明日を落としても 公演情報 明日を落としても」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 3.8
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  • 満足度

    退屈でした
    冒頭の病院らしきシーンで「腰の曲がった老人」の演技などで人が行きかうところでどうも白けてしまい、その後最後までその印象がくつがえされることはなく、お芝居に全然引き込まれないまま傍観的な観劇となりました。
    効果音を声でやるのはおもしろいと思いましたが、雑踏・ばたん・ぽち、ばっかりですぐに飽きました。
    あと、暗転→音楽→蛍光灯の演出が唐突にまぶしく、環境的に過酷でした。

  • 満足度★★★★

    驚くほど真摯な作り込み
    アングラっぽい劇団名の印象に反してとても真摯な姿勢で芝居を作っていると感じられた。コメディエンヌな印象が強かったピンク地底人2号が堂々たる女優ぶりを示していて、ああこの人実はすごいんだと感心した。効果音をすべて役者たちが声で出す手法は、最初はちょっとうっとおしく感じたものの、慣れてくるとだんだん心地よくなった。あの舞台の真ん中に座って目を閉じて空間を感じたい気分だった。

  • 満足度★★★★

    「作り物の音」に囲まれた「作り物の物語」
    「虚構」と「虚構」、「虚構」と「現実」、「現実」と「現実」の境目が曖昧になっていく世界を見せていく。

    ネタバレBOX

    最初は、「京都の劇団」「ピンク地底人」(京都の地下に潜む貧しい三兄弟。日々の孤独を紛らわせるため、人間のふりをして、演劇活動を行っている、なんて書いてあるし)という劇団名から「コメディなんでしょ?」って思っていたのだが、まったく違っていた。
    すみません。


    劇場に入ると天井まで斜めに立ててあるパイプに蛍光灯。
    パイプが工事現場の足場のような無機質感。
    それをぐるりと囲むように配置された、スタンド付きマイク。

    このマイクに劇団員たちが交互に立ち、街の喧噪やエレベータの効果音などを、丁寧に再現していく。
    雨降りのときのデパートで流す曲とか、エレベータの細かい音とか、街中でのちょっとした人々の営みとか、そんな細かいニュアンスに溢れ、それがいい味になっていた。

    物語は、母と息子の話。

    人気女優である母は、テレビのドキュメンタリーの取材を受ける。
    いわゆる密着取材ということで、女優の家にも行き、撮影をする。
    女優は、実は自分の息子は引きこもっているので、それだけには触れないでほしいと撮影スタッフにお願いする。

    徐々に彼女の生活が淡々と描かれていくのだが、実は、ある一瞬で、彼女と息子を巡る話が、遡っていることに観客は気づく。
    音楽もよく聴いてみると、逆回転している(歌の部分だけかも)。

    遡っていくごとに切なくなる物語となる。

    あれだけの人に囲まれても孤独な女優な印象。

    彼女は息子を失ったということがわかるのだが、それは最初は事故だったのか、と思わせて、実はさらにそれ以前に失っていたということが明らかになっていく。
    彼女は、街で見かけた、息子を捜す女性に、自分を重ねてしまったのだ。

    街中の「音」が本当の音ではなく、「作り物」であることを演出して、さらに「女優」が主人公であり、その彼女が演じる「舞台」の物語も、彼女自身のも物語も「虚構」(妄想)であるという構造が面白い。
    女優が演じる舞台のストーリーとの境目がなくなっていったり、彼女が自分を重ねてしまった女性との、虚構の境目が消えていくというあたりもとても面白い。
    ラストまで、微妙な位置関係にあった、撮影スタッフのカメラマンというのも、この「虚構感」を与えてくれる。
    さらに彼女に「認知症」の気があるという設定も、この「虚構」にプラスしていく。

