原始力~ゲシュタルト~ン・バボ! 公演情報 原始力~ゲシュタルト~ン・バボ!」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.2
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  • 満足度★★★★

    なるほど
    ちょっと異質で不気味な雰囲気はいつもの感じですがテーマが直球でわかりやすい。

    原発問題をこのようなカタチで作品に反映させるとは・・・・

  • 満足度★★★★

    興味深く・・
    観ました。明るく楽しい演技の中に、深いテーマがあったと思います。凡人の私は、初めは隠されたテーマに、まるで気付きませんでした。が、最後は深く考えさせられました。とても興味深く面白く観ました。ただ個人的には、商人役の登場の意味が分からず必要性を感じませんでした。でも、他者さん達の熱い演技は良かったです。

  • 満足度★★★★

    恐るべき喜劇
     祈りの言葉は「元気ですか、元気ですか、元気ですか? はん!」の不気味。グロテスク、アイロニーが、パロディーと巧みなシナリオ構成にユニソンされ心地よいテンポで進む。舞台は24000年後。元気石が信仰の対象になっている時代。鬼っ子が生まれると10日以内に集落の男のうち一人が犠牲として捧げられる。元気石に元気が無くなったからだ、という理屈が成り立つ世界の話だ。

    ネタバレBOX

    そこに現れる稀人(原始人なのだが、考古学、民俗学、社会学などの研究者でもあり、旅人として、異界の世界観を持ち込む。折口 信夫の民俗学を想起させる概念だ)は、長老と住人達、その信仰と風習、住人が有り難がる元気石の謎、そして崇拝構造を解明するが、彼は更なる探求の果てに死んでしまう。その後現れたのは商人。商売の何たるかを人々に告げ、その利便性を人々に理解させ、支配欲、権力欲、金銭欲などを煽り立てる。
    喜劇的な体裁を保ったまま、単に笑いだけでなく、本質的な部分で、有り得べき我々の未来像の一つを提示し得た。そのことが、まぎれもない喜劇でありながら恐怖を感じさせるという稀有な効果を生んでいる。
     基本的に喜劇なのだが、この喜劇は怖い。その理由を挙げておこう。肝心な所で、物理的事実をベースにするような細かい配慮を払っている。例えば、何故24000年後の設定なのかは、プルトニウム239の半減期だからである。周知の如く、プルトニウムはこの地球上の自然界には存在しない。核融合を通じて初めて生じる核物質である。即ち、人工的な物質なのである。そして住民達が崇拝する元気石とは即ちプルトニウムであり、彼らの間や生活環境に生体異常が多々見られるのも無論、放射性核種の出す放射線に因る被曝の結果である。3.11以降、この国でも多くの人が核について詳しくなったので、この程度の知識は当然前提であろう。幕開きでロケットが発射される時のような轟音が轟くが、あれはこの舞台で話が展開する24000年前の核爆発である。そして、原始人とは、核爆発後に生き残った我々、ヒトの未来の姿だ。舞台上でも彼らの歴史、DNAについての話が出てくるが、長老の脱毛と喀血も無論、原爆症だ。(但し、この症状そのものは、γ線被曝の症状とも重なる。通常プルトニウムによる被曝はα線被曝である)
    作家は、この物語で描かれたような情況を、現在の我々の生活に見ている訳だ。その上で発狂せずに、知的で冷静に振る舞おうとすれば、飽くまで喜劇として成立させるしかなかろう。この作品が高いメッセージ性を持つ所以である。
    作品の中からいくつか最後に拾い上げておこうか。我々が今、この国で生きている本当の姿の一端を。長老に付き従う人物が明らかに防護服スタイルであること、本尊の入っている祠が90度傾いでしまような大地震が僅か1~2万年の間に起こっていること、一種の実験が行われているらしいことへの示唆等々、この深くグロテスクな事共が、実際、今、この国で行われている原子力村のあれやこれやであることなどは容易に察しがつく。

  • 満足度★★★★★

    すごくいい!
    面白くてメッセージ性があって凄く良かったです。

    ネタバレBOX

    最近は原発事故の影響がどこか背景にあるお芝居が多くて、少々気が滅入りがちですが、本作品は重過ぎることもなく、軽過ぎることもなく、反原発物コメディの最高傑作とも言える作品でした。

    冒頭の息を吸い込むような吠え方や、いつもの能狂言的な特徴ある踊り、稽古中は吹き出しながらやっていたんだろうなと思わせながらも、皆さん笑わずにやりきっていました。

    言葉遊びは野田地図以上です。元気ですかー?ハーン!、元気ですかー?ハーン!、……、半減期ですかー。

    プルトニウムの半減期が24000年ですから、原発事故から12000年経った頃の話ですが、原発跡地近辺では自然淘汰の結果放射線に強い種族だけが原始的な狩猟生活ながら生き延びていて、霞の国から来た長老が横倒しになった原子炉の管理と人々の指導管理をしているという設定。

    霞の国云々というのは霞が関から派遣された役人のことで、ふさふさしていた髪がどんどん抜けて若死にしてしまうため次から次に後任が来ますが、とりあえず今から12000年後も日本が存在しているようで安心しました。

    しりとりの、最後に「ん」がつくとお終いになるというのも、アインシュタインが未来に与えた影響の大きさを示唆していて意味深でした。「半減期、いつまで経ってもゼロにはならない」も怖いと思いました。

    長老の異形さに加え、斜め上的な異質な商人が出てきたり、防護服を着た人が出てきてドキッとさせられたり、笑いとシリアスの緩急も巧みでした。

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