骨と肉 公演情報 骨と肉」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-9件 / 9件中
  • 実演鑑賞

    大型家具販売店での父娘のお家騒動を描いた 2017年初演を改定再演。115分。6月22日までシアタートラム。そのあと7月6日まで愛知。

    https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/07/post-857952.html

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/06/20 (金) 14:00

    初演(2017年11月)がSPACE雑遊だったと確認して舞台サイズの違いに驚きつつ臨んだが舞台装置を見て「そう来たか……」とニヤリ。そして開演しての「あのパフォーマンス」と「出演者入場(とその衣装)」に「そこまでやるんだ!」と破顔。
    しかもそれが意表を突くようでいながら(初演を観ていた身として)内容を端的に象徴していて大いに納得。
    そうして描く家族経営の企業の父娘(会長/社長)の「経営戦略をめぐる対立」、演出の違いによって娯楽性が大幅アップされこういうのも楽しくてイイな、と。
    観た回のポストトークで谷仲さんから「(演出の許可を得た上で)初演と変えて娘と対立はするが内心は娘が可愛くて仕方がないという設定で演じた」という発言があり「そういうのもアリか」と感心。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    座高円寺公演に続いての観劇。前作は政治(家)物、今作は企業物で再演とは言え8年を経て随分中身も変わったとの事。
    舞台上にリングが出現している。舞台奥行の半ばあたりにロープ2本を渡したリングの2辺から、こちら側が格闘(論争や権力闘争)の場、あちら側には椅子が並べられ、登場しない俳優の控えとなっている(照明は低く落している)。
    日替りゲスト出演者による選手入場のアナウンス(「あーーーおーーーコーナー、××××」と矢鱈盛り上げるやつネ)で登場人物の入場。紹介されるのは同社内役職の者たち。それでバトルと来れば、企業の内紛が題材と知れる。で、どこかで聞いたような・・と、ふと大塚家具という単語が頭をよぎる。ほぼ関心は無かったがそれでも聞こえて来てた程であるから世間的に随分話題になったのだろう。

    結論的に言えば、ドキュメントではないフィクションとして見るにしても、長年社長を務め大企業に発展させた既に老境の二代目(現会長)と、彼の長女である新社長の果してどちらに理があるかは、実際には具体的な話に立ち入らねば判別できない。そこを伏せて進んで行く話であるので、評価がしづらい、という事がある。
    勿論ストーリー展開の面白さはあるのだが、人の行動への評価はどんな状況に対しどう対応したか、であり、具体的言及を回避した物語の進行では、「これは女社長が良い側で会長が悪役?」いや実は「女社長に決定的な欠陥があったりするのでは?」とどっちを軸に観て良いのか迷ってしまう。(それが意図ならその通りになった訳だ。)
    割切って見れば面白い、かも知れないが(実際面白いには面白いが)・・といったあたりを書こうとしたが言葉が探せないので後日また加筆することにする。

    ネタバレBOX

    続きを書いてみようとしているが、だいぶ日にちも経った(何しろ記憶力も悪い)。
    芝居のオチはこう。長女が会長体制を転覆して再度社長に返り咲くのだが、元コンサルとして力量を持つ企業改革の側面や、時流に乗った販売戦略といった所では有能だが、売上は今ひとつ伸びない。物を生み出し、売り出す企業の本分の側面では、閃きや創造的営為が重要となる。その才能が突出していた会長との歩み寄りが「会社のために」必要なのでは・・との予感を認めざるを得なく感じている女社長の表情で幕が下りる。
    脚本の狙いとしては、両者一歩も譲らず!のバトルから、会社のために何が必要か、という一点で人は協同し得るはず・・というメッセージのように思われる。作劇は権謀術策が火花を散らす「リング上の試合」を主眼に置きつつ、最後は現実に目を向け、収まる所に収まるだろう、と落とす。トップの座を勝ち取っても船を沈没させては何もならない。物事の道理に「戻った」と見えた。
    しかし「物事の道理はどこにある?」という問い自体は、劇中から存在している。その問いには(具体的な事に触れない事により)答えず、伏せたまま最後に謎解きとなるのだが、「伏せた」状態でバトルの行方に注目させておく事に、成功した人は居るかも知れないが、自分の感じでは「肝心な事に触れずに権力争奪戦やってるな~」という印象で、そこに若干の(作劇上の)無理を感じた訳であった。
    とは言え、長女側も「会社のために」、会長側も「会社のために」行動しているという構図は組織の一つの縮図かも知れない。
    しかし手腕のある会長もとあるスキャンダルから一線を退くと言いながら、娘に任せておいたのでは埒があかないと社長復帰を画策。長女とまともに話し合うという事をやらなかった。だから権力の味が忘れられない会長に非があると見えるのだが、実はそうではなく、物作りの会社であるべきだ、なぜなら「それが売上に繋がるから」という考えは真っ当だ。一方長女の側は「悪弊があるから改善しなければ」という改良路線。物を作るという事が「上から降りて来た仕事」のようにこなすものとは違う、という根本を理解していないように見える(結構中盤から)。その危うさと、会長の性格もあっての暴挙で紛れてしまうが、本来なら第三者的目線からでも「会長への評価」「女社長への評価」が語られ(実際は社員の間でその程度のやり取りは交わされてるはず)、そこにある本質的問題は早々に観客の前に提示されていて良く、そこからどう問題解決に至る事ができるか、という所でハラハラドキドキ・・と行きたかった。などと身勝手な希望を書いても仕方ないが、物語的に薄さを感じた理由はその辺りだろう。

