魔笛 公演情報 魔笛」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
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  • 満足度★★★★

    魔笛
    小3の音楽の授業で習い、絵本でも読んでいて、いつかこのオペラを、本物を見てみたいと思っていたオペラです。20年経ってその夢が叶うなんて感慨深いです。そして今回、日本人キャストなのでオペラ初心者としても気軽で見やすく、値段や全2幕の上映時間も手頃でした。パパゲーノはやはりいいキャラですね。夜の女王さまの歌声がとんでもなく素晴らしかった。感動です。
    (同じ日に小劇場の方ではちょっとした騒ぎになっていたんですね)

  • 満足度★★★★

    オペラが、スペースオペラになっていた
    ミヒャエル・ハンペ演出、ヘニング・フォン・ギールケ美術&衣装、ラルフ・ヴァイケルト指揮、東京フィル、で、オール日本人キャスト。

    ラルフ・ヴァイケルトの『魔笛』はすでに新国立劇場でのレパートリーになっているのも頷ける。
    わかりやすいし、楽しいのだ。

    ネタバレBOX

    舞台の上は星々が輝く宇宙のような空間。
    そこに大蛇が現れ、タミーノ王子が襲われるのだが、その大蛇の造形が、なかなかグロテスク。口が左右上下4つに分かれて開くというもの。

    さらに、夜の女王は、空中から現れるし、要所要所で王子たちにサジェッションを与える3人の童子たちも、空を飛んで現れるし、彼らの衣装はすべて銀色に輝く。

    王子の笛で現れる怪物たちも、かなり不気味で、宇宙の怪物的と言っていいだろう。中でもライオンのような頭部を持った2本足の怪物は、「我が子を食らうサトゥルヌス」のサトゥルヌスのようである。

    もともと『魔笛』が、王子がお姫様を救出するというダンジョンRPG的な展開なのだから、これらの造形や設定などから、舞台が宇宙であり、いわゆるスペースオペラみたい見えて来るのだ。
    パパゲーノというコミカルな相棒も用意されている。
    スターウォーズですね(笑)。

    とは言え、物語の演出は、とてもわかりやすいし、場面展開が多いオペラなのだが、新国立劇場の舞台装置の活用により、無駄がなく、スピーディにさえ感じる。

    新国立劇場の舞台のセリは、小さいものや舞台全体が、あるいは後ろ半分など自在に動かすことができる。それを中間地点まで挙げることで地下をイメージさせたり、神官たちが上から眺めるという演出も可能となる。

    第一幕は、王子が王女を救うストーリー。しかし、終盤に実は王女を救ってほしいと王子に願った夜の女王こそが、悪者であったと指摘される。このあたりが善悪単純なスターウォーズとは違うところ(笑)。

    第二幕は、王子と相棒のパパゲーノに試練を受けさせる。それに打ち勝ったら、王子は王女と一緒になれ、神官たちと同様な高みに行け、パパゲーノにも伴侶が与えられるのだ。
    もちろん王子は試練に打ち勝ち、さらに夜の王女は滅び、大団円となる。
    王子と王女が手に手を取って、神官たちの中央に立ち、2人で手にしたトロフィー(後述)を捧げる姿は、神官たちが崇めるオシリスとイシスに重なる。

    ラストで、王子と王女に、ザラストロがトロフィーを与えるのだが、それは天空儀であった。太陽の回りを恒星が軌道を描いているもの。さらに、太陽を讃えることになるのだが、彼らの前には大きな「地球」が姿を現すのだ。

    もうここまで来ると、スペースオペラ、SFそのものではないか。まるで、彼らがかつて住んでいた青い惑星・地球を崇めている、地球人たちのなれの果ての物語のようになっている。

    しかし、違和感はまったくない。

    ラストで、王子と王女を中心として、神官たちが居並び、幕が下がるのだが、もともと神官たちを束ねていたザラストロだけが、幕の外に取り残される。そして、棺のようにポッカリと空いた空間に足を入れ腰を下ろすのだ。これの意味するところは世代交代なのだろうか。この演出は今まで見たことがなかったと思う。

    王子の相棒であるパパゲーノは、試練を乗り越えることはできないのだが、なぜか赦され、伴侶・パパゲーナとも出会える。高みに登らないが、ワインと伴侶がいれば幸せてせあり、それがわれわれ普通の人々の姿なのだということでもあろう。

    『魔笛』は、ユーモラスなところもあり、特にパパゲーノがその任を担う。
    今回の舞台では、日本語をしゃべったり(一言だけど)、王子の気を惹くために、指で王子にカンチョーをしてみたり(そう見えたけど違う?)と、掟破りな演出もあったが、当然場内は大爆笑だった。それはそれでいいと思った。

    パパゲーノ役の萩原潤さんが特に印象に残った。声もいい演技もいい。タミーノ王子の望月哲也さん、夜の女王の安井陽子さんも良かった。
    残念だったのは、急遽代役を務めた方の声が、聞いていて辛いな、と思うほど出てなかったり、メロディも微妙だったことだ。大きな役だったので、それが残念でならない。
  • 満足度★★★★

    沈黙は金
    沈黙できなくとも金星。

    ネタバレBOX

    ちょっと小太りでしたが、王子様タミーノが鳥刺しパパゲーノと共に嫁取りのために冒険する話。夜の女王からそれぞれ魔笛と魔鈴を貰っておきながら太陽を崇拝する方のザラストロに与し、王子はしゃべってはいけないという沈黙の試練に耐え夜の女王の娘パミーナと結婚することができ、パパゲーノは試練には耐えられなかったものの、普通の人とはそんなもので、パパゲーナという伴侶を得ることができました。夜の女王はザラストロに、というか雷鳴、光に滅ぼされました。

    ザラストロは夜の側には迷信がはびこっているなどと批判していました。人間は単に暗いということからくる恐怖心から、あるいはそうでなくても心の弱さから根拠のないことを信じ込みがちですが、それではいけないとする現在にも通じる先進的な考え方があったことが分かりました。

    一方、女性は男性の指導に従うのが良いと、随分男尊女卑的な部分もありました。1791年当時の考えが窺えます。

    時々ある、上部が光、下部が闇という配置も分かり易くて良かったと思います。王子様の最初の曲で、声がかすれそうになったように聞こえたのがちょっと気になりました。

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