国語事件殺人辞典 公演情報 こまつ座「国語事件殺人辞典」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    ネタバレ

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    こまつ座『国語事件殺人辞典』を観劇。

     今作は1992年・小沢昭一のひとり劇団『しゃぼん玉座』の旗揚げ公演以来で、こまつ座では初演。
     こまつ座は、井上ひさしの戯曲のみ公演する劇団なので、何を観ても外すことなく安定している。それ以上に筧利夫がこまつ座に初めて出演するというのが最大の目玉だろう。

    あらすじ:
     外来語を極力廃止し、美しい日本語の国語辞典を作ろうとする国語学者・花見万太郎だが、道のりは険しい。
    弟子の山田青年と6万語の言葉カードと共に辞書作りの旅に出るのだが、騙されて全財産を失ってしまい、言葉カードを質流しをしながら旅を続けていく。
    果たして辞書は完成するのだろうか…。

    感想:
     外来語の乱立で、美しい日本語が汚れ始めていく事に警告を放っている。言葉は時代と共に変わっていくが、正しい意味すら理解せず、話をしている人に戸惑ってしまうのは誰もが経験済みだ。花見万太郎の苛立ちに共感しながら、弟子のような気分で旅を楽しむことが出来る。
    言葉というのは使い方によっては、社会も管理できるという危険性を備えていて、万太郎が『いいえ』という言葉を質流しにしたが為に、
    『いいえ』が世の中から消えてしまい、国家に対して常に『はい』しか言えなくなってしまい、我々の自由を奪ってしまう怖さを感じてしまう。最終的に万太郎は『いいえ』を取り返すのだが、国家は既に言語の統制を敷き、万太郎は撲殺されてしまう。過去作の『組曲虐殺』の小林多喜二を思い出さずにはいられない。
     美しい日本語を操り、『はい』と『いいえ』を国家に対して、声高に言える社会を望んでいた井上ひさしの意図を、弟子の山田青年と共に我々も引き継いでいかなけれならないのだろう。
     そして作品のテーマもそうだが、筧利夫の為に当て書きされた戯曲ではないかと思えるぐらいの長セリフの連発だったが、早口連射砲で放つ彼の台詞回しには鳥肌が立ちっぱなしだ。つかこうへい、鴻上尚史、いのうえひでのり、など誰の戯曲だろうが、早口連射砲で彼が台詞を話すと、聞き取りやすく、台詞の意味が染み込み、音楽を聞いている心地良さがする。私にとって筧利夫は最高の俳優なのだ。
    良い戯曲に良い俳優が出会う瞬間が垣間見える芝居でもあるのだ。
     再演だが、早くも今年のベストワンかも?

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    2026/03/12 14:38

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