海と日傘 公演情報 SPIRAL MOON「海と日傘」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    二人の愛情と執念と確執
    座り芝居が多いため舞台は高目に設置、配慮が行き届いています。そのような中、淡々と、静かに、時間が経過していきました。

    ネタバレBOX

    出版社の紹介で定時制高校の先生をしながら作家活動を続ける夫が、不治の病で倒れた妻の看病をし、看取る話。

    夫は作家志望で、恐らく二人は妻の両親に結婚を反対されたため駆け落ちをした夫婦だと思われます。作家としては地方の文芸誌に載るところまで成功はしていますが、性格的には人付き合いが苦手で全日制高校の先生を長期休養しており生活は苦しい状態が続いています。そして、元々身体の弱かった妻が倒れた当日は、夫が学校でクビを宣言された日でもありました。

    編集者や大家さんはいい人でした。三好十郎作『浮標』と同じです。大家さんは溜まった家賃の請求をしませんし、出版社は原稿料は少額でしょうが金払いは良好でした。

    不治の病にも拘わらず妻の親族に連絡しなかった夫の行動は、確執があったとしてもいささか不人情でした。

    後妻候補に看護師さんを推し、以前の担当の女性編集者だけは絶対嫌だと意思表示をする、死を意識した妻のあざといまでの執念も大したものでした。

    ところで、大家さん夫婦が彼女の異変に気づくまでの時間ですが、その前にも台所に行ってかなり時間が経ってから出て来ていましたから、少し早過ぎたように感じました。もう少しだけ間があればと思いました。

    いずれにせよ、押さえておくべき作品を観られたことが幸せでした。

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    2012/11/17 15:30

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