    淡々としているのに見せるし、緊張感の持続と、それを外すタイミングがうまい。

    ラストの前に、彼女が延々と舞台の上を走り出す。
    何ごとが起こるのかと思っていると、疲れて歩き出してしまう。
    そして、腰を折る。つまり、さきほどまで遡っていた彼女の半生を一気に巻き戻したシーンだったのだ。このシンプルな演出のうまさには舌を巻いた。

    彼女はあの世で息子と再会する。
    甘すぎるラストかもしれないが、いいラストだと思った。

    役者は、とにかく全員があらゆる役と音を担当し、目まぐるしいものであって、大変だなと思った。やはり、主人公の女優さん役が良かった。誰なのかはわからないけど。あと、主人公がチラシを受け取るときの、息子を捜していた女性も印象に残った。誰なのかはわからないけど。
  • 満足度★★★★★

    面白かった!
    現実か妄想なのか分からないまま、過去にさかのぼり物語は進行するが、徐々に明らかになる真相の見せ方がお見事。
    凄く練られた脚本と効果音の演出が印象的。
    素晴らしかった。

    ネタバレBOX

    ラストの無音の演出がとても心に響いた。
    カメラクルーもなるほど納得。
  • 満足度★★★

    表現方法
    芝居の見せ方にもいろいろあることを改めて認識した。せりふなしでも十分伝わってくるものがあった。

  • 満足度★★★★★

    変化
    自分はわりと日程がうまくあったので、
    この作品の前哨戦にも見えた4月の京都公演と、
    6月末の大阪公演と、
    今回の東京公演を続けてみる機会に恵まれました・・。
    (ふつうこんなに日程が上手く合う事って無いんですけどね。
    昨年12月の公演は仕事が入っていただけに・・・

    自分がいつも思うのは、
    特に若手の劇団について思うのは、
    単純にひとつの作品を一度みただけで
    判断するのは賢明ではない、ということで(当たり前といえばそうですが

    例え何かの大作に比べ
    多少現時点では劣っていたにしても、
    変化、というか、一つ一つの作品に対して、
    どれだけの愛情を持って接する事が出来たか、
    というか、
    どれだけ悩み、考え、一歩ずつ踏みしめてきたのか、
    というのが重要なのだと
    今回の作品を観て改めて感じました。

    自分は、どちらかというと、
    作品の『質』というよりかは
    むしろ、
    作品とその劇団が過ごしてきたであろう『時間』をより(というかそれしか頭にないのかも・
    評価の基準として考えたいといつも思っています・・

    たとえどれだけ美しくても、
    心の無い美に魂が宿らないように
    (あとでもう少し書き足します・・

  • 満足度★★★★

    女優
    面白い。

    時間も85分と短めで○。中身も十分あったし。
    また、東京に侵略にきてほしい。

    ネタバレBOX

    女優の「母」(2号)は、若き頃子供を堕し、その罪の心から逃げるように引きこもりで映画監督志望で豚キムチが好きな息子を妄想する。その有様を時間を遡りながら描き、母の悲しい人生にライトをあててゆく…。

    雑踏や通行人の雑音や、病院アナウンス、ドアの開閉音や電灯のつく音まで舞台で表現しざわついていて、人物もドタバタ動き周り落ち着かない舞台。それがラスト、老婆に時間が戻った際、しんと静まり、母と息子(脇田友)のシーンが別の世界になったようにみえる(老婆の死後の世界か)。そして、豚キムチが食べたいという息子と相擁し、許される母…。

    話的には悲壮で辛いものだけど、演じた役者が上手いのか演出が良かったのか、客との距離が変に遠くならない舞台で良かった。
    ただ、折角の静まり返るというラスト、もうひと工夫ほしかった。その前のグルグル駆けるとこから。あれはあれでよかったけど。もう一歩踏み込んで印象深い演出がほしい。
  • 満足度★★★★

    グルグル
    先日観たハイバイで「観客の察する力を育てる芝居」という台詞があったのですが、その言葉が頭をよぎりました。

    何が本当でどこから妄想なのか、グルグル考えながら観ていました。
    そのグルグルがおもしろかったです。
    観てよかったと思います。

    冷房の真下に座ってしまったのか、ものすごく寒くて、手足の感覚がなくなり、途中から頭痛もしたので、アフタートークをあきらめ、アンケートも書けずに出てしまいました。それだけは残念です。

