全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー) 公演情報 アジア舞台芸術祭制作オフィス「全事経験恋歌(ゼンジ.ケイケン.エレジー)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    もの凄い質量で現在から過去、虚構から事実までを疾走する
    日本語、台湾語が塊になって観客へ降り注ぐ。
    なんと! これが無料の公演とは!

    ネタバレBOX

    過去、現在、そして少しの未来(平成の後)の軸がある。そこに、演劇、本の中という2つの
    虚構と、演劇をする人たちが演劇をする、演劇に出る人たちのこと、という事実という軸があり、さらに、演劇の空間内と外という軸もある。細かく言えば、演劇空間には本の中と外という区分まであり、それに肉体で演じる芝居と映像で見せる芝居、映像表現そのものという軸までもある。

    このいくつもの軸を役者が、観客の視線を道連れにしながら、走り回る。役者は3人。3人がそれぞれの空間にいて、それぞれの場所に走り込むのだ。

    もの凄い情報量である。

    しかも、台詞は日本語と台湾語、少しの英語も混じり、当然台湾語はわからないので、字幕という言語も加わる。

    1930年代の台湾が舞台の中心。それは日本統治時代の台湾であり、本の中の出来事である。この本自体のオリジナルがあるのかどうかは不明だが、本のストーリー自体が幻想的だ。
    日本人の妻と人形遣いの話なのだが、鯉がキーワードとなっている。
    池の中の鯉になぞらえる妻のこと。きれいだけど、それだけ。
    食べられる鯉と食べられない鯉。きれいな鯉は食べられない。
    人は池の外からきれいな鯉を見ているだけ。

    このストーリーに、日本人の女性が入り込む。人形遣いの人形として。
    人形なのに、全体が見えているという視点があるのだ。

    さらに、日本人女性を演じる役者の祖父が台湾からやってきたということで、そのお墓を台湾の俳優たちと探しに行くというストーリーも並行する。

    台湾と日本の関係が、激しいパフォーマンスと、矢内原美邦さんらしい熱のある台詞回しの中で、静かに語られる。

    本の中とは言え、1930年代の台湾という設定であるとすると、真っ先に浮かぶのが、「霧社事件」。日本と台湾との間に深く暗い影を落とした事件があった。
    そういう歴史的事実を含め考えると、さらに深くなりそうな物語だ。

    ミクニヤナイハラプロジェクト『五人姉妹』のときは、短時間の作品をさらにブラッシュアップした作品を見せてくれたので、これも新たに再構築して、再演してほしいと思う。

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    2012/12/27 14:28

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