熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン 公演情報 熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン」の観てきた!クチコミ一覧

満足度の平均 4.5
1-16件 / 16件中
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    オリジナル「熱海」(が一つなのかも不明だが)は二度、「売春捜査官」も二度観たと記憶。だいぶ前に観た最も素朴な「熱海」が私のつか世界との遭遇でこれを超えるは無し、であったが、今回はさらに異形のバージョンを面白く観た。モンテカルロver.という脚本の特徴も一つの発見であり、俳優を凝視させる張り詰めた空間を「観る」観客自身にもある種の覚悟を要求するものがある。
    うまく言語化できていないが後刻追記する。

    ネタバレBOX

    政治の季節から、その残滓を引き摺りながら草の根運動へ、あるいはエコロジー、原始回帰(宗教)そして少なくない人々が芸術文化、芸能へと「散った」のが1970年以降の事・・という歴史区分は自分の頭にインプットされている。演劇においては戦後政治的な左翼を担った新劇が舞台芸術において陥ったパターン化を嫌って澎湃と起こったアングラ世代、ただしその「抵抗」「アンチ」の構えは政治の範疇とも言え(私はどうやっても政治から人は逃れ得ないと考えるが)、政治的な立ち位置の「是非」を問う態度とは訣別した演劇表現が生まれる。小劇場演劇さらに静かな演劇(平田の現代口語演劇が一つの画期)、さらにはポストドラマと呼ぶべき演劇もひそかに探究されつつも今に生き延びる新劇、アングラ、商業演劇系と多種多様なスタイルが百花繚乱の都東京である。
    そんなざっくりとした時代区分で言えば、つか演劇はアングラと小劇場を橋渡しする存在、と理解している。論じるだけの知識も観劇歴もないが、熱量を見ればアングラを母胎とし、一方語られている言葉は政治的な威勢の良さとは対極の次元。
    「熱海」では都会への薄っぺらな憧れと見栄、しょぼくれた青春の一コマしか想起させないとある殺人事件を、捜査責任者である木村伝兵衛が傍若無人にも部下を巻き込んでわが物のごとく捏造し始めるが、彼の情熱は都会の片隅に消え、忘れられて行く最も小さき存在を、逞しい想像によって新聞を大きく飾るに相応しい事件にストーリーを書き換えて行く。絶叫のように台詞を叩き出す終盤、観客がまざまざと見せられるのは、みすぼらしく生きて死んだ若者たちを皮膚が肉薄する程に見据えるならばそこには自分と同じく渦巻くマグマの如く内奥では何かを切望し願ってやまなかった人生があった、という事実だ。政治的・社会的な「正しさ」を超えて、己自身の生を滾らせたいという欲求、願望、これが何にも優る人間の真実だ、というテーマは、思えば当時作られた多くの映画や小説に見られ、持て囃されていた。
    さて今回のモンテカルロ・バージョンであるが、オリジナル「熱海」をベースにした亜種として観ないと中々厳しいように序盤では感じた。最終的に繋がりを持つ要素がいまいち関連を感じられずに語られる時間が長い。役者たちの手練ぶりが見えるだけに何故か上がって行かない事に少々倦みを覚えはじめたのだが、リアルベースでは物語の人物の連関は理解が及ばないままに、滔々と俳優が語るモードに入る。ここがつか舞台の恐らく真骨頂で、今回は棒高跳びというマイナーな選手らとオリンピック出場の有無を巡るエピソードが、リアルの土台を築き得ない内に強烈に(強引に?)展開する。そしてそれが聴かせるのだ。「リアル」の部分への自分の不足感は、私の台詞の読み解き力の問題か演技演出による伝わらなさの問題か、脚本の問題かは一概に言えないが、自分的には確固とした人物の物語(人物の関係性も)があやふやなままであるにも関わらず、大山金太郎、水野秘書、そして伝兵衛らの長台詞に、打たれた自分がいる訳である。そこにはやはり名も知られずに消えて行く人間たちがある。その者たちへの作者の眼差しを確信した時、この舞台の世界を、胸を開いて受け入れている。
    「熱海」のドラマツルギーしか、私はつか作品を知らないが、他の著名な作品もいつか目にしてみたい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    圧倒的な音が交叉し、終盤まで一気に進む。演者の熱に圧倒され、最後はがちょっとほろっと。ありがとうございました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    つかこうへい氏の「熱海殺人事件」は何回も観ているけど、モンテカルロイリュージョンは初めて。相変わらず昭和コテコテの熱い芝居でしたが、世代によっては元ネタが分かんないこともあるだろうなと思いながら観ていました。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    同じ演目でも劇団によって様々なんだなぁと実感。
    今だと結構OUTになるのでは?の言葉の応酬でそのノリについていくのが大変でしたが、
    歌多め、熱が凄くて見ているこちらもなんだか熱くなってきました。
    特に山口アイ子の独白は見ていて苦しい位に良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    熱い舞台でした
    中央に机を一つ配した
    シンプルな舞台で
    熱い台詞の応酬等が
    二時間近く滾る作品
    まーチョイ熱すぎるきらいが
    万人受けは微妙な気がするけど
    自分的には大変たのしめたんで
    OKであります

