ホロヴィッツとの対話 公演情報 ホロヴィッツとの対話」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.0
1-6件 / 6件中
  • 観てきた
    3/7

  • 満足度★★★★

    芸術家と調律師のプライドと生き様の厄介さ
    演者とチラシから受ける印象が硬質で、海外戯曲のようなイメージを想像していた。
    変人にして天才ピアニストのホロヴィッツ、その妻のワンダの老夫婦が素晴らしい。ワンダの、夫を手のひらの上で上手く転がす術が秀逸。
    それにブレない姿勢で対応する調律師のフランツ、その妻のエリザベス。
    初っ端から和久井さんの声が上ずったような口調が気になったが、後半の展開にこういう演出もアリかと納得。
    水と油のような二組の世代の違う夫婦、それぞれの暮らしてきた経過が心に沁み込んでような舞台。
    誰にでもお勧め出来る素敵な舞台だった。

    これから舞台を見る方は、なるべく小腹は満たして見た方が良いと思います^^

    ネタバレBOX

    冒頭、役者名がでーんと舞台上に表記される。ここだけ既に映像化出来てるw。
    タイトルから芸術家と職人の会話メインかなと予想していたら、それについては、らしい会話はあるけど対話という程ではなく、そこは物足りなさもあった。でもそこをクローズアップすると2人芝居の様になってしまうか。
    個人的にケン・ワタナベが立派に見え過ぎて、和久井さんと長年連れ添った夫婦には見え辛かったのと、職人さん気質は伝わるが、裏方よりも表立った職人さんに見えた。でも自然にそう見える不思議。
    頑固じじい段田ホロヴィッツが、意地悪ばあさんみたいなやり取りで面白かった。芸術家ゆえの、偏屈さと厳しさを併せ持ったホロヴィッツ氏の演奏も聴いて見たかった気がする。

    序盤は三谷流の、登場人物とその周囲の行動と発言により状況が二転三転する困惑する巻き込まれ会話の流れ。いつもどおり楽しませてもらった。
    後半、母親同士の諍い場面は、見る人によっては聞き苦しく思うかも。
    それをまとめるのがもう一つの主役のピアノ。
    二組の夫婦を繋ぐ役目を立派に果たしてた。

    最後のアンコール挨拶がアメリカンな渡辺さんだったw 素敵w
  • 満足度★★★★

    結局は
    一番魅力的で、一番色んなエピソードを持っているのがワンダだったというのが残念。これでは別にホロヴィッツの話でなくてもいいのではないかとすら思える。

    ネタバレBOX

    ただ上質なコメディとしては満足でした。
  • 満足度★★★★

    個性が溢れる
    役者の皆さんががどう演じるかを期待して見に行ったが、成功されていたと思う。

    モア(渡辺さんは最近演劇はご無沙汰等ということであるが)か、周りに気を使いすぎる役柄を、そつなくこなしていた。

    エリザベス(和久井さん)はよい奥さんだけど、ワンダ(高宮さん)の姑のような仕打ちに少し切れ気味なところがかわいかった。

    ホロヴィッツ(段田さん)は威厳があるというより、芸術家にありがちな(私の偏見か?)子どものまま大人になったそんな雰囲気が漂っていた。

    ワンダ(高泉さんは始めて拝見するが)は、驕慢(とまで言わないが)な感じで、なんでも自分中心に考える人であり、よいスパイス(マスタードのような味わい)になっていたように思う。

    三谷さんの作品とPARCO劇場とは、長年連れ添った夫婦の相性の良さのようなものを感じさせられた。

  • 満足度★★★★

    気になった点。
    プレビュー公演を鑑賞。
    チラシやポスターの写真からは、当然ハードなシリアスな内容を想像していましたが、
    実際は、三谷さん得意のコメディでした。
    これは意図していたことか??この落差は、結構、いや、かなり気になりました。

