満足度★★★★★
間接的体験として
70年代のあのような露骨な描写は、より直接的で観客を「煽る」ものであり、それ以上でも以下でもなかった気がする。
でもこの作品では、敢えてスクリーンで舞台までの距離を視覚でとらえる以上に強く仕切り、淡々と時刻をその上に刻むことによって、それがより現実的に、実際には見えていないどこかで営まれている行為であり、存在する状況であることを強く認識させてくれるような気がした。
どこかにいるであろう彼ら、食べて、寝て、まぐわって、放出し、排出し、次の一瞬のことすら考えていないような彼ら。そういう存在が「確かに」在り、それは自分たちのことでもあるのだと身体の深い内部を見せられたような気持ちになった。