水彩画 公演情報 劇団普通「水彩画」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★

    茨城のオシャレなカフェ。用松亮氏と坂倉なつこさんの老夫婦、隣でその娘の安川まりさんと浅井浩介氏の夫婦がコーヒーを飲んでいる。
    用松亮氏の会社時代の同僚、定年退職仲間のハナワ氏の油絵展覧会を見に行った帰り。
    外にはオープンテラスが見え、店内の鉢には蓮とメダカのビオトープが置かれている。

    もう一つのテーブルには結婚前の同棲中のカップル、伊島空(くう)氏と青柳美希さん。高校時代からの親友のカズ君が就職先の教師を辞めて黙って東京に出て行ってしまった。今では杉並区でNPO法人関係の仕事をしているそうだ。カズ君から来たメールの中にこの店のことがあり、コストコ帰りに寄ってみることにした。

    浅井浩介氏は若い頃の前田吟っぽい。
    伊島空氏は若い頃の原田大二郎っぽい。

    高度に練り込まれたコメディ。聞く気もないのに流れてくる他人の会話、それがぼんやりと耳に入るカフェにいる。集まった観客は未知なるジャンルに興奮しているようだ。
    『ドキュメンタル』のような空気感。笑ってはいけない状況で延々と繰り広げられる日常会話。カズ君の話をまた蒸し返すカップル。いやカズ君、そもそも俺知らねえから。もうその話はいいよ。
    個人的にもの凄く憂鬱な出来事があったのだが今作の雰囲気がいい気分転換になった。
    是非観に行って頂きたい。

    ネタバレBOX

    トイレの鍵が引っ掛かり、出る時なかなか開かない。
    土産物コーナーで高価な陶器のカップが売られている。坂倉なつこさんは旦那に買ってやりたいと思うが、用松亮氏は気に入らない。

    安川まりさんが「自分が何が欲しいのかもう分からない」と突然涙ぐむシーンが印象的。勿論介護の話題も出るが自分のしなければならないことと自分のやりたいことについての物語に思えた。誰もが自分が何を考え、他人が何を考えているのかよく分からない。盲目の手探りでそのあやふやなものを確かめ合っているような会話劇。心と言葉の手でそのフォルムを何度も何度も撫で回す。会話って一体何なのだろう?

    演劇的な仕掛けが一つだけある。卓上テーブルランプが店内に二箇所置かれている。それを安川まりさんと青柳美希さんがそれぞれ点けるのだが、その時だけ前夜のシーンだったり帰宅後のシーンだったり時空間が飛ぶ。

    100分は長すぎる。敢えてやるなら逆に休憩入れて3時間半ぐらいこれをやった方がよかった。ランナーズハイに近い内因性カンナビノイド(脳内マリファナ類似物質)が生成される筈。

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    2024/06/18 10:14

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