海と日傘 公演情報 海と日傘」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 満足度★★★★

    静謐で美しい物語
    静謐な時間と空間が観る者をその時代、その場所へそっと誘っていく。視覚のみならず、触覚、嗅覚にまで訴えかける演出が切なく美しい物語を一層引き立てている。

  • 満足度★★★★★

    二人の愛情と執念と確執
    座り芝居が多いため舞台は高目に設置、配慮が行き届いています。そのような中、淡々と、静かに、時間が経過していきました。

    ネタバレBOX

    出版社の紹介で定時制高校の先生をしながら作家活動を続ける夫が、不治の病で倒れた妻の看病をし、看取る話。

    夫は作家志望で、恐らく二人は妻の両親に結婚を反対されたため駆け落ちをした夫婦だと思われます。作家としては地方の文芸誌に載るところまで成功はしていますが、性格的には人付き合いが苦手で全日制高校の先生を長期休養しており生活は苦しい状態が続いています。そして、元々身体の弱かった妻が倒れた当日は、夫が学校でクビを宣言された日でもありました。

    編集者や大家さんはいい人でした。三好十郎作『浮標』と同じです。大家さんは溜まった家賃の請求をしませんし、出版社は原稿料は少額でしょうが金払いは良好でした。

    不治の病にも拘わらず妻の親族に連絡しなかった夫の行動は、確執があったとしてもいささか不人情でした。

    後妻候補に看護師さんを推し、以前の担当の女性編集者だけは絶対嫌だと意思表示をする、死を意識した妻のあざといまでの執念も大したものでした。

    ところで、大家さん夫婦が彼女の異変に気づくまでの時間ですが、その前にも台所に行ってかなり時間が経ってから出て来ていましたから、少し早過ぎたように感じました。もう少しだけ間があればと思いました。

    いずれにせよ、押さえておくべき作品を観られたことが幸せでした。
  • 満足度★★★★

    名作

     難易度の高い作品に挑戦し続けている劇団のようだ。今日の公演も頗る難易度の高い作品である。演劇的にドラマツルギーが成立するのは、ひ弱な妻の、死に至る病があるからである。従って何気ない日常の所作が勝負所となる。若手作家でもある夫は、教職にも就いていたが、今はそれも上手くいっていない。夫の収入は殆ど小説の原稿料だけの有り様。従って収入は微々たるものであり、家賃さえ随分滞っている。そのようなつつましい生活の中で病弱な妻が倒れた。余命は3カ月。晩夏に倒れた妻であるが、その儚さは、舞台美術、音響で幕開け早々告知されていたことだ。夏の終わり、ヒグラシの鳴き声、糠味噌臭くないみずや。和室には珍しい全面透き通った硝子張りの戸、そこに巻き揚げてあるすだれの佇まい。
     科白が東京の山の手方言で無い所も良い。地方語には詳しくないが、九州弁の男言葉は一見そっけなさそうで優しさや思いやりを感じさせる。体調の優れぬ妻の、お茶目な感性を感じさせる科白も、女性の可愛らしさを見事に表現する。
     “あうるすぽっと”の杮落しに上演されたというこの難しい名作を、これだけ魅力ある舞台にしたことに、この劇団の地力を感じる。

  • 満足度★★★★

    いかにもSPIRAL MOONな作品チョイス
    「全てを語らず」な奥床しさ(?)がいかにもSPIRAL MOONな作品。
    また、切なさを内包あるいは予見させながらも、のどかで時にユーモラスでさえある味わいに古き佳き時代の日本映画(松竹?)を連想。
    さらに、毎度ながら照明の的確さと表現力の見事なことと言ったら!

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