実演鑑賞
キャストを替えながら8月までやり抜く気合の企画。その企画の軸に申し分ない演目でもあろうと期待を抱きつつ、最近興味を寄せ始めていた一座を鑑賞した。
少し前置きすれば・・時代物、と言えば濃淡は異なれど(恐らく歌舞伎を源流とする)あるイデア的な型が比較的濃く流れており、啖呵と見栄と笑いを紡いで固有のリズムを醸すあのノリが、自己目的化せず手段に徹して用いられているかは、リアリズム寄りの自分が気にする所である。さて本作。見込み通り?的確な演技と動線、役者を魅せるべく仕上げられたタイトな舞台であった。
歌舞伎が扱う物語、そして歌舞伎という芸能自体が、身分制度の中でままならぬ人間の自由を謳う反骨にあると(類型的ではあるが)認識しているが、本作はモチーフ(義賊)からして反骨であり、今の世の為政者を刺す台詞も何気に散りばめられている。肯うを快しとしない滅びの美学が物語の定型として本作にもあるが、滅びを踏み越えて行く先へ視線が強く注がれ、十分納得の内に幕を閉じた。
負けを認めるようだが(なんて言い方しなくても良いのだが)、別の回も観たくなった。
(第二期「龍」組鑑賞)
実演鑑賞
満足度★★★★★
開演前から女性客が多いなぁと思っていましたが、納得の眼福でした。
艶やかで粋な人々がテンポ良くどんどん進んでいくストーリー、途中に入るダンスに魅入られているとラストは切なく・・・
前方で見たので迫力が凄かったです。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/05/09 (金) 19:00
片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」第33回ロングラン本公演『六道追分』第二期龍チームを観た。
前回『六道追分』を観ての、今回が2回目だったが、二期目も劇の物語の内容は全く変わっていなくて、出演している役者が大幅に入れ替わり、私が観た龍チームに至っては座長の山田拓未が珍しく出演していないということで、劇としてのまとまりなど、若手が主演で大丈夫かという一抹の不安も正直あったが、実際本編が始まってみると、勿論龍チームにとっては、明日が千秋楽公演で、5月9日(金)19:00の回が千秋楽前最後の公演ということもあるのかも知れないが、役者一同気合が入り、大きなミスや台詞を間違えたり、台詞が飛んだり、声を枯らしたりすることもほとんどなく、軽妙なアドリブで腹がよじれる程大笑いさせたりする余裕も垣間見せていて、劇全体としても一期目の役者たちに引けを取らず、完成度が高かった。主演が瀬戸啓太さんと石井陽菜さんになっても、全然良い意味で違和感を感じなかった。
鬼アザミ一味の頭領清吉役の瀬戸啓太さんは濃くて今どき感のない俳優の高良健吾さんに少し似たイケメンで、それを活かした演出なのかどうかは分からないが、野性味溢れる粗野とか、粗暴というか短期というかで、彫物がしてある腕を着物を開けてバッと見せる演出など、鬼アザミの清吉の性格や言動が役者が変わっただけで、こうも変わるのかと感心させられてしまった。
また瀬戸啓太さんのパッと見た感じの印象と、瀬戸さんが演じる鬼アザミの清吉の言動がフィットしていて、当て書きならぬ、その役者のイメージにフィットした性格に清吉を寄せてきていて、本当に演劇って生ものだなぁと実感させられた。
お菊役の石井陽菜さんも、一期目のお菊役のしっかりしているが時々緩い感じとはまた違って、良い意味で意思が強い上に、気が強く、隙が無く、喧嘩する場面が笑いにならずに、迫力があって、ドスの効いた緊迫感が出るような威圧感が出ていて、演じる役者によって、役は同じだとしても、こうも役のイメージがガラッと変わるのかと驚いた。
個人的には、こういうお菊像も全然ありだと思った。
この後も、3期、4期というふうに続いてゆくのだろうが、大枠の作品の内容はそのままに、演じる役者によって演る役のイメージがころころとどういうふうに変わるのか、その役者の個性も反映された感じになるのか、これからもそういった小さな変化が興味があり、今から期待しかない。
また与力の九次役の多田有我さんは、役柄的にはかなり冷酷無比で、職務遂行のためならば自分が嫌われ役になるのさえ厭わず、手段を選ばないような役のはずなのに、多田さんの見た目とフィットするかのように、所々優しさが滲み出て、冷徹に振る舞おうとするが、どこかお間抜けな感じが滲み出たりと、人間味のある感じに演じられていて、本来あまり共感できない役のはずなのに、憎み切れず、愛すべきキャラだと感じ、自然と引き込まれた。
与力の徳蔵役の西川智宏さんはどこかX経営者のイーロン·マスクに似て、イケオジでもなんでもないただのおじさん俳優だが、男性同士の恋愛を茶化したような場面だったり、よって下ネタに走る場面が印象的で、ドキドキ感があって、大いに笑えて、楽しめた。
尼さん?の念念役の阿達由香さんは、一期目の時の同役の役者の意外とドSでコミカルで、どこか派手でアイドル的な感じと違って、地味で中年のリアルにいそうな尼さんな感じに演じられていて、阿達さん自身の独特な地味だが達観した雰囲気と相まって、その辺に普通にいそうな尼さんの感じが出ていて良かった。
石津雄貴さん演じる念念の弟子の珍念は、一期目の同役の役者と違って、よりふざけて、さり気なくアドリブもかましていて、今回の念念役の阿達さんが地味で中年、真面目で達観した感じなのと対象的な感じで笑いを取っていて、その全然違う組合せで、バランスが良いと感じた。
宿で花札に興じたり、鬼アザミ一味と疑われた男女が一瞬出てくる場面で、東海Wallkerを広げたりと一期目にも増して、二期目は小ネタやアドリブが数多く散見されて、一期目との違いも楽しめて良かった。
実演鑑賞
満足度★★★★★
第一期と台本は同じと聞いていましたが、演じる人が違うとまた新鮮で面白く見ることができました。最後は知っているので今回は覚悟して見ていたはずでしたが・・・。
冒頭の地下道から侵入するシーンの音響が説得力があって良かったです。
今後はどのくらい行けるかわからないので、せめてと思って台本を買い求めました。
とろろ汁が食べたい今夜です。
実演鑑賞
満足度★★★★★
ストーリー、演出ともにしっかりと練られているなぁという印象で、心を揺さぶるとても素敵な作品でした。
様々な登場人物も魅力的で、演者さんたちの熱演も素晴らしかったです。
初めて観劇される方にもかなりお奨めの舞台だと思いました。
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2025/04/30 (水) 19:00
とても素晴らし舞台でした!役者さんはもちろん、脚本もとても良く登場人物の関係性もわかりやすかったです。
笑いもあり、涙、涙の場面もあり。
何回もみたくなる舞台です。