実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/06/28 (土) 18:00
『アンネの逆襲』という公演タイトル通り、かの有名で悲劇的な結末、しかも、事実が描かれ、第二次対戦中のヒトラー政権当時のユダヤ人の隠れての生活、それから見つかった後の強制収容所での生活が赤裸々にアンネの視点で描かれた『アンネの日記』を元にしつつも(勿論、アンネと関わる人や家族、一緒に隠れ家で避難生活をするアンネの父親オットーの知り合いのユダヤ人家族など、劇に出てくる登場人物の大半も事実に即している)、事実と違って、アンネが強制収容所の不衛生で過酷な環境で、すっかり衰弱して、収容所内で病死したということや、多くのユダヤ人がガス室に送られたことを変え、少し幸せな終わり方になっていて、事実はもっと過酷で悲惨であることに変わりはないし、今こうしてる間にも世界では、ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとガザの紛争、ミャンマー内戦、アフリカ諸国での戦争や紛争が起こり続けていて、とても平和とは程遠い状況だが、せめてフィクションの中でアンネが少し幸せになる描かれ方をすることで、少しは救われる気がした。
今の世の中、あまりにも救われないことが多過ぎる上に、未だに戦争や紛争、内戦が起こると、正規の兵士に匹敵する数で、主に、赤ちゃんや幼い子供、少年·少女や女性、障害者、老人、病人など社会的、経済的弱者が狙われ、空爆や爆撃の対象にされ、レイプが公然と横行するという考えたくもない、思考停止したくなるようなこの世の悪夢が何処の世界であろうと情け容赦なく横行する、戦争や紛争、内戦とはそういったものだといつの時代であれ、そうだと否が応でもそう思わされる。
この劇を見ると、権力者、独裁者も戦争をも、もしかしたら事前にその原因を丁寧に取り除き、皆んなが恒久平和を願い、ヤラれたらやり返すというような憎しみの連鎖を断ち切り、不信感や差別を助長させず、お互いに歩み寄り、理解し合おうと努力し、政治に関心を持ち、困っている人を見捨てず助け合える社会だと、戦争などは起こらず、独裁者や権力者は生まれづらいんじゃないかと感じた。
勿論現実は、そう簡単にできていないことも十分分かっているが。
せめて、劇の中において、中盤で強制収容所に入れられたアンネたちが家事を起こし、火事の中逃げ惑うユダヤ人や収容所の刑務官たちに混じって逃げていたヒトラーが躓き、意識を失ったのをいいことに、アンネたちは医者のデュッセルをヒトラーに扮装させることで収容所を脱獄することに成功し、アンネたち全員戦後まで生きたということに一抹の希望を感じた。
そして実家に戻ったアンネが、ある満月の夜に、ひょんなことから飼い猫のキティと共に違う次元の戦争前?の世界で憎んでいた筈のヒトラーの若き頃、絵が売れなくて、金がなくて、空腹過ぎてフラフラになっているのと出会う。
その出会いを通して、偏狭で、気難しくて、神経質で、諦めと差別意識が強く、非常に独善的で卑屈、といった感じの独裁者ヒトラーになっていくのを、絵を売れさせ、自信を付けさせていくことで、未然に防ぎ、愛と平和、日常のささやかな幸せを大切にするヒトラーへと、さり気なくアンネが導いていく、相手への憎しみ以上に、若い頃の独裁者になる前のヒトラーに罪はないと、内心ヒトラーを憎む気持ちと葛藤しながらも、若き日のヒトラーを理解し、救おうとする在り方に、人は、現実的には、ここまで吹っ切れるものではないと思いつつ、若きヒトラーとアンネのお互いを理解し合おうとする交流に、世の中全てこうだと争いなんて起きないのにと感慨深くなってしまった。
ヒトラーと秘書の絶妙にズレた会話が面白かった。
アンネとマルゴー、ペーターやアウグステたちの愉快でユニークな会話は見ていて、大いに笑えて、楽しめた。
実演鑑賞
満足度★★★★
「アンネの日記」は子どもの頃に子ども向けに翻訳されたものを読んだきりなので、アンネがどんな性格だったのかよく覚えていません。明るくて前向きな女の子という印象はありましたが、今回の彼女は赤毛のアンかパレアナかという感じでした。そうなんですか?
実演鑑賞
満足度★★★★★
最高の舞台でした。まず脚本がすばらしいです。アンネにスポットライトを当てているようで実はヒトラーにスポットライトを当てているところなんか「技あり一本!」です。マジで、この脚本ならハリウッドで売れるかと思います。ありとあらゆるヒトラーにまつわる映画を観てきましたが脚本ならヒット映画を狙えるレベルのものです。
実演鑑賞
満足度★★★★
「アンネの日記」は小学校時代に読み、自分がその時代に生きていたら、助けたいとその理不尽に心を撃たれた書物であった。であるが故に自分は現在、パレスチナの側に立つことを選んている。
実演鑑賞
満足度★★★★
面白かったです。
劇中で描かれたアンネは、周囲の人を幸せにする素敵な女の子でした。
楽しい雰囲気の中に、戦争や平和について考えさせられました。
良い舞台でした。
実演鑑賞
満足度★★★
「アンネの日記」に沿いながら アンネの別世界、いわゆるパラレルワールドを描いた物語。学生時代に邦訳を読んだ記憶があり、物語を観て思い出した。描きたいことは解るが…。
この物語の結末は分らなくても、この世界線の行方は既に知っている。この先どんなことが起きて、今に繋がっていくのか。物語では、いくつも並行した この世界があり、現実とは違う空間を描く。現実の世界が 戦争と虐殺ならば、架空の世界は 平和と保安といった対極を描いている。
(上演時間1時間45分 休憩なし)