父と暮せば 公演情報 父と暮せば」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 5.0
1-5件 / 5件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い。
    戯曲の力もあるが、演奏舞台らしい演出と演技がすばらしい。見応え十分。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は板敷、中央に出捌け口。上手に押し入れ襖 傍に卓袱台、机や行李など。下手は波トタンの壁際に薬缶や食器などが並ぶ棚。中央の柱には、8時15分を指したまま止まっている柱時計。シンプルな造作だが、戦後のあばら家と思えば納得できる。登場人物は父と娘の2人。

    物語は、戦後3年経った夏の広島が舞台。美津江は「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」と固い決意。原爆で多くの愛する者を失った美津江は、1人だけ生き残った負い目を持っている。いわゆるサバイバーズ・ギルト。最近 勤めている図書館に通ってくる青年に好意を抱くが、恋のトキめきからも身を引こうとする。 そんな娘を思いやるあまり「恋の応援団長」として現れるのが父・竹造。実はもはやこの世の人ではない。死者と生者、父と娘それぞれの抱える思いが交錯しながら紡がれていく日々、今を生きる人たちが観ておきたい物語。

    父・竹造(浅井星太郎サン)と娘・美津江(池田純美サン)の自然体な演技に驚く。全編 広島弁、第二の故郷が広島であり、聞き慣れた広島弁に違和感は感じられなかった。それだけ方言指導と演技が確かということ。浅井さんは父親役ということで体形を変えたのだろうか。人格的には滋味溢れる雰囲気を醸し出していた。池田さんは遠くの一点を見つめるような目、そこに意志の強さを感じる。2人の演技に「柔和」と「剛直」といった反対の心情をみるようだ。この剛柔ある会話がお互いの思い、夫々 それを押し付けることが出来ない もどかしさ。その表現し難い感情が滲み出ていた。

    美津江は、自分が幸せになることを諦めている、いや拒否している。一方、竹造は死をも乗り越え未来という希望を望んでいる。それは 自分を別の形(孫)として生まれ変わらせてほしいと。父から娘へ、その幸せと同時に親子、人と人の繋がりがしっかりと伝わる。
    その情感を Key&Vo 佐々木多幸詩さんとGt 松岡信二さんの生演奏が支える。ちなみに佐々木さん、口をマイクに近づけ歌っていたが、音(声)が漏れ広がらないための工夫ー近接効果を利用していたような。アクシデントか? 自分の勘違いだろうか。
    次回公演も楽しみにしております。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    不朽の名作ながら、今回も演奏舞台らしい技量のある熱演でした。幽霊ながら前向きな父とサバイバーズギルトから抜け出せない娘の対比が一層原爆の惨たらしさや悲しみを増幅させており、胸につまる舞台でした。

    ネタバレBOX

    浅井さんと池田さんの二人芝居であるため、今回は音楽の演出はないだろうと思っていましたので、熟練の方の深みのある演奏効果にお得感がありました。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    利発な雨もあんぽんたんな雨もあるが、雨が止むのを待つしかない。あの時の広島では、死ぬんが自然、生きるが不自然、そんな思いも、すぐに癒されるものではない。そんな時、おとったんが娘を支えに来て、そして去って行く。世の中、どれだけ理不尽なことがあるか、また、それをみんながそれぞれ乗り越えてどうやって前向きに生きていくか、その難しさと大切さ、そんなものを感じました。10平米ほどの舞台でひたすら2人の会話ではなしが進んで行くのは、大昔の映画「終着駅」を彷彿させるものがありました。2人の会話と演奏及び歌を聞いているとあたまの中にそれぞれのシーンが浮かんで来ました~

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    いやー、最高の舞台でした。もうNHKの朝ドラレベルですね。何もかも完璧です。劇団演奏舞台というと劇伴が生演奏なのが売りですが、今回も最高でした。ちょっとヴォーカルの音量が大きすぎてハウっていたのが残念でしたが… で、劇団演奏舞台の舞台というと「純白観想文」「息子」「楽屋」を観てきたのですが、いつも注目してしまうのが劇団演奏舞台の看板女優の池田純美の演技(とギタープレイ)。で、今回は池田純美の演技というか演技力に度肝抜かれました。こんなにすごい演技をするんだ…とマジで感服というかびっくりです。ぶっちゃけ、若手の舞台女優で観るものを完全にコントロールできるのは池田純美と平体まひろぐらいじゃないかと… とにかく圧巻の演技でした。最高の舞台をありがとうございます。劇団演奏舞台の舞台にはずれなしですね。知人に宣伝しまくります^^

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

     こういう舞台に稀に出会うから観劇は止められない。断固、観るべし! 当然華5つ☆ 今年になって観た舞台で最高峰! 尺は休憩無しの110分。完全に舞台と対峙しつつ見入った110分であった。
     原作は井上 ひさしさんの名作。内容は今更くどくど述べる必要などあるまい。(追記9.27)

    ネタバレBOX

     改めて手練れ作家、井上 ひさしさんの構成の上手さ、条理展開の見事、限界状況に置かれた人間のヒトとしての倫理、親子の情、娘の友人やその母を通じて描かれる被爆者たちとの交々。総てを引き裂く原子爆弾の仮借なき酷たらしさ。その央で展開される究極の選択で死に行く者の優しさと生き残ってしまった者に襲い掛かる申し訳なさの思念。これら総てを、演出を担当し父、竹造を演じた浅井 星太郎さん、娘、美津江を演じた池田 純美さん二人の役者が演じるが、間の取り方、演者同士の板上での距離、表情や仕草、効果的抑揚や巧みな台詞回しで見事に演じ切り一瞬たりとも目の離せない緊迫の舞台を創り上げた。
     伴奏は、浅井さんの音楽の師、佐々木 多幸詩さん(キーボード)、ギターに松岡 信二さん。劇中歌の歌詞も良い。

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