国語事件殺人辞典 公演情報 国語事件殺人辞典」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-4件 / 4件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2026/03/14 (土) 13:00

    座席1階

    井上ひさしの作品だがこまつ座では初上演という珍しい舞台。言葉が持つ力、歴史とともに移り変わる現実、日本人によって日本語が変えられていく現実など、作家ならではでの視点は新鮮だ。国語学者が相棒と旅をするといういかにも演劇的な展開でこれらを提示していく作品は新鮮で、面白い。

    特筆すべきは演出だ。蜷川幸雄に鍛え上げられてきた演出家・大河内直子を起用したのはすばらしい決断だった。普段のこまつ座とは全くテイストが異なる、客席と一体化して躍動するような楽しい舞台に仕上がっている。特に、舞台転換が素晴らしい。駅前食堂、大衆劇場、駅、喫茶店などさまざまな場面がでてくるが、観客の気持ちを止めることなく早変わりのように転換する。とてもテンポがよく、客席は国語学者と一緒になって旅を楽しむことができる。

    もう一つは配役だ。国語学者役を務めた筧利夫を始め、大半がこまつ座初出演なのだ。役者の起用は誰が行ったのかは定かではないが、それぞれの役回りがとてもぴったり合っていて、よくこれだけの多彩な顔触れを集めたなと感心する。筧利夫と相棒役の諏訪珠理のセリフはマシンガントークのようだ。歌唱も出てくるのだが、さすが筧利夫の歌はうまい。感心してしまう。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    40年以上前の作品だが、今まさに求められているような気もする。
    「NO」という言葉を集める質屋さんの設定が面白いし、怖い。
    日本語について改めて考えさせられます。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

    ネタバレBOX

    こまつ座『国語事件殺人辞典』を観劇。

     今作は1992年・小沢昭一のひとり劇団『しゃぼん玉座』の旗揚げ公演以来で、こまつ座では初演。
     こまつ座は、井上ひさしの戯曲のみ公演する劇団なので、何を観ても外すことなく安定している。それ以上に筧利夫がこまつ座に初めて出演するというのが最大の目玉だろう。

    あらすじ:
     外来語を極力廃止し、美しい日本語の国語辞典を作ろうとする国語学者・花見万太郎だが、道のりは険しい。
    弟子の山田青年と6万語の言葉カードと共に辞書作りの旅に出るのだが、騙されて全財産を失ってしまい、言葉カードを質流しをしながら旅を続けていく。
    果たして辞書は完成するのだろうか…。

    感想:
     外来語の乱立で、美しい日本語が汚れ始めていく事に警告を放っている。言葉は時代と共に変わっていくが、正しい意味すら理解せず、話をしている人に戸惑ってしまうのは誰もが経験済みだ。花見万太郎の苛立ちに共感しながら、弟子のような気分で旅を楽しむことが出来る。
    言葉というのは使い方によっては、社会も管理できるという危険性を備えていて、万太郎が『いいえ』という言葉を質流しにしたが為に、
    『いいえ』が世の中から消えてしまい、国家に対して常に『はい』しか言えなくなってしまい、我々の自由を奪ってしまう怖さを感じてしまう。最終的に万太郎は『いいえ』を取り返すのだが、国家は既に言語の統制を敷き、万太郎は撲殺されてしまう。過去作の『組曲虐殺』の小林多喜二を思い出さずにはいられない。
     美しい日本語を操り、『はい』と『いいえ』を国家に対して、声高に言える社会を望んでいた井上ひさしの意図を、弟子の山田青年と共に我々も引き継いでいかなけれならないのだろう。
     そして作品のテーマもそうだが、筧利夫の為に当て書きされた戯曲ではないかと思えるぐらいの長セリフの連発だったが、早口連射砲で放つ彼の台詞回しには鳥肌が立ちっぱなしだ。つかこうへい、鴻上尚史、いのうえひでのり、など誰の戯曲だろうが、早口連射砲で彼が台詞を話すと、聞き取りやすく、台詞の意味が染み込み、音楽を聞いている心地良さがする。私にとって筧利夫は最高の俳優なのだ。
    良い戯曲に良い俳優が出会う瞬間が垣間見える芝居でもあるのだ。
     再演だが、早くも今年のベストワンかも?
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    イッセー尾形のような男がとんでもない長台詞をずっと捲し立てている。誰だこれは?と思ったら筧利夫氏。そうとは到底思えない。初日だけに危なっかしい所もあったが演劇機械のような台詞量。圧倒された。
    「お逃げよ言葉、言葉よお逃げ」
    「おいでよ言葉、言葉よおいで」
    通路で歌う美声が朗々と。

    相棒の諏訪珠理氏も熱演。役者殺しみたいな難易度の高い台詞が散りばめられた台本。観ているだけでヒヤヒヤする。これはキツイ舞台だ。

    1982年、小沢昭一氏が自分一人の劇団『しゃぼん玉座』を旗揚げ。その為に書き下ろした作品。思う所があったのか井上ひさしはその翌年にこまつ座を旗揚げする。

    理想の国語辞典を作る為、市井の国語学者(筧利夫氏)は37年掛けて6万語の言葉のカードを作成。家を売り、彼を信奉する元編集者(諏訪珠理氏)と辞典を完成させる旅に出る。だがゆく先々で日本語についての様々な意見に論破される。果たして理想の辞典は完成するのか?

    青山達三氏80歳!は今作の心臓部の一つ。凄腕。
    佐藤正宏氏も軽妙で沸かせた。リズム感。
    イケメン池岡亮介氏は松本穂香に似ている。
    加藤忍さんの簡易日本語も恐ろしい。
    清水緑さんは下着姿のサーヴィスも有りエロエロ。歌声はたかみなっぽいかな。
    旅一座の座長役は飯田邦博氏だったか?

    通路をぐるぐるサーヴィス満点。凄腕役者大合戦。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    筧利夫氏の言語不当配列症、喋る文章の前後の配置がおかしくなる。
    諏訪珠理氏のベンケイ病、句読点がメチャメチャな位置に置かれてしまい、文章が妙に間延びする。
    加藤忍さんの簡易日本語、外人の話す無理矢理な日本語のような言葉だが明確なルールがある。
    佐藤正宏氏の電文症、会話が電報を打つ時の伝え方になってしまう。
    これを全部覚えてやり続ける役者陣の狂気。

    後半、作品の重要なテーマとなる「言葉の質屋」が登場。10万円と引き換えに「いいえ」を預かり、言えなくしていく。「いいえ」が言えなくなった社会は支配層の思うがまま。皆、言葉を腹に押し込め何も文句を言えないまま従わされていく。「嫌なことは嫌だ」と言える日本でなくてはいけない。それはどんな日本語でだって構わない。自分の本音を伝えられる言葉でありさえすれば。

    自分的にはちょっと長過ぎた。間延びした感じ。もっとテンポ良く痛快に突っ走る話では。

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