ソファー 公演情報 ソファー」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.3
1-8件 / 8件中
  • 実演鑑賞

    小松台東の新作。大きなソファーを巡る物語。110分。5月18日までスズナリ。

    https://kawahira.cocolog-nifty.com/fringe/2025/06/post-071cb7.html

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    台詞の仕込みは最小限、見逃すと振りが後で効かない(何かあったかも、と余白は残すが)面があってその分だけ精緻な演技を求める脚本という事になるが、出演者が宮崎弁のエキスパートばかりでない事は(方言が芝居にとって利点になる面はそれとして)幾分たりともハンディとの事実は否めない。という要素は恐らくあったのだがその前に、体調によるうつらうつらが不可抗力に襲い、前半は言語理解が追いつかず。桑野登場の少し前あたりから漸くちゃんと見れた。
    終盤の強く印象を残すくだりがそれ単体で美しく、そこへ至る前段の空白を脳内で再構成し、諒解させるものがあった。而して台本を入手して答え合わせ。あっと言う間に読了、感動を甦らせている。

    ネタバレBOX

    終始心許なく登場していた妻(江間直子)が、ラストに至る場面で初めて、明らかに少し違う雰囲気を発し、目が醒める。若い頃にあった一コマだろうか、夫(佐藤達)が妻のリクエストに応えて奮発した豪華なソブァ上で、昼日中二人がそれぞれ寝そべっている図。やがて夜の店に勤めるママが朝帰りしての睡眠の時間と分かる。夫(父)はいつもソファで寝て母の帰りを待っていたな...。その台詞との符合。やがて夫婦の会話、同窓会の案内が来ていたね、出るの?出ない、友達いなかったもんね、話すやつなどおらん、いつもポツンとしとった、そうやった、私付いて行ってやろうか?え?・・うそうそ。その後、久々に「あの気」がもたげた夫に、妻は一瞬怯むも、弱気に退いた夫へ、妻が寄って行く・・。
    と、末っ子長女の「ただいま」の声。そこから二人は、含羞の夫がソファの端で見守る中、妻が一人また一人訪れる娘息子や姻戚らを招じ入れ、コーヒーを振る舞い幸せそうに大家族の主然として囲まれるように座り、賑やかしくお喋りをする風景を作り出す(親戚にこういうおばちゃんいたなー、と思い出す。訪れる者皆に居場所を与えてやるお節介だが人の心の分かるテンションの高いおばちゃん・・)。母の「コーヒーあんたもいらんね」に皆も素直で断らない。皆で同じコーヒーを手にしようとしたが最後に入って来た次男と長男の前にポットが空になり、「あらーなくなっちゃったー(笑)」。
    それは幸せの図なのだが、皆それぞれの用であっと言う間に舞台をはける。ちょっとした「残念」が運命を岐つ事も・・といった事の象徴か。
    様々に過去を思い巡らして反芻し、時には仮想図をも思い描きながら妻を待ち続けていただろう「弱かった父」も、やがて舞台上を去った後、娘に小さなスポットが当る。父に最も近く父のあっけない無念の死への疚しさを抱え、その父が生涯思いを託しただろうソファを手放し難く家族会議を召集した娘。薄明かりが消えて、芝居は終る。
    蠱惑的に心を疼かせる場面を時々どうにも描写したくなる癖があるが、中々難しい。
    観劇を薦めるしかないが、保証の限りではない。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    夫婦の想い
    父の娘の想い
    離れたくない一緒にいられない
    母と娘が感じた変化する事のない息詰まった日々の想い
    良い舞台でした
    一般公募の写真で作られたこのチラシ
    赤トレーナーや夫婦がソファに寝転んでの会話とか
    ストーリーがそのまま表現されてるそうです
    日曜まで
    お薦め

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    舞台中央に大きなソファーを配した
    説明通りの物語が
    アフタートークを入れて約2時間で
    繰り広げられる家庭家族の話でした
    次男の奥様がなかなか楽しい性格で
    自分的には大いに受けました
    全席指定でコースター付きの
    スタンプがあって過去作等の
    イラストが楽しめるトコも
    良かったデス