    そんなこんなの感想ではあるが、中村氏の企業物、政治物はやはり面白い。今後も愉しませて欲しい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    初JACROWでしたが、最前列で見れたのですごい迫力!三味線もカッコいい!
    リングを使った演出も面白くてすぐにのめりこんでしまいました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    まず当日パンフレットの中に「用語説明書がない!」と思ってしまった。
    JACROWの舞台は、政治やその業界ならではの言葉が飛び交うバチバチの会話劇で、そこが大好きなのだけれど今回はないんだぁと思っていたら、リングアナの迫力ある声に、あのコスチュームで役者さんたちが登場してきて、どうしたことかと思ったが、そんなのは全くの杞憂でやっぱりJACROWはJACROWだった。いや、これまでのJAROWの良さをしっかり内包した新しいJACROWだった。
    とにかく面白かった。
    谷中さんの昔気質でワンマンで、でもカリスマ性のある頑固親父がカッコいい。(実際に上司だったら面倒くさいと思うけれど)
    生演奏の津軽三味線も素晴らしかった。
    役者たちの舌戦と三味線の激しく迫力のある演奏がマッチしていたと思う。
    ラストシーンが印象的だ。
    日本人はディスカッションが苦手だと言われる。
    昨今は小学校などでもディベートの授業を取り入れているらしいが、果たしてその効果は出ているのだろうか。
    「相手の話を聞く」ことの大切さを改めて思う舞台だった。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    鑑賞日2025/06/21 (土) 13:00

    座席1階

    JACROWの社会派劇は今作のような経済系の物語より、やっぱり政治系の方が断然面白いと思う。これまでJACROWが世に放った数々の政治劇で抜群の存在感がある狩野和馬は、創業家の娘と結婚した、幼い娘の父親役。嫁さんに頭が上がらない子煩悩パパを演じたのだが、なんだか拍子抜けするほどしっくりこない。

    しかし、ボクシングのリングを舞台にした演出、さらに日替わりでリングアナ役の俳優を招いて舞台の進行を委ねたアイデアはすばらしい。JACROWの舞台で重要な役割を果たす音楽・効果音に二人の三味線奏者を配したところもよかった。自分が見たリングアナは劇団道学先生の青山勝。顔を真っ赤にして絶叫アナウンスをする様子は、本体の出演俳優さんがかすむほどの迫力だった。

    先人も書いている通り、物語は大塚家具のお家騒動をモチーフにした老舗雑貨の会社が舞台。会社の取締役会の人間関係と、創業家家族の群像劇をクロスオーバーさせた脚本は面白い。会社を大きくした功労者である父がベストと考える経営哲学と、銀行員としてさまざまな経営者を見てきた長女が考える未来に会社を残すための経営哲学が真正面からぶつかる。まさに、取締役会のゴングが鳴るのである。

    今作は、主宰の中村ノブアキも出演している。父親が頼りにした信金マンで、線の細い誠実そうな社外取締役という難しい役をこなした。ある意味、自分へのあて書きだったのかも。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/06/20 (金) 14:00

