも時期的に違和感を感じます。

    そして、これは劇団のせいではないかもしれませんが、ずっと台詞かと思う程の声で何かをしゃべっていたおじさん客、途中で仕事に遅れるからと退席するにも関わらず、中央後方の席に陣取って、芝居の最中に、中尾さんに、「私、仕事で抜けますので、出たいんですが」とか言って、舞台を遮って帰る不届き者の女性客などのせいで、せっかくの舞台進行にもかなり、水を注されて、お気の毒でした。

    一番乗りで、劇場に行ったら、劇場前には、蜂寅の看板もポスターもなく、自転車がたくさん停められて、歩くスペースもなく、私が、この劇場に行くのが初めてなら、絶対、みつけられない状態でした。スギ薬局の手前と覚えていたので、寸でのところで引き返し、中で、受付準備をされてる方に、「ここは、蜂寅の公演ですよね?」と確かめて、ようやく開場を待つことができましたが。
  • 満足度★★★

    紅葉
    面白い。

    ネタバレBOX

    人気絵師・月岡(安田徳)が過去の記憶を語る。

    地震による大火事が発生した江戸で、旅館の娘・おふじ(山口紗貴)が死ぬ。それから10年程経って、月岡の前に幽霊となったおふじが現れる。そんな幕末の混乱期、新政府軍と彰義隊との闘いが上野にて始まる。火消しの常五郎は、おふじを失ったことや尊敬する神谷(若宮亮)の死より彰義隊への参加を決意するが、新政府軍に追い詰められる。そのピンチにおふじが火消しの鐘を打ち鳴らし、友人の火消し・鉄次(福島慎之介)が加勢するが…。

    前半の展開がややまどろっこしい。喧嘩や殺陣シーンは、全編通して迫力もあってよいけど、人数多いせいかテンポが鈍いと感じた。
    火消し(れ組?)と神谷、神谷と徳川、の関係性が絡んでくるところから面白さが増した。神谷を演じた若宮がいい存在感を出してたせいかな。

    月岡以外に見えないおふじとか部外者の月岡が、時代を生きている人物(鉄次とか旅館の面々や彰義隊の人間とか)にどこまで影響できたのかが、ちょっとピンと来なかった。鐘を打ち鳴らすシーンとかよかったけど。死んだ人間が生きている人間に作用できない的なセリフもあったけど、際立ったものが感じられなかった。群像劇なつくりのせいか、特異な存在である二人が、そこまで魅力に感じられなかったとこは残念かなと思う。

    とはいえ、演技的にダメだったワケでなく、終盤の戦争シーンのテイストとか紅葉をテーマにした演出は好き。衣装も良かった。
  • 満足度★★★

    幕末感は薄かったかな
    人物達は物語内で生きていたし、物語も悪くはないとは感じた。ただ、幕末という激動の時代の中、それでも熱く生きてる幕末感がそこまで感じられなかったかな。(もしかしたら、物語をああいう形で見せていたからかもしれないが)とは書いてますが、面白かったです。

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