実演鑑賞
満足度★★★★
開演5分前に当日券に滑り込み。
3人の劇作家による3つの物語が追憶のように混ざり合って、時に重なり、時に乱反射しながら人ひとりの存在を縁取っていくような。そして、それは特定のひとりじゃなくて、私であったりあなたであったりする。
そんな演劇でした。
タイトルから峯村リエさんの半生を辿ったりするのかしら?または、峯村さんをモデルにした物語?などと思っていたのですが、全くそうではなく。むしろ観終わったときに、きっと誰しもの近くにいるだろうミネムラさんを、自身ですらあるかもしれないミネムラさんに思いを馳せるような。そんな時間。
人って、掴みどころがないものなのだ。それはちょうど外側から見る窓の風景みたいに。私たちはいつだって互いに窓の内側にいかなくては触れることすら叶わない。山崎一さんが発したある劇中のセリフからつくづくそんなことを知らされたりもして。峯村リエさんの様々な横顔により痛感したりもして。
だけど、窓の中でも外でも人と生きていくのが人だったりもする。そういう瞬間に劇にぐっと奥行きが生まれていたような気がするし、"ミネムラさん"と人生を交える笠木泉さん、森谷ふみさんそれぞれの切実も素晴らしかったです。
窓の向こうと此方を往来しながら人ひとりの存在の奥行きと深さを噛み締める観劇でした。
実演鑑賞
満足度★★★★
劇壇ガルバは山崎一が主宰する個人劇団で面白いプロデュースをする。集まった者の賛同さえ得られれば、何をやってもいいと言う自由さがある。主演者は峯村リエで、彼女を当てて三人の作者が短編を書く。当て書きをする。できあがった三編の短編は細川洋平「フメイの家」、笠木泉「世界一周サークルゲーム」、山崎元晴「眠い」。できあがったところで、三編を混ぜ合わせて(並べてではない)一本の作品をつくる。まとめ役は演出の文学座の西本由香(気がつけば今週は文学座女性演出家の三連投だ!)が一本にする。普通考えれば、こういう企画は大方の作者は嫌がる。上手くいくはずがないし、結局後味の悪いことになる。そこをよってたかって面白がりながら一本にしてしまったところがこの珍しい企画の手柄である。作者でもなく制作者でもない山崎一にしか出来ない芸である。
テーマは「女性」で峯村リエに当てたわけではない(ことはないだろうが)が、演者が峯村リエになったので、ついでに?タイトルも「峯村さん」にした??ホントかどうかは解らないがパンフレットを読めばそういうことだ。現実に俳優としては、正体不明な魅力のある峯村リエがそういう芝居の主役を演じるところも良い。
作者はそれぞれ一癖ある中年前期の世代の作者たちである。皆それぞれシーン作りが上手い。だが、最初から一本にしようという強い縛りはなかったようである。パンフレットを見れば、出来た後でどのようにバラバラにして、スジをつけて再構成したのか書いてある。やはり一本の作品としてはどこか、いびつな出来で、ファンタジーなのか、現代ホンネ女性ものなのか、フラつく。不条理劇の極みでもあるが、でも、こんな女いるよね、げんに峯村リエが演じると結構魅力的でもある。こうして「誰かであり、誰でもない」峯村さんができあがった。演出者はこのドラマは「不在」がテーマだと難しいことを言う。そういえば、最初、峯村さん宛に書かれ、郵便で送られた手紙は「宛先フメイ」で届かない。
舞台の半ばを過ぎたあたりで、突然30年ほど時間が飛ぶ。ここが良い。このドラマに実際の時間がはいったことで、現実は過去と今のとの交差点であり、そこにしか人間は存在できないことを示すことが出来た。そこでミネムラさんが実在する、このあたりから、彼女の半生を彩ったさまざまな人々との過去は精彩を持ってロンド(輪舞)して現代のドラマになった。愉快な一夜のユニークなエンタテイメントでもあった。
実演鑑賞
満足度★★★★
何だか不思議な世界に迷い込んでしまったという感覚に包まれた舞台でした。
あとからあれは何だったのかといろいろと考えさせられるスルメ的な作品だと思いました。
実演鑑賞
満足度★★★
3つの物語を纏めたストーリーで、私には難しいというか・・正直分からなかったです。
でも、何だか面白いし怖いし、謎過ぎる不思議な舞台でした。
何とも言えない独特の世界を過ごせました!
