実演鑑賞
満足度★★★★
開演5分前に当日券に滑り込み。
3人の劇作家による3つの物語が追憶のように混ざり合って、時に重なり、時に乱反射しながら人ひとりの存在を縁取っていくような。そして、それは特定のひとりじゃなくて、私であったりあなたであったりする。
そんな演劇でした。
タイトルから峯村リエさんの半生を辿ったりするのかしら?または、峯村さんをモデルにした物語?などと思っていたのですが、全くそうではなく。むしろ観終わったときに、きっと誰しもの近くにいるだろうミネムラさんを、自身ですらあるかもしれないミネムラさんに思いを馳せるような。そんな時間。
人って、掴みどころがないものなのだ。それはちょうど外側から見る窓の風景みたいに。私たちはいつだって互いに窓の内側にいかなくては触れることすら叶わない。山崎一さんが発したある劇中のセリフからつくづくそんなことを知らされたりもして。峯村リエさんの様々な横顔により痛感したりもして。
だけど、窓の中でも外でも人と生きていくのが人だったりもする。そういう瞬間に劇にぐっと奥行きが生まれていたような気がするし、"ミネムラさん"と人生を交える笠木泉さん、森谷ふみさんそれぞれの切実も素晴らしかったです。
窓の向こうと此方を往来しながら人ひとりの存在の奥行きと深さを噛み締める観劇でした。