実演鑑賞
満足度★★★★
茨城県内のカフェでの二組の客(親子二代の夫婦ともう一組の夫婦)6人による会話劇。
一方の会話が途切れた時にもう一方の会話が始まるように上手く組まれているが「会話の中の沈黙」もテーマということで大いに納得。
そして近しい間柄ゆえの妙な気遣いや無遠慮さから生じる気まずい沈黙などリアリティがあって身につまされる……ってか身に覚えアリ。
で、互いにもう一組の会話も聞こえてしまっていそうなのが気になったりも。(笑)
実演鑑賞
満足度★★★★
今回も茨城弁の日常風景を切り取った会話劇。堪能した。
おなじみ用松亮と坂倉なつこ(奈津子改め)の夫婦役コンビに、娘(安川まり)とその婿(浅倉浩介)がまた「らしい」。
同じカフェスペースを訪れ隣のテーブルに陣取るカップル(伊島空・青柳美希)も、地元で結婚を控えた風情で年代差もうまく出てる。
後者の話題が序盤は聞き取れず、両グループ同時進行とは言え(青年団のように)重なる事なく聞き取れるが、序盤での若者コンビの方の会話は四人組に比べると少々理解に難があった。中盤以降漸く会話とそこに込められた感情が見えてきた。
この二組同時進行の会話劇が、今回の試みであったが、まずまずであった。
古い夫婦像がモデルになっていると感じるが、2020年代の今も、ああいう感覚は生きているのだろうか。坂倉演じる母の「曲げなさ」が見物だし、用松父のあの感じ(うまく言えない。そういう領域を表現しているんである)も相変わらず良い。
地元で暮らして行けてる、という所で人物ら全員がとりあえずは生活の安定が約束されてる感があるのだが、今の時代シビアな経済面への言及が、(そういう問題を忘れる時間が有難いのも本音だが)リアルを穿つ劇としては、欲しい所。
地元で教師をやっていたのが黙っていなくなり、最近東京でNPO活動をやってる事が分った友人が、若者カップルの主な話題で、そのあたりで微かに触れてはいるのだが。
実演鑑賞
満足度★★★
会場は「すみだパークギャラリーささや」。隣のカフェは入ったことあるけれど、個人的にギャラリーは初。地続きの空間のため、カフェ同様もの静かで落ち着いた雰囲気があります。物語の設定も「洗練されたカフェ」でした。絵画の個展を見に行った帰りにカフェに寄った老夫婦とその娘夫婦。近くの席には4人と面識のない若いカップル。2つのテーブルの会話は基本的に交わることなく、それぞれ別の話題が進行する。とても静かな会話劇で全編茨城弁。この団体の特徴をしっかり反映した一作でした。
実演鑑賞
満足度★★★★
鑑賞日2024/06/19 (水) 14:00
座席1階
マチネの回だったので、隣のカフェは営業中。その店内音楽がちょうどいい具合に聞こえてきて、いいバックミュージックになっていた。舞台は茨城県内のちょっとしゃれたカフェ。ここで、両親と娘夫婦の4人組み、そして若いカップルの双方の会話劇に注目するという趣向。劇団普通定番の全編茨城弁の舞台だ。
双方のテーブルの会話がクロスするわけでなく、実際にカフェで行われている会話のようにそれぞれ独立している。ただ、双方の会話が重なるところは少なく、話が重なって聞きにくいということはない。
会話の中身は、そのような立場になった人なら一度は経験したことがあるような話で、客席は共感できる。若いカップルは地元で同棲中で近く所帯を持とうとしているが、この二人が、東京に出て行ってしまって愛想がない同級生を非難するような場面もある。首都圏とは言いながら東京の吸引力に翻弄される若い世代の思いが少し、興味深い。首都圏以外から東京に出てきた人には「そんな思いもあるんだ」という気付きになるかもしれない。
劇団の名前の通り、普通の会話劇が進んでいき、盛り上がるところは少ない。だが、普通の会話を会話劇にするのは恐らく、相当高度なテクニックが必要なのだろう。劇団普通も経験を重ね、しっかり若いファンをつかんでいる。普通の会話劇にクスッとしたり、共感したり。こうした演劇体験をさせてくれる劇団やユニットはそれほど多くない。
ただ、工夫が必要と思うところもある。普通の会話劇の締めくくりの仕方は、「普通」では落胆する人もいるのではないか。舞台も後半になると、「この会話劇はどんな終局を迎えるんだろう」とソワソワしてしまうが、そういう意味では肩透かし。劇団普通の作品では、ヒット作「病室」の方が楽しめる(近々再演もあるそうだ)
実演鑑賞
満足度★★★
茨城のオシャレなカフェ。用松亮氏と坂倉なつこさんの老夫婦、隣でその娘の安川まりさんと浅井浩介氏の夫婦がコーヒーを飲んでいる。
用松亮氏の会社時代の同僚、定年退職仲間のハナワ氏の油絵展覧会を見に行った帰り。
外にはオープンテラスが見え、店内の鉢には蓮とメダカのビオトープが置かれている。
もう一つのテーブルには結婚前の同棲中のカップル、伊島空(くう)氏と青柳美希さん。高校時代からの親友のカズ君が就職先の教師を辞めて黙って東京に出て行ってしまった。今では杉並区でNPO法人関係の仕事をしているそうだ。カズ君から来たメールの中にこの店のことがあり、コストコ帰りに寄ってみることにした。
浅井浩介氏は若い頃の前田吟っぽい。
伊島空氏は若い頃の原田大二郎っぽい。
高度に練り込まれたコメディ。聞く気もないのに流れてくる他人の会話、それがぼんやりと耳に入るカフェにいる。集まった観客は未知なるジャンルに興奮しているようだ。
『ドキュメンタル』のような空気感。笑ってはいけない状況で延々と繰り広げられる日常会話。カズ君の話をまた蒸し返すカップル。いやカズ君、そもそも俺知らねえから。もうその話はいいよ。
個人的にもの凄く憂鬱な出来事があったのだが今作の雰囲気がいい気分転換になった。
是非観に行って頂きたい。