    ネタバレBOX

    父親が亡くなり散っていた3兄弟が
    取り壊し予定の生家に集まり
    思い出の詰まったソファーの処分について
    過去の回想シーンを挟んだりしながら
    話し合う会話劇ですかね
    父に懐いていたらしい長女を軸に
    大人しい父とは違い奔放な感じの母とは離婚?
    別居状態だったようで折り合い悪く
    ギスギスした感じの過去シーンとか
    集まった長男と次男の掛け合いで闘牛ネタ
    上手く入れておりました
    次男の嫁さんが一人っ子で兄弟喧嘩に憧れてて
    実際に目の前で繰り広げられる兄弟喧嘩に
    合いの手入れて楽しむ処は笑えました
    ラストの方で実際にあったのか
    誰かの夢なのか仲の良い感じの父と母のシーンは
    ホッコリさせてくれました
    長女とは別れたらしい元旦那さんとかと
    復縁もするのかなぁと明るい感じを匂わせて
    物語は閉じるのでしたー
    で結局ソファーは分けて各兄弟が持ち帰る事と
    あいなったようです
  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    この作家の作品を見るようになって、そろそろ10年か。記憶では松本紀保のプロでジュース作品の{Farewell],同じ頃に「消す」。最初は男女の離婚の話、後者は父親が死んで後日談。今回の作の死後に残された大きなソファーの処理を巡って、どこもあまり上手くいっていない兄弟三人とその連れ合いたち、という人間配置は同じ、人間関係も作者の地元宮崎で、相変わらずだが、地方ものらしさは健在である。だが、10年たてば地方も都会化していて、そこが苦しい。
    地方から出てきた作者は今でも一度は「ふるさともの」を書く。今時の若者・竹田ももこも福名里穂も勇んで地方ものを書く。それは多くの作者がこれこそは自分でなければ独自領域の人間像と書いてみるのだが、それだけで一本支えるのは難しい。終わってみれば、地方もの壁を突破できていない結果に終わる。やっぱりチェホフは上手い!ということだろう。
    今回の松本作品は、年を食っただけ、道具のソファにまでシバイをさせて手は込んでいるがなんだか弾まない。ドラマを絞ってそこに発見がなくては。ファンで固めって居るのか落着いた客席でほぼ、満席。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/05/11 (日) 14:00

    じれったいようなもどかしいようなテンポかと思うと、リアル過ぎて怖い台詞の応酬が
    ぽんぽん!このソファー、きっと私も捨てられないと思うとボロ泣きした。
    お父さん、あなたはどんな気持ちで、あのソファーに座っていたのだろう。

    ネタバレBOX

    舞台上には茶色い革張りの、古い大きなソファーがひとつだけ。
    ゆるくカーブを描くソファ―、これが今日の主役か。

    ひとり暮らしだった父親が亡くなり、実家の取り壊しが決まっている家。
    時々実家に来て父親の世話をしていた妹から「最後に相談したいことがある」と
    招集がかかり、久しぶりに兄弟3人が顔を合わせる。

    「映画監督になりたい!」と東京へ出た長男。
    再婚してえらく若い奥さんをもらった次男。その奥さんも来る。
    そして夫とは別居中の妹。その別居中の夫も来る。

    東京にいて大した手助けもしなかったくせに、近くにいた次男と妹に不満を言う長男。
    妹が父に車の免許返納を説得し、することが無くなった父は庭いじりするしかなかった。
    その結果庭で転倒して死んでしまったのだ、と言う長男。
    妹は後悔の念に苛まれ、最後に父がいつも座っていたソファーをどうしても捨てられない、
    捨てることは父親を2度殺すことになるから。
    だからどうしたらいいかを相談したかったのだと心情を吐露する。

