全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー) 公演情報 全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
1-5件 / 5件中
  • 満足度★★★★★

    もの凄い質量で現在から過去、虚構から事実までを疾走する
    日本語、台湾語が塊になって観客へ降り注ぐ。
    なんと! これが無料の公演とは!

    ネタバレBOX

    過去、現在、そして少しの未来(平成の後)の軸がある。そこに、演劇、本の中という2つの
    虚構と、演劇をする人たちが演劇をする、演劇に出る人たちのこと、という事実という軸があり、さらに、演劇の空間内と外という軸もある。細かく言えば、演劇空間には本の中と外という区分まであり、それに肉体で演じる芝居と映像で見せる芝居、映像表現そのものという軸までもある。

    このいくつもの軸を役者が、観客の視線を道連れにしながら、走り回る。役者は3人。3人がそれぞれの空間にいて、それぞれの場所に走り込むのだ。

    もの凄い情報量である。

    しかも、台詞は日本語と台湾語、少しの英語も混じり、当然台湾語はわからないので、字幕という言語も加わる。

    1930年代の台湾が舞台の中心。それは日本統治時代の台湾であり、本の中の出来事である。この本自体のオリジナルがあるのかどうかは不明だが、本のストーリー自体が幻想的だ。
    日本人の妻と人形遣いの話なのだが、鯉がキーワードとなっている。
    池の中の鯉になぞらえる妻のこと。きれいだけど、それだけ。
    食べられる鯉と食べられない鯉。きれいな鯉は食べられない。
    人は池の外からきれいな鯉を見ているだけ。

    このストーリーに、日本人の女性が入り込む。人形遣いの人形として。
    人形なのに、全体が見えているという視点があるのだ。

    さらに、日本人女性を演じる役者の祖父が台湾からやってきたということで、そのお墓を台湾の俳優たちと探しに行くというストーリーも並行する。

    台湾と日本の関係が、激しいパフォーマンスと、矢内原美邦さんらしい熱のある台詞回しの中で、静かに語られる。

    本の中とは言え、1930年代の台湾という設定であるとすると、真っ先に浮かぶのが、「霧社事件」。日本と台湾との間に深く暗い影を落とした事件があった。
    そういう歴史的事実を含め考えると、さらに深くなりそうな物語だ。

    ミクニヤナイハラプロジェクト『五人姉妹』のときは、短時間の作品をさらにブラッシュアップした作品を見せてくれたので、これも新たに再構築して、再演してほしいと思う。
  • 満足度★★

    観ました
    矢内原さんの作品をようやく観れました!……が、今回は噂に聞く振り切った演技・発話は控えめだったようですね。時折挟まれる台湾旅行の映像がもっとも印象的でした。色のコントラストがうつくしくて。お話のほうは、よく聞くプロットの域を超えたものとは感じませんでした。残念。

  • 満足度★★

    恋と鯉
    日本と台湾の演出家・役者の共同製作作品で、台湾の小説(?)をモチーフに切迫した思いが独特の表現で描かれていて、不思議な雰囲気が漂っていました。

    池に立つ婦人と人形遣いの悲恋を描いた物語を中国語で演じ、図書館の司書であり、物語中の人形でもある日本人の女性がその煮え切らなさに突っ込みを入れていくというプロットと、その女性が台湾にある祖父の墓を探すというドキュメンタリータッチなプロットが絡まりながら展開する構成でした。
    台湾でのプライベートな時間の映像/舞台上での姿/劇中劇での役柄、の3つの階層を行ったり来たりするメタ演劇的な構造の中で、大量の台詞と激しい動きがエネルギッシュに繰り広げられ、インパクトがありました。

    舞台奥に設置されたパネルに映像が投影され、時にはわざと字幕を役者に投射したり、役者とシンクロしているように動いたりと、多彩な映像表現がされていて印象的でした。

    フィクションとの微妙な距離の取り方を含め、個人的に好みなタイプの作風だったにも関わらず、テーマ・メッセージを感じ取ることが出来なくて、なかなか作品の世界観に入り込めず、退屈に感じることが多かったです。

  • 満足度★★★★★

    圧倒っっ
    アジア舞台芸術祭2012の3作品を拝見して、最も強い衝撃を受けた…のだがどうして、こんなに強く自分が心引かれるのか全く説明が出来ないのが悔しい。ロビートークで「間」についてや「現実と物語の並行」について言及されていて、理解が深まったような、そうでないような。3人芝居なのに、こんなに激情して爆発的な表現が出来るんだなぁと圧倒されました。これが無料で見れるんだからありがたすぎる。

  • 満足度★★★★★

    生きているとは
    やはり矢内原さんの作品には生を感じる。力強い表現、マシンガンの様に放たれてる言葉は今回は聞き取りやすかったが、役者の身体、作品としての言葉がとても生命の強さを感じました。
    やはり矢内原さんの作品を観ると心が震えるような気がします。身体で体感するような、本の中に作られている物語を観客は目と耳だけではなく、全身で浴びて体感するように思えます。

    勉強になりました。ありがとうございます。

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