実演鑑賞
満足度★★
「3つのお話が交錯する舞台」と知らず、なかなか内容を理解するのが難しかったです。
特に、日本語が通じない人たちの会話についていけず、心情の語りで補う情景に戸惑い、
ミネムラさん、いったいどーなってんの?と疑問符を抱えながら観劇しました。
予習が必要な舞台だったようで、予習せずに伺ったことを反省しました。
実演鑑賞
満足度★★★★
3人の劇作家の物語を1人の演出家(西本由香)がまとめ、<ミネムラさん>という1人の女性を紡ぐ。当日パンフ(記載順)によれば、3人の作品は「フメイの家」(作・細川洋平)、「世界一周サークル・ゲーム」(作・笠木泉)、「ねむい」(作・山崎元晴)で、時間軸を10年間隔か もしくは交錯させるという技巧的な構成だ。この公演自体が実験的なもので、その面白さは観客の感性に委ねられている。
作者が違うから劇風も異なるはずだが、そこは上手く調整し統一感は保たれている。と言ってもオムニバスのような紡ぎ方で、時間軸を違えることによって違和感を抱かせない。1人の女性の多面性、それを自らの状況・環境の変化で観せる と同時に、他の者(第三者)の目を通して描き出す。その人間観察を少しコミカルに表現し、内省とか客観的という難い面を和らげている。
少しネタバレするが、舞台美術が秀逸だ。有効ボードを上手く使い<家屋>もしくは<家庭>といった居場所を現す。そのボードには木目があり温もりを感じさせる。勿論 場面に応じた音響・音楽は、不穏や優しさを表現するといった効果的な役割を果たす。全体的に不思議・空想的な感覚の話だが、なぜか観入ってしまう魅力がある。
(上演時間1時間50分 休憩なし)
実演鑑賞
満足度★★★★★
鑑賞日2024/09/19 (木) 14:00
会話の内容も面白いし、セリフのテンポもよく、舞台に引き込まれました。面白かったです!
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/09/16 (月) 14:00
3つの物語が交錯するシュールな展開で面白い。110分。
『フメイの家』(作・細川洋平),『世界一周サークル・ゲーム』(作・笠木泉),『ねむい』(作・山崎元晴)の3つの話を交錯させて上演する複雑な構成。役者陣も含めたワークショップを通して作ったそうだが、実はワケが分からない。だが、分からないけど面白い、ということがある、その典型だと思う。峯村リエはタイトルに自分の名前を使われるのが大変だと思うけど、しっかり受け止めているし、芸達者な役者陣の作る芝居の重みが楽しい。
実演鑑賞
満足度★★★★
企画に惹かれ旗揚げ以来久々にガルバを拝見。パンフによれば今回のユニークな企画の実現に至る経緯は過去公演にあり、ガルバ的試みの必然的結実であったらしい。
三名による書下ろしとの事で、(書下ろし依頼は冒険でありしかも「×3」であるので)大きな期待せず、ただ役者の立ち姿を拝むのを楽しみに、といった構えで観劇に臨んだのだが、三つの話が明確に展開するわけではなく、三つの要素を包摂した一つの作品として仕上がっていた。(その苦労の跡が見え、最終的な構成を誰が行なったのか、とパンフを見るも不明。先程読んだ朝日新聞のレビューによれば、西本由香演出の下ワークショップにより練られて行ったプロセスがあり、集団創作の成果であるらしい。)
この些か混沌とした作りは「ミネムラさん」というカタカナ表記の一人の人物を巡る舞台の世界観に相応しかった。一人を描く事で人間を描き出そうとしている。人は多様な側面を持つ、という事でもあり、人間の存在の他者を欲する性質とその表裏の関係にある孤独、その一人の生に、捜索(といっても別役作品ばりに無責任な人物たちによる)する者たちの眼差しが注がれる、という構図。人と人を取り巻く世界をふと俯瞰させる。
作者の一人・笠木女史の大声が序盤で気になり、実は少々幻滅気味な気分がもたげたのだが、次第に気にならなくなった。(後で見ると当初の安藤千草降板によりだ代役を受けた由。)
実演鑑賞
満足度★★★★★
ひとこと、度肝抜かれました。最高かつ至高の舞台でした。プロの演技というのはこのレベルのものをいうのだな…と思いました。すべての役者さんが最高のパフォーマンスで、おまけに脚本も非の打ちどころがありません。舞台を見慣れた上級者向けの舞台ではありますが、これは名作ですね。別に嗚咽しちゃうような舞台じゃありませんが自然に笑え、自然に驚きが生じる、そういった素直だけどしっかりつくりこまれた舞台で圧巻でした。ほんといろんな人に見てもらいたいです。舞台見慣れている人は舞台に対する考え方が変わるかと。かくいう私がそうですし… 最高の時間をありがとうございました。
実演鑑賞
満足度★★★★
ある女性に関する3つのエピソード。シュールなコントだったり、ちょいと自虐的で身につまされるコメディだったり、かなりシリアスでサイコな話だったり、多角的に楽しめました。
実演鑑賞
満足度★★★
3人の作家がそれぞれ自由に描いた『ミネムラさん』像をつなげたのであろうか、全体として纏まるようなストーリーはないようだし、また纏めようという意図もないようであるが、各部分内ではユニークな展開を見せる。しかし、手練れた役者や気鋭の演出家を起用するほどの台本であったかは疑問が残る。