アンネの逆襲 公演情報 劇団PDW「アンネの逆襲」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    「アンネの日記」に沿いながら アンネの別世界、いわゆるパラレルワールドを描いた物語。学生時代に邦訳を読んだ記憶があり、物語を観て思い出した。描きたいことは解るが…。

    この物語の結末は分らなくても、この世界線の行方は既に知っている。この先どんなことが起きて、今に繋がっていくのか。物語では、いくつも並行した この世界があり、現実とは違う空間を描く。現実の世界が 戦争と虐殺ならば、架空の世界は 平和と保安といった対極を描いている。
    (上演時間1時間45分 休憩なし)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、上手に高さの違う平台が2つ。下手は低い平台にベンチが置かれている。場面に応じて小道具を搬入/搬出し場景を変える。また段差のある平台の上り下りは躍動感、同時に睥睨するといった光景を表す。気になったのは、フランク家やファンダーン家の人々の衣裳が小ぎれい で違和感がある。

    「アンネの日記」…フランク夫妻ーオットー、エーディト、姉 マルゴットそしてアンネ、知人のファンダーン夫妻ーヘルマン、アウグステと息子のペーター、歯医者のデュッセルの8人で、カーテンを閉めたままの隠棲。そう言えば、フランク家とファンダーン家の間で摩擦があったこと等を思い出した。その後、彼らはゲシュタポ(秘密警察)に見つかり、強制収容所に連れて行かれ、厳しい環境の中で死亡する。

    別世界は、アンネとヒトラーが夢と希望を育もうとする物語で、史実ーユダヤ人狩りのホロコーストを避けるために、隠れ家に潜んだユダヤ人達の生活ーの対極にあるような物語。仮にヒトラーが芸術 特に絵画に造詣が深ければ、といった架空の話の中に現代へのメッセージを込める。架空の物語は逃げ道ではなく、今 地球上のどこかで起きている紛争・戦争に声を上げること を訴えていると解する。

    デュッセルがヒトラーに成り代わり演説(なくならない 紛争や戦争に対するメッセージのよう)を行ったところから違った世界が出現する。公演で伝えたいことは、このスピーチに集約されている。展開としては分かり易いが、あまりにも前半・後半といった区分された描き方がシンプルすぎて、舞台としては物足りない。できれば、訴えたいことを直接的に描くのではなく、舞台を通して浮き彫りになるような そんな印象付けがほしい。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2025/06/26 16:37

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