公演情報
「はぐらかしたり、もてなしたり」の観てきた!クチコミ一覧
実演鑑賞
iakuの新作。105分。7月6日までシアタートラム。そのあと、大阪、三重・四日市、愛知・豊橋。
https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/07/post-23ead7.html
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/07/05 (土) 13:00
座席1階
iakuの横山拓也らしい、一つ一つのプロットがきれいに結ばれた会話劇だった。こういう緻密な戯曲がiakuの魅力の一つで、それがいかんなく発揮された力作だった。
出だしはオムライスだ。夫は妻が作るウインナーがたくさん入ったオムライスが好きなのだが、なぜか今回は入っていなった。妻にそれを告げると「絶対に入れた」という返事で雰囲気は険悪になる。夫はそんなことでけんかするつもりはなく「ただ事実を言っただけ」なのだが、妻はそうは受け取っていない。
物語はオムライスを起点として、この夫婦の娘や、コンビニの駐車場で車にぶつけられた男と「ひき逃げだ」と世話を焼いた女性など、登場人物の人間関係がクモの糸を広げるように少しずつ拡大していく。客席ではそれを「こういうことなのか」と確認しながら、それぞれの人物に展開されていく予想外の物語に見入っていく。
男女のすれ違いや思いもかけぬ展開、有名コーヒー店でのちょっとしたアイテムなど、とても気の利いた戯曲だ。ちょっとしゃれたラブストーリーということもあるのだろうか、関西弁は出ず舞台は東京っぽい。笑いのポイントはたくさんあるが、登場人物のキャラクターのぶつかり合いで引き出されるものが多く、よく工夫されていた。ただ、これだけのナイスな戯曲なのだから、タイトルはもう一工夫あってもいい。
最初に登場する夫婦は夫が小松台東の瓜生和成、妻がばぶれるりぐるの竹田モモコというなかなかの豪華メンバーだ。客席はほぼいっぱいだったが、端の方には空席も。人気のiaku、さらに出演メンバーもいいのになぜなんだろうと思った。まだ見ていない人は上演は明日まで、一見の価値あり。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/07/04 (金) 14:00
ベテラン劇団らしい、巧妙でいい話だが、クセもあり面白い。107分。
冒頭の3場面ほど観ても、どうつながるかが良く分からないのだが、そこからの落ち着き方は見事で、さすがiakuさすが横山拓也と思わせる作り。登場する男女それぞれが普通の人だけど一寸クセがあるという描き方が巧く、笑ってる観客も多いが、笑えない部分も大きく感じる話だった。それはツマラナイということではなくて、シリアスに考えたらとってもシリアスな物語が展開されているということだと思う。
実演鑑賞
満足度★★★★
(笑えた度)4(今感)4(完成度)5
ありふれたラブストーリーについて語るオーセンティックにしてモダンなメタフィクション。
完成度はすこぶる高い。
和製オフブロードウェイの傑作ストレートプレイ。
実演鑑賞
満足度★★★★
村上春樹の短編、『レーダーホーゼン』を思い出した。
舞台美術の柴田隆弘氏が構築したエッシャーのだまし絵のようなセット。至る所に増設された階段は今は失き九龍城の違法建築のよう。東急ハンズ渋谷店、ドン・キホーテやヴィレッジヴァンガードなどのスラムの迷宮感。増築を重ねた神経症的な高台建築。(関係ないが終わりが見えず延々続く渋谷駅の工事にはガウディのサグラダ・ファミリア感)。
高校教師の瓜生和成氏は教え子だった竹田モモコさんと結婚、授かった娘は高橋紗良さん。瓜生和成氏の好物はオムライス。竹田モモコさんの作るオムライスは鳥肉の代わりにソーセージを何本も入れるレシピ。ある日、お弁当のオムライスに楽しみにしていたソーセージが一本も入っていなかった。帰ってそのことを妻に告げると「確かに入れた」と不機嫌に。その後、失踪してしまう。
MVPは近藤フク氏か。東京03の飯塚のようでいてプロレスラーの西村修みたいな独特の空気。座間事件の死刑囚のような妙なヤバさも。
彼の上司、小林さやかさんのキャラも愉しい。
高橋紗良さんと井上拓哉氏のストーリーは清々しい。
キャスティングが絶妙で横山拓也氏の人を見る目が超一流。
短編『夜のオシノビ』が挿入されていたり、短編連作集を一つに繋いだ印象。何か無理にまとめた感もあった。だが非常に高度な文学性も感じさせる。妻の帰宅時、家族会議のMCを担当する異儀田夏葉さん、その奮闘ぶりが最高だった。
是非観に行って頂きたい。