往復書簡3~十年後の卒業文集~ 公演情報 往復書簡3~十年後の卒業文集~」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.7
1-3件 / 3件中
  • 満足度★★★★★

    無題369(12-112)
    15:00の回(雨)。14:32受付、開場。おー、バーですね。「朗読」、初めての場所ということで選んでみました。それ以外のことは何も知らず、会場前で待っていました。目の前の標識に「松濤美術館」の文字、池口さんの個展に行ったのは…(確認すると)2008/11。さらに、お店の前にチラシがあり「虚構の劇団」とあります、未見ですが名前は知っていて…終演後、確認すると→鴻上さん→第三舞台→「スワンソングが聴こえる場所」1986/6にみていました。但し、内容は覚えていません。こんな状態で会場内へ。縦に細長く、左にカウンター、中央から右が客席。最前列は黒いミニ椅子が3、後方に赤い椅子が9。hotウーロン茶をお願いします。カウンターの上には隙間なくボトル、飲みに行くことがないので銘柄わからず(EARLY TIMESはわかった)、後ろの棚にも。招き猫やランプ、「ティファニーで朝食を」のヘプバーン、CDとオーディオ機器、右はコンクリートの壁に小さな絵がかけてあります。カウンター右にいらっしゃる女性が何やら…みていると「HAMMOND44」(本格的なモデルなんですね)、で、ハモンドのC-3はロックバンドがよく使っていたモデル。正面、一段高くなったところ、左右に椅子、真ん中にはローソク、タンブラーが2つ。白い布で覆われています。15:06前説、外の音、冷蔵庫や空調の音が聞こえます…と説明。15:07開演〜16:32終演。すべてが終わってから原作:溱さんということを知るのでした。でも、それでよかったのかも。終わって外にでると雨は上がっていて、青空が見えました。

    ネタバレBOX

    いつも利用している自宅近くの図書館で原作を借りようとしたら予約が714件も入っていました。地域内の図書館で計35冊、貸出期間は2週間まで、ちょっと考えましょう。さて、朗読であっても無表情なものではなく(意図的なものはあっても)、お二人とも、みていて/聴いていて、お上手だなと思いました。ずっと2役ではなく、途中で役が代わり、席、眼鏡、ヘアスタイルで違いを出しています。暫くしてから、これはミステリー風だなと思い始めるのですが、原作を知らずにみていてよかったのは、ここのゾクゾク感、なんだかカラダの中から浮かび出てくる、思い出すこの感覚。随分前、推理小説だけを読んでいた時期があり、「おっ」「もしかして」…徐々に確信に至る、始めからそうと知っていたら得られない感覚です。

    ホントにありそうな設定、とは思えないものの「高校時代(昨日から高校ものが続いて3作目)」にあってもいいかな、と思うのでした。スペースの関係で限られた人数での観劇、派手な舞台装置も、華やかな照明も、スペクタクルな音響もないけど、耳元に伝わってくるのは少女の気持ち、心もよう。小説を読んだだけじゃ受け取れなかったものでした。 
  • 満足度★★★★★

    大満足
    独立した3つのオムニバス作品からなる湊かなえさんの「往復書簡」の朗読です。
    最初の話を朗読で聞いて、すっかりこの本のファンになり、3話目も聴きに行きました。
    今回は、モデルのような美人さんと可愛い女性の二人が読み手でした。
    さすが役者さんの朗読です。作品の魅力が益して、更に感慨深いものになりました。
    とてもいい時間を過ごせました。

  • 満足度★★★★

    観る側を引き込む手腕
    物語自体にも
    描き方の圧倒的なしたたかさはあるのですが、
    加えてそ登場人物たちの記憶の質感が
    しなやかに編みこまれていて、
    物語のありようを追いつつ
    もう一歩踏み込んだキャラクターたちの
    想いにも心を奪われて・・・。

    そして、観る側が物語の全貌にたどり着いたそのあとの
    ラストシーンに愕然、
    悔しいくらいにがっつりとやられました。

    ネタバレBOX

    手紙のやり取りという枠組のなかで
    まずはシチュエーションが観る側に置かれていく。
    あとで思えば恣意的にでしょうが
    冒頭の1~2シーンのかみ合わせのぎこちなさが、
    少しずつベースのトーンが形作られるなかで、
    薄れ、やがてはやりとりのリズムがしなやかに作りこまれて・・・。

    バックの音(ピアニカ?や縦笛)に
    シーンが染められ、
    次第に物語の核心が晒されていく。
    シーンの刹那にキャラクターたちの内にあるものが
    すっと差し込まれるたびに
    観る側に新たな視野が生まれる・・・。

    役者それぞれが
    手紙をつづる態のなかで
    綴る側は言葉のうちにあるニュアンスをすっと紡ぎだし、
    受け取る側は
    そこから別の空気を編みあげていきます。
    手紙を同じ色で受け渡しをするのではなく、
    質感の違いをかもし出していくことで、
    物語に切っ先が差し込まれていく・・・。
    さらには、
    演じるキャラクターが変わるごとに
    役者から描き出される色も鮮やかに変化して、
    同じリーディング劇の態に
    ひとつ、またひとつと
    新たな視座がつくりこまれ、重ねられて。
    観る側は描かれた時間の真実を求めて
    その世界へと誘い込まれていくのです。

    虚構の劇団の二人の女優には
    ひとつの色をかもし出すしたたかな集中力と
    逆にその色をにじませることなく染め替える
    表現の切れと豊かさがあって・・・。
    そのことで、観る側も
    物語の揺らぎをふくらみとして
    キャラクターたちの想いを
    身構えることなく自然体でうけとめることができる。

    やがて言葉概ね語られ
    観る側に全貌が示されたとき、
    同じ時間をすごした女性たちの
    異なる感覚が鮮やかに観る側に残り、
    彼女たちがその後過ごした時間が
    すっと観る側に満ちて・・・。
    ある種の感慨にやわらかく心を浸されて・・・、暗転。

    だから、ラストシーンには愕然としたし、
    ちょっと悔しくすらあった。
    でも、一呼吸おいて、
    物語の更なる広がりを感じ、
    ここまでに、物語に観る側を引き込んだ
    二人の役者のビビッドで秀逸な演技に
    改めて瞠目したことでした

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