    時折差し込まれる過去のエピソードによって、一家の歴史が語られる。
    「ママ」として夜働く妻が、酔って客のひとりである地元の金持ちの和菓子屋を
    連れて帰宅した時のエピソードは、配役の妙もあって感情移入せずにいられない。
    互いが大切なことはわかっているのに妻は「優しいだけが取り柄の男」と口にし、
    夫は「この人を連れて帰ってくれ」と和菓子屋にタクシーを呼んでやる。
    ソファーがまるで父親の魂が乗り移ったかのように、ふんぞり返って座る和菓子屋を 
    床に放り投げるシーン、この超常現象(?)の場面だけは痛快だった。

    妻が次第に帰って来なくなっても、父は毎晩
    「電気つけっ放しにしてこのソファーで帰りを待ってた」と妹は言う。
    このソファーは父の誇りであり、孤独であり、愛情の全てだったのだ。
    妹のこの一言に父親の無念さや寂しさがあふれていてボロ泣きした。
    このソファーを、捨てられるわけがない。

    結論の出ないソアーの処遇をめぐってぐだぐだと兄弟が言い争う中、
    次男の若い妻が要所要所で放つ天然のひと言がスパイスのように効きまくる。
    妹の別居中の夫も、クッションとしての役割を期待されつつ時にそれを自ら
    かなぐり捨てて極めて能動的に場を回す。
    この外様(?)の二人が冷静に、時に熱く一家に絡む存在感がすごい。
    グチグチのあるあるのリアルさ、漫画のような急展開のバランスが素晴らしい。

    ラストはソファー(イコール父親)のみた幸せな夢なのだろうと思った。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    松本哲也氏の作劇スタイルが何となく掴めた。多重奏。通奏低音から始まり、弦楽器を重ね、更に管楽器を合わせていく。ゆっくりとした立ち上がりに観客はじれるが曲のフォーマットが定まった時、それを破壊する不意の来客の訪問。この展開がどっと受けるとここからは思うがまま、自由自在に観客を操れる。作者であり登場人物でもある松本哲也氏は自身で作品にメタ的なツッコミを入れまくる。この物語が何を象ろうとしているのかを自分自身で確かめるように。

    舞台は宮崎県の実家、6人掛けの立派なソファー。父(佐藤達)が母(江間直子さん)にねだられて無理して買ったもの。母は夜の店に勤めて段々帰って来なくなった。映画監督を夢見て上京した長男(松本哲也氏)、次男(今村裕次郎氏)は若い奥さん(道本成美さん)と再婚、長女(山下真琴さん)は今里真氏と結婚。父が亡くなり実家の処分が決まる。長女は家族全員を呼び集める。どうしても会って話したいと。

    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    MVPは道本成美さん。彼女の登場から明らかに空気は変わった。成程、こういう方法論があるのか。骨肉相食むどろどろのどうしようもない話にホームズやトム・ソーヤーが登場してきた時のような爽快感。まあ何とかなるかも知れん!女流棋士高橋和の若い頃みたいでえらく可愛い。松本哲也氏がおもむろに「彼氏とかいるの?」とメタ的に聞くシーンが全てを物語る。(役柄的には弟の新妻なのだから全くの的外れなのだが)。

    江間直子さんは原田美枝子と大竹しのぶをフュージョンさせたようなキャラ。これぞ日本の女優感。
    瓜生和成氏は珍しい役柄。贅沢な使い方。
    今村裕次郎氏が車を動かそうとソファーを立ち、財布の入ったセカンドバッグに手を伸ばす。妻を見て「置いとくか」と行きかけるが松本哲也氏を見てやっぱり持って出て行く。このちょっとした一連の動きだけで人間関係が伝わる巧さ。

    作品の骨格は阿佐ヶ谷スパイダース『老いと建築』ではないか。オマージュとしての本歌取、詠み替えだと睨んだ。

    観劇通の玄人が味わう渋い作品。こういうのを普通に楽しめるようになった自分に驚いた。ラストはソファーの見ている夢か。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2025/05/10 (土) 19:00

    110分。休憩なし。

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