    観始めると、初舞台と言う和久井映見さんの「裏声の様な」発声がとっても気になる。
    プレビューでこの発声、稽古中はいったいどうしていたのか、
    新人ならともかくヴェテランなのだから、この点は、稽古中、
    いやその前に解決しておくべき基本中の基本では?
    演技はとっても良かったと思いますが。

    この点を除けば(私にはかなり大きな要素でしたが)、キャスティング、
    演技、ストーリー、すべて良かったです。
    さすが、三谷さんです。
    特に、終盤のサプライズ(?どんでん返し?)に驚きました。
    これまでの三谷作品に無い要素と思います。

  • 満足度★★★★

    想像とは趣の違う芝居でした
    題名から、もっと硬質な対話劇を想像していましたが、全く違って、そこは三谷さんらしい、笑いのふんだんにある二組の夫婦のライトコメディタイプの舞台でした。

    最近の三谷作品の中では、かなり芝居としての完成度の高い作品だと思いましたし、何より、渡辺謙さんの舞台を拝見できて幸せな充足感もあったのですが、もうひとつ、満足度がマックスにならなかったのは、実在の登場人物の造型に、お子さんのいない三谷さんの頭で拵えた親の姿を感じてしまい、生の人間の心情をリアルに感じられない部分があったからかなと思います。

    出演者4人は、皆さん、大好演。初舞台の和久井さんも、舞台上の立ち姿に違和感がなく、幕あきの頃心配された発声の違和感も、徐々に緩和されて、舞台女優として、見事なスタートを切られたと感じました。

    ネタバレBOX

    クラシックの世界の知識はほとんどないに等しいので、ホロウ゛ィッツの妻のワンダが、名指揮者トスカー二の娘だったことも、二人の間のお子さんソニアが、親の期待に応えられず、挫折して、早逝した事実も、今回初めて知りました。

    でも、高泉さん演じるワンダが度々、自分の子育てを自慢して、「ソニアの場合はね…」と、娘の名前を口に出すので、このソニアはもうこの世にはいないのだろうという予感はありました。

    でも、何事も、指図して、気持の良い来客ではないホロウ゛ィッツ夫妻に対して、堪忍袋の緒が切れたエリザベスが、真相を暴露して、ソニアが自殺まがいの死に方をしたとわかってから、私には、どうも、このワンダのこれまでの台詞が腑に落ちない気がしてしまって仕方ありませんでした。

    先日のケラさんの芝居のように、娘の死を受け入れられず、まだ生きていると本気で思っている母親ならいざ知らず、自分の期待が強すぎて、娘が押しつぶされて死を選んでしまったと気づいた筈のワンダが、相変わらず、自分の子育て術をエリザベスに自慢げに押し付けようとする行為が、どうしても、本当の母親の心情や行動とは逸脱して思え、三谷さんの、頭の中で作り上げた人物像のように感じ、今一つ、登場人物の心情に寄り添うことができませんでした。(ただ、これは、あくまでも、私がこの芝居だけから得た感覚で、実際のワンダがこういう言動をしていたのであれば、三谷さんの作劇如何の問題ではないので、私の受け止め方が間違っているのかもしれませんが)

    舞台には、登場しない、フランツとエリザベスの子供達のエピソードにしても、お子さんのいない作者の描いた子供は、やはり絵に書いた餅的な存在感しかなく、その点も、この芝居が、更に膨らみ損ねた理由ではないかなと思います。 

    それと、これも、無学なので、確かなことはわかりませんが、あの当時、あの国で、猫の去勢手術にカンパするというような発想があったのでしょうか?
    私には、最近の小劇場に多い猫ネタに思えてしまって、ここにも違和感を感じました。

    でも、段田さんと高泉さんのコンビの演技は最高に面白いし、舞台は久しぶりの渡辺さんも、蔭の名調律師の喜びと、誇りを見事体現して下さって、芝居の構成も巧みですし、これだけ満足度の高い三谷作品は、久々でしたから、大変気持のよい、劇後感であったのは確かです。

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