満足度★★★★★
間接的体験として
70年代のあのような露骨な描写は、より直接的で観客を「煽る」ものであり、それ以上でも以下でもなかった気がする。
でもこの作品では、敢えてスクリーンで舞台までの距離を視覚でとらえる以上に強く仕切り、淡々と時刻をその上に刻むことによって、それがより現実的に、実際には見えていないどこかで営まれている行為であり、存在する状況であることを強く認識させてくれるような気がした。
どこかにいるであろう彼ら、食べて、寝て、まぐわって、放出し、排出し、次の一瞬のことすら考えていないような彼ら。そういう存在が「確かに」在り、それは自分たちのことでもあるのだと身体の深い内部を見せられたような気持ちになった。
満足度★★★★
ポツドールの芝居は愛に溢れている
ポツドールのお芝居は愛に溢れている、でもいつも悲しい。
今回の体験も衝撃的な現代を映し出している様に私は感じました。
現代の不条理な人間模様を表現できる方は、三浦さんと園さんと古谷さんでしょうか(それ以外にも才能に溢れたすばらしい方は多いでしょうが、私が存知あげないだけです、すみません)?
かつて、40年前(1960年から70年台にかけて)は日本映画でも映像作家の手でタブーを描くことができました。
今それを表現しようとして頑張っているクリエーターが前者の方々と思いますし、この三浦作品の「夢の城」でも充分なタブーに取り組んでいます。しかし、三浦さんの作家・劇作家として素晴らしいところは、タブー的な状況の空間でエンターテイメントを作り出すところ、しかし、底辺に流れる「むなしさ」や「せつなさ」を毎回、全編通して表現していることは一環しています、そこが「ポツドール」の愛に溢れる芝居と思います。私は観劇して良かったです。
満足度★★★★
凄いものを観てしまった
上手く表現できないのですが、芝居を観たという感じではなく、動物園に展示された人間という生物を観察した、という感じがします。
全体を通しては、人間の本能を極端に表現するとあんな風なのかもしれないな、という恐ろしさを感じました。ただ、本能むき出しの彼らが、時折見せる小さな「人間性」に、ああ、やっぱり彼らも人間なんだ、と妙な安心感を感じたり。。
内容が内容だけに、個人的には少し嫌悪感が残ったのも事実です。ただ、無言劇というスタイルや、細部まで作り込まれたセットには大きな驚きがありましたし、何より、この舞台を体現した俳優さん達の覚悟に充ちた演技は、トラウマになりそうなくらい、私にとっては衝撃的なものでした。
とにかく凄いものを観てしまった気がします。
満足度★★★★★
夢の城 -Castle of Dreams
台詞にすべて語ってもらわなければ発狂してしまう方には絶対にお勧めしません。緻密で丁寧な原始的作品。言葉は人が話す言葉だけではない。物語性豊かで刺激的な作品です。上演時間約80分。京都では入場整理券の配布はありません。会場である講堂の入口に並んだ順番に入場となります。両サイドよりも真ん中目が観やすい。なお性的描写がありますので注意。