正義の人びと ~神の裁きと訣別するための残酷劇~ 公演情報 正義の人びと ~神の裁きと訣別するための残酷劇~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.4
1-6件 / 6件中
  • 20120819
    (^・ェ・^)はいけんしました

  • 満足度★★★★★

    正義という概念・思想
    カミュの戯曲からの断片を中心に三島由紀夫作品や創作も加えた二次創作的作品にして「正義という概念・思想」の演劇的表現。
    プレトークでの話も含め、観ていて「正義」の「正体」が次第にワカらなくなってゆくのは一種の快感?(笑)
    また、終盤での「離風霊船かっ!」な転換(笑)や降りしきる雪(革命には雪がよく似合う)、森田童子、「蒼ざめた馬」などにツボを突かれる。

  • 満足度★★★★

    ビジュアル系
    右翼団体の代表者を呼んでのプレトークや芝居の硬派な内容とは裏腹に、役者の衣装や髪型が少女マンガのようなビジュアル系なのが面白かったし、舞台面全体もきれいだった。(開演前に美形で有名なJapanのDavid Silvianの歌が流れていたのもそのせい?)プレトークで「正義の反対語は別の正義」と言っていたが、ということは人の数だけ正義があるのかな~などと柄にもなく難しいことを考えてしまった。役者の見栄えのよさをもっとよく見せるためにも、客席の作り方はもう少し考えてほしかった。2列目にすわったら、かなりの部分が見切れだった。

    ネタバレBOX

    切腹にはきっちりとした作法があり、あんな長い刀で切腹する人はいない!見た目をかなり重視しているので、「長いほうが見栄えがいい」と思ったのかもしれないが、却って格好悪い。演出家は「忠臣蔵」の浅野の切腹場面の美しさを見直してほしい。
  • 満足度★★★★★

    抽象劇としても思想劇としても素晴らしい内容
    初日に観劇。
    初見の劇団で、この会場も初めて(しかも結構遠い)のところで、
    何が見られるのか?と思いながら向かったが、とても素晴らしい舞台でした。

    ネタバレBOX

    会場内は基本的に、ずっと暗いまま。
    照明の効果が素晴らしい。

    そして、まるで人形劇のように、(操っている人を隠すような)台があって、
    そこには新聞紙が貼り付けてある。
    そんなわけで、大の奥で演じられている限り、
    腰から下は良く見えない。
    もっとも、台の手前にも出てくるし、天井近くにも骨組みがあって、
    役者が一人いる・・・煙草吸ったり、ライターをカチカチ鳴らしたり、
    物を投げてきたり。

    そんなわけで、舞踏などにも通じる前衛的な雰囲気で
    終始満たされていて、各場面場面の台詞が意味不明ということは無いのだが、
    基本的にはロシアの話と、そこに日本の話が混ざっていく手法で、
    あえて筋や台詞を丹念に追わなくとも、
    抽象芸術として雰囲気を感じて行くだけでも十分楽しめる。

    もちろん、社会正義のために人を殺すという不正義を行うについて、
    様々な意見の対立が台詞を通じて観客にも語られる。
    正義とは、生命とは、愛とは、を観る者もしばし考えさせられる。

    そして、最後には、客席まで紙吹雪が圧倒的な量で降り注ぐ。
    これももちろん、観る者に大変なインパクトを与える。
    もっとも、あまりに量が多くて、苦笑する人、くしゃみが出る人も続出。
    (私も取り急ぎ、「客席にはある程度降らした段階で止めても良いのでは」
    などと申し上げたところ、
    「他の方からも同様の御指摘があったので、ここは改めました」
    との御回答をいただいたので、翌日からは少々変わったのでは?)

    まあ初日ということで、その他処刑の場面でも
    若干のアクシデントなどありましたが、
    それでも十分過ぎるほどの満足感を感じた。
  • 満足度★★★★

    カミユ
     舞台で描かれているのは8割ほどはロシア革命初期のセルゲイ大公暗殺事件に纏わるものだが、2.26事件の決起に新婚故、決行時刻などの詳細を知らされず昭和維新に参加出来なかった将校夫婦に関するものである。

    ネタバレBOX

     セルゲイ・アレクサンドロヴィチ大公を暗殺したのは、詩人でもあったイワン・カリャーエフだが、彼は初回の攻撃を見送る。2カ月以上の間、大公の行動を監視し、綿密な計画を立てた計画を反故にしたのである。理由は、大公の馬車に二人の子供と夫人が同乗していたからであった。イワンは言う「例え革命の為とはいえ、守るべき名誉はある」と。然し党内急進派で脱獄してきたステパンは、述べる。「我々が、子供達を忘れることを決定した時、我々はこの世の主となり、革命が勝利するのだ」と。当然のことながらイワンは、ステパンに専制主義を見、その点を批判する。これは、当時、実行支配を増しつつあったスターリン批判である。この論争の渦中、イワンの恋人、ドーラが、ステパンに対して述べる科白「その日(子供達を爆殺する)革命は人類全体の憎悪の対象となるのよ」は見過ごせない。
     カミユの解釈によれば、当に、この故にこそ、イワンは、自ら死地へ赴くのであり、彼が実質的なテロを行ってなお、正義の人、義人足りうるのである。
    暗殺事件に関わる者達の真っ赤な掌、正義の登場と死、正義の死後、内実を失い、形骸化する革命論理と知の走向としてのイデオロギーの舞台化として高所から投げ落とされる本、我が国のシステム、即ち弱者(部外者)に犠牲を強いる構造を示す為の鉄条網の上での切腹、最低限の照明など演出上の工夫も見事である。
     カミユの限界でもあろうが、「今、ぼくが死んだら世界は何か変わるだろうか」との独白は、メンタルなレベルで革命を考える多くの人々にとっては、合点のゆく所であろう。

  • 満足度★★★★

    美しい。。。
    何度か観たオフィス再生作品の中では、
    とてもわかりやすく、そして美しさ際立つ作品だと思いました。

    ハナシのスジを、細かく追おうとはしないほうが、
    楽しめるのではないかと、思いました。(私は、ですが)

    19:30ピッタリに始まるのも、ブラボー!
    (遅れて来る人に合わせて開演を遅らせる、って、やっぱりどうかと思うのです私も)

    ネタバレBOX

    とにかく、とにかく美しい。

    シーン・シーンが、どこをとってみてもベストショットの写真のようで、
    綺麗な写真集をぱらぱらとめくってみているような印象。

    ラストの、絞首刑と、切腹と、降雪にはヤラれてしまいました。
    不謹慎かもですが、本当に綺麗でした。

    最後、雪が、笑っちゃうくらい降ってきますが、
    あれだけ降ることで、説得力も増す気がしました。
    そして、雪が降り積もった終演後のステージも美しいです。
    (役者さん、いつ起き上がれたのだろう?)

    でも自分にもめちゃめちゃ積もりますw
    積もった自分を写真に残しておきたかったくらい(笑)

    たぶん、視界を遮られることなく全体を見渡せるほうが楽しめると思います。
    ので、最前列をおすすめします。

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