  • 実演鑑賞

    良かったです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    以前に高田馬場で売春捜査官を拝見し、その熱量、滴るあせの迫力ある演技を見せていただきましたが、今回も、ものすごい熱量のお芝居、圧倒されつつとても楽しめました。数多くの団体さんが演じるこのお芝居で、いくつか拝見していますが、上位にランク付けされるできだったと思います。素晴らしかったです

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    今まで見たモンテの中では高評価です!
    つか劇団の人がする熱海と違った良さがあるように感じました。
    モンテに直向きに向き合って取り組んだことが芝居の演出や演技のバックボーンにあるのが舞台で観られた。そう感じました。
    ただ、つか作品の免疫できてないと楽しめないかもしれません。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    月海舞由がプロデュースするKURAGE PROJECTは一昨年第1弾の「売春捜査官」を観ているが、その時以来のつかこうへい「熱海殺人事件」シリーズ
    モンテカルロヴァージョンは初めてだった
    まあ定番の作品だから、ほとんど役者の技量が試されているようなものだが、木村伝兵衛の岡田は表情が良くなかなかの迫力だった(もう少し前で観たかったな)
    この役は阿部寛がやってたんだなと
    月海は婦人警官水野としてよりも山口アイ子の方が良かった
    このホンは相変わらず終盤迫ってくるものがある
    セットはなかなか高級感ある机と椅子だった
    月海がホワイトボードに書いていく名前の文字が下手で、「わざと?」と思ってしまった(笑)
    音楽の音量が大きすぎてセリフ聴き取れないところが結構あったのは残念
    しかしいろいろうるさいご時世にこのNGワードだらけの戯曲が上演されるのは嬉しい
    こういう舞台も「セリフ変えろ」とかいう連中クソくらえ!
    つかを知らない若い人はこういう舞台をどう思ってみるんだろうね

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    鑑賞日2024/11/08 (金) 14:00

    つかさんの芝居は大昔の大昔、風間杜夫が主役の「熱海」を
    新宿紀伊國屋ホールで観たのが最初で、その時は何が何だか判らなかった。
    生れて初めてか2番目くらいに観た演劇だったし(歌舞伎教室を除いて)、
    「あたしを立てるのよ!」という絶叫しか覚えていない。
    その後2本くらい「熱海」を見たと思うが、本当の伝兵衛、アイ子の心情を
    感じて泣けたのは今回が初めてだった。
    訓練された怒涛の台詞に圧倒され続けた末に
    ラストあんなにしみじみ涙が出るとは思わなかった。

    ネタバレBOX

    木村伝兵衛と速水はともに棒高跳びのオリンピック選手、
    大山金太郎はその補欠で、
    山口アイ子は砲丸投げの選手だった。

    アイ子は長年のコーチを殺害し、
    金太郎はアイ子を殺害する。
    そして伝兵衛には速水殺しの疑いがかけられ、速水の弟が伝兵衛の下に赴任してくる。
    それぞれの事件の背景と本当の理由が、次第に明らかになる。

    彼らの苦悩と告白は、炎のような熱量を持って吐き出される。
    これまで過剰なまでのテンションで罵倒し合ったのは、
    この告白を引きずり出すためだったかと思う。
    MAXまで熱くなったところで一転、ラストはしみじみとその心情が哀しい。
    皆何と純粋な気持ちで生きているのだろう。
    伝兵衛の最期のしんとした心が痛いほど伝わって来て泣けてしまう。
    岡田竜二さんの、まばたきが極端に少ない視線の強さに惹きこまれる。

    彼らが皆、世間的に”下に見られる”立場の人間であったことが
    あの暗いエネルギー源となったような気がする。
    そこを出発点とする作者の視点の優しさが沁みてくる。

    時代が違うから差別的表現も多いが、それこそが当時の社会の匂いだ。
    あの強烈な屈辱と疲労感は、当時のことばの中でこそ生まれたものだったろう。
    出演者が皆素晴らしくて、次は違う作品でも観てみたいと思った。

    それにしても「熱海」、何とすごい脚本なのだろう。
    改めてつかこうへいさんに感謝して、これからも観ていきたい。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    素晴らしかったです。というか、役者さん、喉大丈夫でしょうか… あと2日喉もちますでしょうか… そのぐらいシャウトする回数の多い舞台です^^ いやー、それにしても激アツの舞台でした。あと、今の時代ではアウトなぷち差別的な表現などもバンバンあり「やっぱり舞台はこれでなくちゃなー」と思った次第です。ほんと、舞台だけはコンプラ抜きでギリギリのところを攻めてもらいたいです。

  • 実演鑑賞

    満足度★★

    初めて「つか作品」の演劇を拝見しました。
    名前だけは聞き及んでいましたが、個人的には「合わない」と感じました。
    演者さんたちの演技は素晴らしかったと思いますが、ストーリーというか、時代設定上、仕方のないことだとは思うけれど
    表現が自分の感覚では「マジでない!」という表現があり、受け入れられなくて結構最初から引いてみてました。

    あと、音楽が結構流れるのですが、劇場の大きさの割に爆音でセリフが聞き取れず(あえて?)、なんて言っていたのか気になりました。

    演者さんたちの全力の演技、膨大なセリフの応酬は素晴らしいと思いましたし、他の公演で観れるのであればぜひ観たいなぁと思います。
    多分、作品との相性が自分にあってなかったということなんでしょうね。

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    無茶苦茶、熱量の有る舞台でした。目が覚めるというかつか作品の良さを感じられました。面白かったです!