    大塚家具の会長(父)と社長(娘)との経営上の対立をモデルにしている。家具屋姫といわれ父に愛された娘が思いがけなく社長になり会社を改革して立て直して行こうとする。現会長(父)はカリスマ社長時代に会社を大きくしてきたが、時代の変化に対応できず売上が落ち、ある不祥事で社長を退き会長になる。社長(娘)と会長(父)が会社経営で対立し闘いがエスカレートしていく。父娘の頑固で相手の意見を聞き入れない性格が悲劇をよぶ。舞台セットのリング、三味線の音楽、これからの闘いを予感させる。テンポもよく芝居に引き込まれ楽しく観劇しました。谷仲恵輔さんはパラドックス定数「ズベズダ」の時も感じたが、いつも存在感があり印象に残る役を演じていて、今回も、意見に反対しつつも娘を思いやる気持ちが伝わってきました。 川田希さんはコリツチ舞台芸術チャンネルで永田紗茅さんと番組MCとして仲の良い二人で司会進行され、いつも楽しく見ていました。川田さんが社長(娘)・家具屋姫を熱演され、役の育ちの良さがでていて良かったです。

    ネタバレBOX

    最後に、経営がうまくいかない社長(娘)がスマホで全員に電話をかけるシーンで暗転。対立だけでなく相手の話も聞く対話の大事さを伝えるメッセージ。余韻の残るラストだった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    何となく大塚家具のお家騒動は知っていたが、そこまで興味はなかった。2014年から2015年に掛けて世間を賑わせた創業者一族による骨肉の争い。2017年に舞台化。

    メチャクチャ面白い。
    開幕からリングアナ(日替わりゲスト)の口上で選手入場。第2次UWFの全選手入場式を思わせる興奮。UWFのテーマ曲が欲しいくらい。プロレスチックなコスチュームで登場する役者陣。プロレスラーのアピールを模したジェスチャーで観客を煽る。新日本プロレス対UWF5対5イリミネーション・マッチの様相。ステージはもろにロープの張られたリング。舞台の端に津軽三味線・楽風(がくふう)の二人が上手下手に分かれて生演奏。リードギターとサイドギターのように音の組み合わせが練られていて見事。

    主演の社長・川田希さんは女子プロレスラーっぽく華やか。最初から最後まで光り輝く美人、まさにエース。いい女だな。厚底スニーカーもキュート。
    対する父親である会長・谷仲恵輔氏はいつもながらに最高の出来。
    銀行マン出身の社外取締役・中村ノブアキ氏は劇団主催で脚本演出も兼任。それでいて持ち味の妙味で笑いもかっさらう凄腕。
    実はかなり重要な存在である主人公の妹、専業主婦の福圓美里さん。こういう複雑な立ち位置を演らせると嵌る女優。彼女の存在がこの物語に文学性を与えている。
    その旦那である取締役・狩野和馬氏もキーマンに。
    会長ベッタリの本部長・芦原健介氏は橋下徹っぽい胡散臭さ。

    見事なるエンターテインメント。観劇好きで今作を観れなかった人は不運だろう。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    ラストシーンは印象深い。自分とは違う他人の意見も真摯に聞くことができたなら。自分の中にはなかった意見にこそ生きるヒントがあるのかも知れない。お互い歩み寄れればもっと良い結果があったのかも知れない。だが他人ごとだとそう思えても自分ごととなるとうまくいかないもの。

    株主総会で敗れ、会社を辞めた会長は長男と2015年、新会社「匠大塚」を設立。高級路線を突き進むもどうにも先行きが見えない。
    大塚家具は業績悪化の為、2022年ヤマダデンキに吸収合併された。
    ニトリ、無印良品、IKEAに食われた日本の家具業界。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/06/19 (木) 19:00

    ベテラン劇団の企業モノのようでいて家族の物語。エンターテインメントも意識した傑作。117分。
     2017年に大塚家具の父娘の対立をヒントに書かれた作品をリライトして再演だが、物語は同じでも作り方が違ってエンタメにしっかり寄せてる。初演でも思った父(谷仲恵輔)と娘(川田希)の対立シーンなど「やりすぎ」の印象は残るが、それでも得意の企業モノで面白い。見事な衣装や、リングを模した舞台から、一種のファンタジーとしていることは分かる。久々の役者として登場の主宰・作・演出の中村が興味深いが、福圓美里という人を初めて認識して(『キョウカイセン』に出ていた)、声優としてのキャリアが長い人だそうだが、野田秀樹が喜びそうな声だなと思った。

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