父と暮せば 公演情報 劇団演奏舞台「父と暮せば」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い。
    戯曲の力もあるが、演奏舞台らしい演出と演技がすばらしい。見応え十分。
    (上演時間1時間50分 途中休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は板敷、中央に出捌け口。上手に押し入れ襖 傍に卓袱台、机や行李など。下手は波トタンの壁際に薬缶や食器などが並ぶ棚。中央の柱には、8時15分を指したまま止まっている柱時計。シンプルな造作だが、戦後のあばら家と思えば納得できる。登場人物は父と娘の2人。

    物語は、戦後3年経った夏の広島が舞台。美津江は「うちはしあわせになってはいけんのじゃ」と固い決意。原爆で多くの愛する者を失った美津江は、1人だけ生き残った負い目を持っている。いわゆるサバイバーズ・ギルト。最近 勤めている図書館に通ってくる青年に好意を抱くが、恋のトキめきからも身を引こうとする。 そんな娘を思いやるあまり「恋の応援団長」として現れるのが父・竹造。実はもはやこの世の人ではない。死者と生者、父と娘それぞれの抱える思いが交錯しながら紡がれていく日々、今を生きる人たちが観ておきたい物語。

    父・竹造(浅井星太郎サン)と娘・美津江(池田純美サン)の自然体な演技に驚く。全編 広島弁、第二の故郷が広島であり、聞き慣れた広島弁に違和感は感じられなかった。それだけ方言指導と演技が確かということ。浅井さんは父親役ということで体形を変えたのだろうか。人格的には滋味溢れる雰囲気を醸し出していた。池田さんは遠くの一点を見つめるような目、そこに意志の強さを感じる。2人の演技に「柔和」と「剛直」といった反対の心情をみるようだ。この剛柔ある会話がお互いの思い、夫々 それを押し付けることが出来ない もどかしさ。その表現し難い感情が滲み出ていた。

    美津江は、自分が幸せになることを諦めている、いや拒否している。一方、竹造は死をも乗り越え未来という希望を望んでいる。それは 自分を別の形(孫)として生まれ変わらせてほしいと。父から娘へ、その幸せと同時に親子、人と人の繋がりがしっかりと伝わる。
    その情感を Key&Vo 佐々木多幸詩さんとGt 松岡信二さんの生演奏が支える。ちなみに佐々木さん、口をマイクに近づけ歌っていたが、音(声)が漏れ広がらないための工夫ー近接効果を利用していたような。アクシデントか? 自分の勘違いだろうか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/09/29 06:00

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  • タッキー様
    いつも応援いただきありがとうございます。
    ご感想を励みに、今後もよりよい舞台づくりに邁進してまいります。
    またのご来場を心よりお待ちしております。
    劇団演奏舞台一同

    2025/10/10 23:15

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