満足度★★★★
静謐で美しい物語
静謐な時間と空間が観る者をその時代、その場所へそっと誘っていく。視覚のみならず、触覚、嗅覚にまで訴えかける演出が切なく美しい物語を一層引き立てている。
満足度★★★★★
二人の愛情と執念と確執
座り芝居が多いため舞台は高目に設置、配慮が行き届いています。そのような中、淡々と、静かに、時間が経過していきました。
満足度★★★★
名作
難易度の高い作品に挑戦し続けている劇団のようだ。今日の公演も頗る難易度の高い作品である。演劇的にドラマツルギーが成立するのは、ひ弱な妻の、死に至る病があるからである。従って何気ない日常の所作が勝負所となる。若手作家でもある夫は、教職にも就いていたが、今はそれも上手くいっていない。夫の収入は殆ど小説の原稿料だけの有り様。従って収入は微々たるものであり、家賃さえ随分滞っている。そのようなつつましい生活の中で病弱な妻が倒れた。余命は3カ月。晩夏に倒れた妻であるが、その儚さは、舞台美術、音響で幕開け早々告知されていたことだ。夏の終わり、ヒグラシの鳴き声、糠味噌臭くないみずや。和室には珍しい全面透き通った硝子張りの戸、そこに巻き揚げてあるすだれの佇まい。
科白が東京の山の手方言で無い所も良い。地方語には詳しくないが、九州弁の男言葉は一見そっけなさそうで優しさや思いやりを感じさせる。体調の優れぬ妻の、お茶目な感性を感じさせる科白も、女性の可愛らしさを見事に表現する。
“あうるすぽっと”の杮落しに上演されたというこの難しい名作を、これだけ魅力ある舞台にしたことに、この劇団の地力を感じる。
満足度★★★★
いかにもSPIRAL MOONな作品チョイス
「全てを語らず」な奥床しさ(?)がいかにもSPIRAL MOONな作品。
また、切なさを内包あるいは予見させながらも、のどかで時にユーモラスでさえある味わいに古き佳き時代の日本映画(松竹?)を連想。
さらに、毎度ながら照明の的確さと表現力の見事なことと言ったら!