はぐらかしたり、もてなしたり 公演情報 iaku「はぐらかしたり、もてなしたり」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    (笑えた度)4(今感)4(完成度)5

    ありふれたラブストーリーについて語るオーセンティックにしてモダンなメタフィクション。
    完成度はすこぶる高い。
    和製オフブロードウェイの傑作ストレートプレイ。

    ネタバレBOX

    読書家リイガ君がちょっとした事故をきっかけに年下の女性と出会う。
    ボーイミーツガール。
    典型的なロマンス。

    「鈴木愛。ありふれた名前。」
    笑いに包囲されていて聞き逃しそうになるが、
    これは、リイガ君がセリフとして言っている。

    やがてリイガ君と鈴木さんは一晩を過ごし、
    彼女に
    「鈴木さんて呼ぶの、やめない?」と言われ、
    初めて「愛?」と口にする。
    愛は答える。「そう、愛、愛なんだよ」、、、

    ありふれた愛に関する物語。

    リイガ君までもが作中人物かは判断しかねるが、そう考えられなくもない。

    リイガ君が読んでいたストーリーは、
    鈴木愛、つまりありふれた愛が生まれる前後から成人する前後までの、
    これまたありふれた、「大したことじゃない」愛に関する物語。

    ラストシーン。
    妻はやっぱり出ていく。
    男はオムライス。男にとっては「大したこと」ではない。
    ジオメトリックでシンメトリーの効いた美しい舞台装置をサスが鮮やかに照らし、
    文学的余韻を醸成する。

    書を捨て街に出た青年のビルディングスロマンとしても読めるが、
    結末は悲しいかな、
    街は変わらず本の中で、愛についての幻想に包囲されている。

    一方、エンタメ作品としても、とてもよく出来ている。

    コンビニ限定品、ネカフェ9時間パック、ラテのヴェンティサイズ、

    など最小限のアイテムで時代感を出すのは流石だし、
    笑いの作り込みもかなりのこだわりを感じる。

    中でも蔵田さんのキャラクターが素晴らしい。
    「僭越ながら(浮気をする)」、
    「観たことない具のバランスの巻き寿司」、
    「課長はミロのヴィーナスなんです。」などなど。
    いうことなすこと全て面白い。

    笑った。

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    2025/07/02 21:20

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