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    熱き熱海
    この熱海は良い
    お薦め

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    つか作品ならではの演出だったと感じます。長台詞がおみごとで素晴らしかった。
    どれだけ稽古を重ねたのだろうかと感じました。

    ネタバレBOX

    個人的に演出ストーリー上仕方ないと思うのだがタバコが辛かった。
  • 実演鑑賞

    満足度★★★★★

    面白い、お薦め。
    演劇を観て久しぶりに熱いものが込み上げてきた。今年観てきた つか作品ではピカ一。脚本や演出の力は言うまでもないが、演技が凄い!物語の底流にある優しさ切なさなどが、役者の体を通して滲みだし 熱き思いが迸る。熱演という言葉は、この公演(演技)のためにあるようだ。

    「熱海殺人事件 モンテカルロイリュージョン」は、たぶん未見だと思う。説明にある「二つの事件が交錯しながら進展していく」は、早い段階で事情が明らかになるが、そこに隠された心情が切ない。オリンピック選手として 陽で輝く者と陰で泣く者、そして1人の人間としての生き様を切々と描く。少しネタバレするが 主宰 月海舞由さんは、刑事 水野朋子と被害者 山口アイ子、その2人の女性の愛を重ね というか対比する。一方は情を貫き、他方は裏切られるという違った結末を叙情豊かに演じる。終演後、口々に泣けた との感想が…観応え十分。ぜひ劇場で。
    (上演時間2時間 休憩なし) 11.8追記

    ネタバレBOX

    舞台美術は、中央に木村伝兵衛部長刑事の机、下手にホワイトボードと丸椅子だけ。部長刑事の机に黒電話、シャツが置かれている。勿論、大きな机は権威の象徴。冒頭、木村伝兵衛は上半身裸。その筋肉質が、オリンピック選手であったことを思わせる。

    物語は、棒高跳び の記録を塗り替えた元オリンピック日本代表選手で、現 東京警視庁・木村伝兵衛部長刑事(岡田竜二サン)が、熱海で殺された砲丸投げ選手・山口アイ子の事件の容疑者、大山金太郎(なかやんサン)と再会する。大山もかつては、同じ棒高跳び日本代表の補欠選手であった。同じようにオリンピックでメダルを目指した選手へ敬意を払うような事件へ。
    一方、山形県警から転任してきた速水健作刑事(関口アナンサン)の兄も棒高跳びの元オリンピック選手だったが、モンテカルロで自動車事故を起こし亡くなった。その時に同乗していたのが、木村部長刑事だったと。その事故死を疑う速水刑事は…。そして木村を愛するが、受け入れてもらえない病身の婦人警官 水野朋子(月海舞由サン)。そして謎の男(辛嶋慶サン)。
    主な登場人物は4人、それぞれの心情吐露といった見せ場を設け、同時に他者との関わりを表す敬愛や思惑等といった感情を落とし込むことで より人間性を浮き彫りにする。

    二つの事件を交錯させ、 謎解きとオリンピックという栄光の影に隠れた、エリート選手と補欠選手との絶望と苦悩が明らかになっていく。同じ選手とは言え、補欠の男性選手はゴミ、女性選手はコケと陰口を叩かれ、待遇面で〈差別〉されていた。練習に青春期の貴重な時間を費やし、報われないことも多い。それでも愛する人を信じて…。部長刑事の同性愛という設定にも性の<差別>または<偏見>を訴える。
    愛欲と名誉さらには金銭といった欲望の渦に身を投じた悲しいまでの結末、しかし純粋に直向きに生きた、を描いた人間ドラマ。
    苛めや差別またパワハラ・セクハラ等、コンプライアンスが厳しく言われる現代、だからこそ、描かれたような時代があって 今があることを知る。古き良き時代ではなく、悪しき慣例・慣行を描くことも、当時(時代)を反映した演劇の面白さだろう。まさに演劇は時代の鏡なのだ。

    物語の中に突然 音楽<歌>やダンスシーンを挿入し 観客の関心を惹きつけておく。歌(オペラ風)は、グイグイと引き込み面白可笑しく聴せる。勿論 戯曲の<力>もあろうが、役者の激情が 迸ったような迫力がそうさせる。照明は単色を瞬間的に点滅させるだけだが効果があり巧い。
    次回公演も楽しみにしております。

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