捨て犬の報酬 公演情報 捨て犬の報酬」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-4件 / 4件中
  • 満足度★★★★★

    今まで知らなかったが・・・
    ひとりじゃできないもんでおぼんろという世界観を少し感じる事ができた。
    末原拓馬以外の劇団員の芝居を見ことはなかったが、
    初めて、拝見させていただき、しかもこれまた独り芝居。独り芝居というのは役者の力量が激しく反映されると思うのだが、
    なるほどなるほどと納得してしまった。
    狭い会場、狭い舞台、舞台には言葉が書いてある大小の紙があちらこちらに張られている。
    そこに、犬メイクを施した、さひがしジュンペイが登場。
    小気味いいテンポで言葉を紡ぎ、落語を聴いているようだと思っていると、本当に落語まで始めてしまう。

    これがまた上手い!

    ところどころに笑いを交えて進んでいくのだが、話が進むと、徐々に緩い空気が引き締まっていき、終いにはさらに加速していきクライマックスまで一気にもっていってくれた。
    最後にはホロリと涙を流してしまう話もとてもグッド!
    今まで知らなかったが、知られていなくても凄い役者とは言うものはいるのだな・・・と痛感した、舞台だった。

  • 満足度★★★★★

    衝撃
    あらすじについてはみなさんがお書きになっているので、必要ないと思いますが、とにかく衝撃的でした。三団体の合同イベントでしたが、「群を抜いて」という言葉では言い表すことができないほど群を抜いていました。小劇場でここまでの作品を観ることができたことに対する衝撃。

  • 満足度★★★★★

    雪国に吠える
    江古田にあるカフェ+レンタルイベントスペース“兎亭”が始めた
    “小さなお芝居を集めた小さな小さな演劇祭”まめ芝。
    その最終日兎亭でG枠を観る。
    出演は3組。
    おぼんろ、兎団、松×出 である。

    江古田の駅を出るとそこは雪国であった・・・。
    って感じで、東京では7年ぶりという雪の中傘を盾にして前へ進む。
    写真入り案内どおりに歩いて行くと、角に男の人が立っていてホッとする。
    兎亭の入口には痩身の末原拓馬さんがいて「寒いねー!」と声をかけてくれた。
    おぼんろ、今日の「捨て犬の報酬」は高橋倫平さんだ。
    (注:☆はおぼんろの評価)

    ネタバレBOX

    【おぼんろ 「捨て犬の報酬」】

    バーミンガム闘犬会場で、闘いを制したのは一匹のみすぼらしい老犬。
    ところが主催者は表彰をためらっている。
    その犬が吠えることができないこと、過去に多くの犬を噛み殺してきたことがその理由だ。
    老犬は語り始める、なぜそうなってしまったのか・・・。
    彼がまだ子犬で、捨てられて段ボールの中にいた頃
    その路地裏にひとりの盗賊が追われて逃げ込んできた。
    彼は「月を盗みに行かないか」と言って子犬を連れて帰る。
    そしてふたりは一緒に仕事をするようになった。
    男は犬をポチと呼び、犬は男を大五郎と呼んだ。
    ポチがその家の番犬に話しかけて気をそらしている間に、大五郎は仕事をする。
    ところがある日、大五郎は約束の場所に帰って来なかった。
    帰ったらポチの誕生日を祝う約束をしたのに。
    そして20年が過ぎた・・・。

    やがてそこへ主宰者であるバーミンガム侯が現れ、
    ポチは隙を見て彼を羽交い絞めにする。
    その途端ポチは撃たれて倒れてしまう。
    倒れたポチに“ハッピーバースデー”と添えられたお祝いのえさが運ばれてくる。
    貪るようにそれを食べて、死を悟ったポチは初めて吠えていいかと尋ねる。
    暗転ののち、3度長く吠える声が響き渡り
    「月を盗みに行かないか」というあの日の声が聴こえた──。

    良く出来てるなあ、と感心してしまう。
    “信頼”の半分は、相手任せの思い込みだ。
    それは美しいが、時に向こう側からあっけなくほどかれる。
    唐突に取り残された者は切れ端を手に呆然と立ち尽くし、やがてそれは怒りに変わる。
    高橋倫平さんは、裏切られた哀しみを食べて生きて来たポチを全身で表現している。
    ポチの強さが、その激しい感情の結果であることが伝わってくる。
    キレの良い身体の動き、闘い続けた暮らしの証である目つきが素晴らしい。
    最後の咆哮が、大五郎を赦すポチの優しさに溢れていて泣かせる。

    30分という限られた時間で完結するストーリーには無駄なシーンが全く無い。
    末原拓馬さんの書く芝居は、哀しいシーンよりも、歓喜のシーンの方が泣かせる。
    それはキャンバスに最初に塗る色が、孤独と哀しみの色だからだ。
    そのベースの上に何色を重ねても、底の方からじわりと最初の色がにじみ出る。
    このひとり芝居、おぼんろのレパートリーとして再演を重ねて欲しい。
    他のメンバーの芝居もぜひ観たいと思った。

    【兎団 番外公演「鯨に呑まれた男たち」】

    SF大河ロマンだという。
    人間の住める星を探して旅を続ける宇宙船トライス号の中で、
    3人の男たちが“永遠の命”を作り出す研究をしている。
    30分バージョン用にあらすじを語ってくれたらすっきり腑に落ちたと思う。
    事前に会場に並んでいる漫画を読むと理解の助けになると言われたが、
    あの小さい椅子に座って、荷物とコートとドリンクを持った状態で
    開演前に漫画を読むゆとりはない。
    石になった男、まばたきもせず熱演だっただけにちょっと残念。

    【松尾武志×出口健太 「イン・ザ・ポスト」】

    ポストの精が、郵便配達の男の恋を見守るというファンタジー。
    全身赤タイツのポストが「昨日まで本番だったから・・・」と台本見ながらの芝居、
    これで笑いを取るのは本番中1回までだろう。
    その後は会場から笑いも微妙に変化、相方の郵便配達が気の毒になった。
    アドリブで切り抜けられないほどのストーリーとも思えなかったけど・・・。
    ポストの精が手紙の行方を見守って、不器用な男の恋を助けるというのは
    良いアイデアだしキャラの面白さもあったと思う。
    コントをつなぐのでなく芝居として完成度を上げないと勿体ない気がした。
  • 満足度★★★★★

    私を忘れないで、という思い
    凄い芝居を観た後は、いつもその場でアンケートに感想を書くなどということが出来ない。おまけに昨日の『捨て犬の報酬』は、続いた次の団体の芝居を観ることも出来なかった。暫くの間、何も目に映らないくらいの衝撃でした。
    忘れ去られた者の深い深い深い悲しみと声に出来ないままの慟哭。それを、絶対に安い自己憐憫に丸めてしまわないで描く脚本の力。その脚本を(これは演者の解釈も含めて)表現する語り部の凄み。
    なんで30分でこれが出来る?!この劇団の持つ力って、どこまで底知れないのかと思いました。
    ほんと、芝居観て泣くとか、そういうの安くて嫌だとか言ってごめんなさい。終演後トイレに駆け込んでわーわー泣いた。
    もしかしたら、この作品と『ゆめみるふぃーゆ』をセットにして『まめ芝。』イベントに参加したのが意図的だったとしたら、すごい策士だし、たまたまだったとしたら「なんかそういう人」の加護をこの劇団は受けてるよ。
    二つの作品には共通したテーマがある。そのテーマが多角的に語られます。ぜひとも『ゆめみるふぃーゆ』と『捨て犬の報酬』両方参加してください。極上です。

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