ホロヴィッツとの対話 公演情報 パルコ・プロデュース「ホロヴィッツとの対話」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    想像とは趣の違う芝居でした
    題名から、もっと硬質な対話劇を想像していましたが、全く違って、そこは三谷さんらしい、笑いのふんだんにある二組の夫婦のライトコメディタイプの舞台でした。

    最近の三谷作品の中では、かなり芝居としての完成度の高い作品だと思いましたし、何より、渡辺謙さんの舞台を拝見できて幸せな充足感もあったのですが、もうひとつ、満足度がマックスにならなかったのは、実在の登場人物の造型に、お子さんのいない三谷さんの頭で拵えた親の姿を感じてしまい、生の人間の心情をリアルに感じられない部分があったからかなと思います。

    出演者4人は、皆さん、大好演。初舞台の和久井さんも、舞台上の立ち姿に違和感がなく、幕あきの頃心配された発声の違和感も、徐々に緩和されて、舞台女優として、見事なスタートを切られたと感じました。

    ネタバレBOX

    クラシックの世界の知識はほとんどないに等しいので、ホロウ゛ィッツの妻のワンダが、名指揮者トスカー二の娘だったことも、二人の間のお子さんソニアが、親の期待に応えられず、挫折して、早逝した事実も、今回初めて知りました。

    でも、高泉さん演じるワンダが度々、自分の子育てを自慢して、「ソニアの場合はね…」と、娘の名前を口に出すので、このソニアはもうこの世にはいないのだろうという予感はありました。

    でも、何事も、指図して、気持の良い来客ではないホロウ゛ィッツ夫妻に対して、堪忍袋の緒が切れたエリザベスが、真相を暴露して、ソニアが自殺まがいの死に方をしたとわかってから、私には、どうも、このワンダのこれまでの台詞が腑に落ちない気がしてしまって仕方ありませんでした。

    先日のケラさんの芝居のように、娘の死を受け入れられず、まだ生きていると本気で思っている母親ならいざ知らず、自分の期待が強すぎて、娘が押しつぶされて死を選んでしまったと気づいた筈のワンダが、相変わらず、自分の子育て術をエリザベスに自慢げに押し付けようとする行為が、どうしても、本当の母親の心情や行動とは逸脱して思え、三谷さんの、頭の中で作り上げた人物像のように感じ、今一つ、登場人物の心情に寄り添うことができませんでした。(ただ、これは、あくまでも、私がこの芝居だけから得た感覚で、実際のワンダがこういう言動をしていたのであれば、三谷さんの作劇如何の問題ではないので、私の受け止め方が間違っているのかもしれませんが)

    舞台には、登場しない、フランツとエリザベスの子供達のエピソードにしても、お子さんのいない作者の描いた子供は、やはり絵に書いた餅的な存在感しかなく、その点も、この芝居が、更に膨らみ損ねた理由ではないかなと思います。 

    それと、これも、無学なので、確かなことはわかりませんが、あの当時、あの国で、猫の去勢手術にカンパするというような発想があったのでしょうか?
    私には、最近の小劇場に多い猫ネタに思えてしまって、ここにも違和感を感じました。

    でも、段田さんと高泉さんのコンビの演技は最高に面白いし、舞台は久しぶりの渡辺さんも、蔭の名調律師の喜びと、誇りを見事体現して下さって、芝居の構成も巧みですし、これだけ満足度の高い三谷作品は、久々でしたから、大変気持のよい、劇後感であったのは確かです。

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    2013/02/14 23:59

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