    ネタバレBOX

    結局、女優の母親は、若い日に中絶して、生まれてくるはずの子を殺してしまった為、妄想にとりこまれているということでいいのでしょうか。

    親殺し子殺しには、蜷○演劇ネタは欠かせませんよね。

    効果音、すごくうまい女性がいました。
  • 満足度★★★★

    チラシの文言と実際の作品とは
    結構話の軸が違っていたので、念のため。

    「音」によって紡がれるポリフォニックな世界に、一つの「物語」が鮮明に浮かび上がってくる、不思議な作品。
    「演劇」の構造に踏み込んでいながら、そこで溺れていない姿勢には好印象。
    終盤で置いて行かれたものの、そこも含めて面白かった。

    (ただ、隣の客がずっと独り言ブツブツ言ってたせいで、舞台に全然集中できなかったのが残念・・・!><)

  • 満足度★★★

    乗客を乗せずに走り始めた
    感がありました、あとで乗っときゃよかったかもと思いましたが時すでに遅し。
    後説の2号?さんが健気な感じで、地球侵略を応援したくなりました。

  • 満足度★★★★★

    【オススメただし合わない方は多いと思います】明日を落としても
    役者が語る台詞だけが物語ではありません。静寂とノイズ。ある一瞬一瞬がきっかけとなり意味が与えられ存在が変わります。そこに物語が浮かび上がってきます。大阪版ではスピードが一定でしたが、東京版では解決、素晴らしい作品になりました。一言で言えば『キュッ』としました。
    合わない方が多くいらっしゃると思いますが、ぜひご覧になってください。地底人は観客の想像力を信用してくれています。
    オススメです。

  • 満足度★★★★

    許し、か~
    開演前に舞台上に置かれた機材を見ても、イメージがわかず。どういう公演になるんだろうと思っていましたが。静かでシリアスで不思議。演劇が好きだから、こういう方法を取るんだなぁと思うような、演劇だから出来る独特なパフォーマンス。ただ、緊張するシーンが続いて、なおかつ非常に繊細な空間になっているので集中力を維持するのが大変でした。好き嫌いが分かれるのかなぁ、僕は好きでした。地底人は非常にマジメだなぁ。劇場で配られた公演案内に「生きていることを人に許してもらいたい」という言葉が引用されていますが、その言葉を観劇後に噛み締めるような味わい深い作品でした。

    ネタバレBOX

    「豚キムチが好きで、映画監督になりたかった息子がいなくなる」というモチーフが執拗に繰り返されることで、「息子がいなくなった母親」の内向的な心情がありありと描かれる。観客席以外の3方向の壁際に並べられたマイクスタンド。マイクを通して、効果音や母親が今いる場所の音が全て生の声で表現される。雑踏に飛び交う声も、普段は気にしないような周囲の音も、その空気まで役者の発声で表現されて、それがとても新鮮で物語に合っている表現だと思いました。同時多発の声や音は、勿論全部は聞こえないけれど、情景をよく現していて、一つ一つこだわっていて、非常に繊細だなと思いました。

    息子は本当はどこにいるのかわからないという風景がずっと続く。母親は息子が留学先に向かう飛行機事故で死んだことを受け入れられないのか、女優である母親の稽古中のお芝居の中身なのか、理由がわからず失踪して行方不明なのか、そもそも息子は生まれてなくて母親の妄想なのか、息子は家を出て街中で無差別殺人を犯して電車に飛び込んで死んだのか、といったようにシーンが繰り返される。緊張し続けて緩和があまりないので、上演時間は80分くらいなのに、集中して結構疲れてしまいました。この表現方法で、世界が広がり続ける様を見せてもらえたら、もっと自分の好みだなと思いました。

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